『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH (TRUE)2 / Air / まごころを、君に』—わからなさにある感謝と喜び
監督 庵野秀明、鶴巻和哉、摩砂雪
主演 緒方恵美(碇シンジ)、林原めぐみ(綾波レイ)
製作年 1997年
上映時間 160分
ジャンル SF・アニメ
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視聴方法
TELASA・Lemino・Netflixでの取り扱いが確認されている(2026年7月時点)。見放題・レンタルの区分や最新状況は各サービスで要確認。
あらすじ
1995〜96年に放送されたTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の劇場版完結編。前半の「DEATH(TRUE)2」はTV版の総集編に新規シーンを加えた構成。後半の「Air/まごころを、君に」はTV版第24話から分岐する別エンディングとして制作された完全新作で、謎のまま幕を閉じていた人類補完計画の全容が描かれる。碇シンジをはじめとする登場人物たちが、自らの存在と世界の終わりに向き合っていく。
見どころ
心の内側が世界に侵食していく映像表現
ATフィールド——「心の壁」として作中で説明されるこの概念が、本作では文字通り世界の構造として可視化される。人間の精神状態と現実がシームレスにつながる映像の組み立ては、アニメという表現形式の可能性を更新するものだった。庵野秀明が生み出した独自のモンタージュ技法が全編を貫いている。
TV版の続きとして機能する別エンディング
「Air/まごころを、君に」はTVシリーズ第24話から分岐する独立した結末として作られており、当時議論を呼んだTV版最終2話とは異なるアプローチで完結を試みている。TV版を観た上での視聴が強く推奨されており、それまでの感情的蓄積があってこそ、本作の衝撃が意味をもつ。
「体験する映画」として語り継がれる問題作
公開当時から「楽しむ」のではなく「体験する」映画として賛否が大きく分かれ、アニメ史上もっとも議論を呼んだ作品のひとつとして評される。(※1)四半世紀以上を経てなお語り継がれ、2024年には北米での劇場初上映が実現した。(※2)
制作背景
本作は、1995〜96年にテレビ東京系で放送されたTVアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の劇場版として制作された。放送当時から強烈な反響を呼んでいたTV版の最終2話——その内容が物議を醸したこともあり、完全新作として描き直した完結編として企画された。第25話「Air」と第26話「まごころを、君に」の2部構成で、テレビシリーズ第24話から分岐する別エンディングという位置づけになっている。(※3)
公開の経緯は複雑だ。1997年3月公開の「シト新生」内「REBIRTH」編で「Air」の一部が先行公開されたが、その後アフレコや画面の修正が施された上で、同年7月19日に本作として正式公開された。さらに翌1998年3月には、「DEATH(TRUE)2」と本編2話を合わせた再編集版「新世紀エヴァンゲリオン劇場版・DEATH(TRUE)2/Air/まごころを、君に」として改めて劇場公開された。(※4)
監督は庵野秀明が中心を担い、鶴巻和哉と摩砂雪が共同監督としてクレジットされている。本作は第1回文化庁メディア芸術祭(1997年度)のアニメーション部門において優秀賞を受賞。(※5)また、2014年10月には第27回東京国際映画祭の特別企画「庵野秀明の世界」においても上映されている。(※6)
感想
「DEATH(TRUE)2」は、TV版の総集編に少し新規シーンが加わったものです。エヴァンゲリオンをある程度知っている人間にとっては補足的な内容で、本番に向けての準備運動という印象でした。
本体は後半、「Air/まごころを、君に」の方にあります。これはTV版第24話の続きとして機能する完全新作であり、人類補完計画の全容が初めて映像として提示される。が、理解できるようで、理解できない。観終わってから頭の中で言語化しようとすると、どこかで滑る感覚がある。
ATフィールドが「心の壁」である、という説明は本編でも与えられます。精神の状態が世界に直結する——そういう設定として聞けば納得できる気がするのに、映像として展開されると追いつけなくなる瞬間がある。それがこの作品の核心なのかもしれない。論理で受け取ろうとすること自体が、ズレているような。
リアルタイム世代です。放送当時、「なんかよくわからないけれどやばいアニメ」だと感じていた。その「やばさ」の正体が何なのか、当時の自分には言語化できなかったし、改めて観てみても、やはりそれは言語化できないまま残る。ただ、この歳になって観直したとき、あの頃感じた感触はまったく薄れていなかった。
アニメという表現が何をできるか、という問いへの一つの極端な答えが、ここにある気がしています。それがその後のアニメ業界に与えた影響の大きさも、観れば伝わってくる。模倣や引用や反発を含めて、この作品を起点にしたものがいかに多いか——それが逆照射されるように感じる。
ただ、もやもやは残る。なんだったんだこれは、という感触がはっきりと残る。そしてそれが不快ではない。消化できない何かが胸の中に収まっていて、それがずっとそこにある。
エヴァンゲリオンというシリーズが、旧劇場版から「新劇場版」4部作まで長年にわたって続き、根強い人気を持ち続けている理由の一端がここにある気がしています。スッキリしないから、離れられない。完結した気がしない。その感覚が作品の磁力になっている。
この歳になっても同じ感情を呼び起こしてくれる作品があることは、単純にありがたい。
個人的にはシンエヴァより好きです。
他の人の見方
映画.com上のユーザーレビューでは、「これを映像にできるのは庵野秀明ただ一人」「印象を巧みに操る超絶技巧の数々に脳が翻弄される」といった評価がある。難解な内容ながら、心の内面を極限まで映像化した表現力への評価が高く、独自のモンタージュ技法を評価する声が目立つ。(※7)
MOVIE WALKER PRESSに集まったレビューでは平均4.3点(5点満点)で、「5点」と「4点」が多数を占める高水準の評価になっている。(※8)
一方で、公開当時から「楽しむ」のではなく「体験する」映画として賛否が大きく分かれており、「アニメ史上もっとも賛否を分けた作品のひとつ」との評もある。TV版を観た上での視聴が推奨されており、TV版の感情的蓄積なしには本作の衝撃の大半が意味をなさないという指摘もある。(※1)
こんな人に
・「新世紀エヴァンゲリオン」TV版を観て、あの結末に消化不良を感じた人
・リアルタイム世代として当時観た記憶があり、改めて向き合い直したい人
・庵野秀明の映像表現の出発点を体感しておきたい人
・「楽しむ」映画より「揺さぶられる」映画を求めている人
・アニメをあまり観ない人でも、日本アニメ史の転換点として一度は触れておく価値がある作品
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出典・参考
※1 エヴァンゲリオン情報局
※2 映画.com
※3 映画.com
※4 映画ナタリー
※5 文化庁メディア芸術祭
※6 映画.com
※7 映画.com
※8 MOVIE WALKER PRESS
