【感想】翼は母の愛だったと思う【虎に翼】
私が『虎に翼』を見始めたのは、第一週の放送が終わった週末、
4月最初の日曜日のこと。
なぜ正確に覚えているかというと、視聴の前日(つまり土曜日)、
マチアプで知り合った初対面の人に「お前は度量が狭い」とか言われて死ぬほど落ち込む、
という忘れたくても忘れられないことが起きたばかりだったからだ。
リンク先の記事には書かなかったが、その時は他にも、
「まあいろいろ悩まれてるようですが、あなたもう●歳ですよね? その年齢だったらたいていのことは自分の力で処理できるでしょ?」
などと言われていた。
私、何らかの不手際を犯した? と今なお省みてしまうほどの出来事によって、
明くる日曜日の目覚めは最悪だったわけである。
SNSで『虎に翼』が話題になっていることを目にしたのは、そんな心中穏やかでない朝のことだった。
気晴らしにとりあえず1話…と追っかけ視聴を始めると、あれよあれよと75分が経過してしまった。
そして、見終わった時にはめちゃくちゃ泣いていた。
どこで泣いたかというと、
主人公・猪爪寅子の母、“はる”にまつわる場面。
女が法を学ぶのは時期尚早、どうせ優秀な男子学生と比較されて逃げ出すのがオチ、と寅子を断じる法曹界の出世頭・桂場等一郎に対し、
「お黙んなさい!」と啖呵を切り、その足で書店に駆け込んで六法全書を寅子に買い与えるという、第5話のシーンである。
「あなたに娘の何がわかる、自分に責任はないからと、無責任に娘の口を塞ぐな」という台詞は、
どこの馬の骨かもわからないマチアプ人に「自分でどうにかできるっしょ」と無責任なことを言われた身としては刺さりまくった。
勝手に、もはや運命めいたものさえ感じ、
私は次週以降も視聴することを決めたのだった。
そんな私情も大いにあって見始めた『虎に翼』も、本日最終回を迎えた。
この作品は「法律」をひとつの取っ掛かりとしながら、
男女格差、貧困、戦争、マイノリティ、尊属殺人、少年犯罪などの幅広い社会問題を扱い、
「どんな人のことも掬い上げる」ことを大テーマとして作られていた。
朝ドラとしては異色のアプローチとも言えるが、
王道のポイントもしっかりと押さえていたように思う。
中でも私の胸を打ったのは、やはりヒロインと母の関係を示す描写の数々。
先に挙げた「お黙んなさい!」はもちろんのこと、
先夫・佐田優三を失った寅子に「お願いだから立ち止まって、優三さんの死とゆっくり向き合いなさい」と、父の遺品のカメラを売って得たお金を渡すシーン、
はるの遺品を処分している時に、「寅子ならここまで行けるはず」と娘の収入を高く買い、10年先まで貯蓄計画を立てていたことがわかるシーン、
「どう? 地獄の道は」とイマジナリーモードで優しく語りかける最終話、
思い出すだけでキリがない。
なんというか、「母の愛」の解像度が非常に高いのだ。
はるの臨終シーンも確かに胸に迫るものがあったが、
それ以上に、確かに寅子を愛していたことがわかる局面があまりにも多く、リアリティにあふれていて、
涙を誘うのは、そういった描写の数々だったのである。
「最終回にはるさんが出てきたらいいな」とはここ数日考えていて、
「でもきっと、出てくるとしてもみんなが大好きな優三さんだろう」と予想していた。
もちろん、朝ドラという枠を超え、
日本のクリエイティブ作品の中でも屈指の名場面となった、
あの別れのシーンでもどれだけ泣いたかわからないのだが。
それ以上に、
法学を志した寅子の「最初で最大の敵」であり、それでも地獄行きの切符こと六法全書を買い与え、死してもなお娘の力強い歩みの助けとなっていた、
はるの存在はあまりにも大きかった。
年老いた寅子のもとへ訪れるのは、はるであってほしかったのだ。
実際、イマジナリーはるが現れた時には嗚咽するほど涙した(今もまだ泣ける)が、
同時に、このドラマの脚本家や制作チームと心が通い合ったような、不思議な心持ちにもなった。
だから多分、制作チームの皆さんも『山田轟法律事務所』なるスピンオフをやりたいと思ってますよね…?
めちゃめちゃリアタイしますので、ぜひやってください。
またいつか!とかじゃなく、わりとしっかり計画立ててもらって大丈夫です!!!
良き作品を創ってくださり、心から感謝いたします。
ありがとうございました。
サムネは最近はまっている文房具ブランドのスケジュール帳。
おめかしした虎がかわいい

