コントロールするのをやめたら、自然が答えを教えてくれた。
もうすぐ、ブルーベリー狩りの季節がやってきます。 私たちの畑には、自慢したくなるほど美味しいブルーベリーがあるのですが、今日はその裏側にある「ある不思議な体験」のお話しです。
農業を通して私たちが学んだ、「守りすぎない勇気」についての物語です。
畑を襲った、絶望的な「異変」
数年前のある日のこと。 ブルーベリー畑をふらふらと散歩していた私は、ある異変に気づきました。
「……ん? 何か実にかじりついているぞ」
よく見ると、それはコガネムシでした。 何気なく幹をポンと叩いてみると、パラパラパラッ……と、10匹、20匹という単位でコガネムシが落ちてきたのです。
虫が苦手な子どもたちが見たら、きっと悲鳴を上げてしまうような光景。 「これはもう、今年のブルーベリーは全滅だ。無理かもしれない……」 そんな絶望感でいっぱいになりました。

追い打ちをかける「20羽の来客」
翌日、追い打ちをかけるような出来事が起きました。 畑がなんだか騒がしいので行ってみると、そこには20羽ほどのカラスが群がっていたのです。
「ああ、ついにカラスにまで見つかってしまったか……」
カラスがブルーベリーを食べるというのは、農家にとってはよくある悩み。コガネムシに続き、今度はカラス。大きなカラスが20羽も集まると、正直かなりの恐怖を感じます。
その日はもう、どうすることもできず、ただただ「なすがまま」にされるしかない。そう諦めて帰路につきました。
3日目の朝に広がっていた「奇跡」
さらにその翌日。 恐る恐る畑へ向かうと、そこには昨日までの騒がしさが嘘のような、シンと静まりかえったブルーベリー畑が広がっていました。
「コガネムシはどうなっただろう……」と木を覗き込んで、驚きました。
なんと、あんなにいたコガネムシが、一匹残らず消えていたのです。
カラスたちが食べたのは、ブルーベリーではありませんでした。 彼らは、ブルーベリーの実を荒らしていたコガネムシを、きれいに平らげてくれたのです。

「自然が先生」という生き方
私たちは「自然が先生」という言葉を大切にしています。 誰か人を先生にするのではなく、目の前で起きている現象そのものから学ぶ。人が言っていることはすべて「仮説」。答えをくれるのは常に自然。
今回のことも、考えてみればシンプルな理屈でした。 育ち盛りのカラスが体を大きくするために求めていたのは、糖分やビタミン(ブルーベリー)ではなく、タンパク質(コガネムシ)だったのです。
ここで、ひとつの「もしも」を考えました。
多くの農園では、雑草を防ぐ「防草シート」を敷き、鳥に食べられないよう「防鳥ネット」で畑を囲います。それが農業の「常識」だからです。
でも、もし私たちがその常識に従って「防鳥ネット」で畑をコントロールしていたら、どうなっていたでしょうか?
きっと、カラスは中に入れず、ブルーベリーはコガネムシに食い尽くされていたはずです。
多様性を担保する、ということ
私たちが大切にしている農業のベースは、「環境をいかに広く取り、多様性を担保できるか」ということです。
人間が「鳥は敵だ」「虫は害だ」と決めつけて排除するのではなく、あえてコントロールを手放し、多様な生き物を受け入れる余白(レジリエンス)を残しておく。
すると、自然が勝手にバランスを取ってくれることがあるのです。
子育ても、もしかしたら似ているのかもしれません。 親がすべてをコントロールし、先回りして「ネット」を張ってしまうよりも、少しだけ自然の循環に任せてみる。
未来の地球を生きる子どもたちに、私たちは何を残せるか。 効率や管理だけではない、この「自然の調和」の美しさを、美味しいブルーベリーと一緒に届けていきたいと思っています。
ブルーベリー狩り、6月からはじまります。
今年は、とっても暑い春なので、去年より2週間くらい早まりそうです。
ぜひ、ブルーベリー畑で裸足で走り回って、たくさんのブルーベリーをほおばってくださいね!

