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張替日記|北欧家具を修理する~折りたたみ式ミニソファベッドの張替

連載「椅子と手のひら張替日記」

「ちょっと相談があるんですけど・・・」

そう言われると、いつも身構える。
基本的に、何でも来いは何でも来い!って感じなんだけど、
家具屋さんが事前にわざわざそんなことを言ってくるのは、余程難儀なことなのだろうと想像出来るから。
果たして自分に出来るのだろうかと、ふと我に返ったりもしてしまう。
それでも時間さえかかってもよいのであれば、独創してもいい難題は結構好きなタイプです。

さてさて、なかなか珍しい形のソファベッドです。
どんな風にするかって、結構悩んだ1脚。


折りたたみ式ミニソファベッドの張替

張替前

お持ち込み頂いた時の状態。
一見、ソファのカテゴリーよりはアームチェアという感じ。
少しコツがいるけれど、広げてみると、

張替前の広げた状態

こんな感じ。
原型が一体どうなっていたのか、
なんとも想像が難しい…。
お持ち込みくださったお客様も、「どんな風に修理出来ますか?」って、そりゃ聞きますよね。

張替は、意外とそこに答えが見えていたりする。
本体フレームの形、構造、そこから導き出されるものがある。
出来ること、出来ないこと、お客様の要望。
それらの最大公約数を導き出す仕事。

しかし、これは一体、どんなシチュエーションで使われる椅子だろう?
うーんうーんと、悩むこと約半年。(←他の椅子やソファもやりながらだから…)
何とか完成!

張替後

縁周りが鋲打ちだったけれど、パイピング仕様にして欲しいという要望だったので、手縫い。

パイピングがアームの材料に当たってしまうので、まっすぐ見えるよう少し掘り込む。

後ろから見た感じ。

もとは鋲で留めてあった背の上は折り返しているのだけれど、曲線なのが少々難儀。

でも、この上張りをする前に、開いたベッドの状態をどうにか加工せねばならず、本題の難問はこのベッドの状態。

先ずは型出し。

ボール紙で型だし
抜けている部分を裏から印をつける

下張りをするのだけれど、
がつーッと省略しますが、本当はここが一番悩んだところ。
このバネの下張りをどうするか。
色々ご提案はしてみても、実際やってみないとわからない。
触った感じや見た目がどうあってほしいということは情報共有できるけれど、中身をどうするか、どう加工するか、ということを説明するのは難しい。
そして、説明されてもそれがいいのか悪いのかお客さんには判断が難しい。
本当に私の頭の中に出てきたイメージが出来るかどうかも、やってみなければ分からない。
ということで、こう在ってほしいというご要望はお伺いし最終の仕上がりの打ち合わせをして、あとはお任せいただいた。

広げた状態の前後は釘で打ち、抑え木もしているのですが、問題は両端。
3本ずつバネを跨ぐ添え木をヘッシャンの中に仕込んで、あらかじめ穴を開けておいてバネとボルト固定。
このボルトはホックのオス側にもなっている。

広げた裏側・・・バネの端に固定されているボルト。ボルトの長さも測って、後ろから出た部分が引っかからないよう蓋になるナットを選んでいます。
下張りだけを畳んだ状態・・・下張り材にクッションを入れすぎると折りたためなくなるかといって、入れないとバネあたりがして不安定

そして、折りたたむ都合上厚みが出せないので、ベッドパッドのようにして取り外せたらいいんじゃないかとご提案してみたことをやってみます。
ちなみに、そんなこと過去にやったことはありません。

キルティングして、ホックのメスをつけて完成。
書くと一瞬だけど、微妙な形だし、ホックの位置出しも根気が入ります。

台形のキルティングの他に折りたたむラインにキルティングを入れるときれいに折りたためる

基本的にホックの頭が表に出ないように打ち込むつもりだったのだけれど、
どうしてもキルティングのラインとかぶるので、4個だけは頭が見えている。

「ウサギ」と呼ばれるホック打器
ふちどりテープを待ち針で留めて、ミシンをかけていく。

構造もそうだけれど、下張りはバネあたりや横にしかバネが入っていないこと、折りたたむことを考えた中材や補強の入れ方
ベッドパッド状にしたキルティングも、中材や厚み、キルティングの大きさなど、
どこかに見本や正解があるわけではないので、私の頭の中にあるイメージだけで進めてしまったけれど、ご満足いただけたようで、ホッとした。

ベッドにして使う場合は、この上にクッションや布団をのせて使えばいいんじゃないかと使い方にも想像が膨らむ。

お持ち込み頂いて、瞬時にこんな風に出来るとはなかなか言い難いのだけれど、お客様のご要望を聞きながら、その場である程度絵は完成するので、あとは、どんな材料を使うか、どんな手順で作業していくかをイメージトレーニング。(←やったことない事はこれに時間がかかる)

昔、親方に「走りながら考えろ!」つまりは手を動かしながら考えろ、とよく言われたけれど、
どうしても私は走り出す前にどうしていくかを何パターンか考えておきたい派なのだ。
お預りからだいぶ時間がかかってしまって、誠に申し訳ない限りだけれど、事前にこうしてみると決めておくと作業時間も短く済むし、色んな方法を考えるのは、実はとても楽しい。

原型に忠実に張り替えるというのも、時に必要なことだけれど、
意外と何でも出来てしまうのがまた椅子張りの面白いところでもある。

じゃあ、出来ないことって何だろうか?
どこかで、そんなことがあればまた書いておこうと思います。



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