「火の鳥展」最高すぎた。
行って参りました「火の鳥展」
圧倒的な知性の世界
何なんすかコレ…
マジで過去最高の展示会でした。
間違いなく過去一
ただただ心奪われ続ける空間
場所は、六本木ヒルズ「東京シティビュー」
52階まで一直線の専用エレベーターに乗り
扉が開くと
そこは「火の鳥」の世界。

シティビューという立地を最大限に活かした圧巻のエントランス展示。
名場面を切り抜いたモニターのグラフィック展示も素晴らしい。
足元には、どこを歩いて良いのか躊躇うほどの名シーンのオンパレード
東京を360度眺める眺望から
繰り広げられる圧倒的「火の鳥」の世界
明らかに地上ではない浮遊感の中にある展示場
空との抜け感が永遠に続く時間を表現しているかのような没入感
まさに「火の鳥」展にふさわしい特別な空間でした。

全ての漫画家の中のレジェンド中のレジェンド
その大作家の代表作にして最高傑作
その作品の展示会
気分が否応なしに高まる期待、
その期待を超えてくる現実
ヤバない?
私め風情がのうのうと戯言を語って良いレベルではない圧倒的な知性の世界
のたうちまわるほどの感動。
最高。
最高という陳腐な言葉しか出てこないほど最高…。
原画はもちろん、言わずもがな最高。
手塚先生の生原稿を何度も見てきましたが
これは毎度ながら生原稿のみが醸し出す躍動感
存在感、圧倒的パワーはどんな言葉も霞みます。
こんなもん百聞は一見に如かず。
見た人にしか分からない
瞼に飛び込んでくる映像が世界遺産レベル。
日本では本当に過小評価されていると感じますが
100年、200年後にはマジで、ダヴィンチの「モナリザ」のように
世界の美術館で展示されていても何ら不思議ではない人類遺産。
美術品として超一級品であり、
一線級の価値を有する国家財産。
マンガという文化が今後益々発展していくのは明らかで
その巨大化する世界有数の文化において
世界的文化遺産の頂点に君臨するのが
手塚治虫の生原稿ではないでしょうか。
実際、外国人の方が、めちゃくちゃ多かったですし
彼らは異国のカルチャーとしてしっかりとその価値を認識しています。
やもすると国外の方が評価高いのではないかと感じさせるくらいです。
いまや「日本漫画」は世界で賞賛される文化にまで発展しています。
その歴史的大作家の生原稿ってだけで
文化的価値、表現者としての価値、
ひいき目無しに見積もっても世界ナンバーワンしょ。
はい。



さて、ここからは展示物は写真撮影禁止ゾーンへ
冒頭のエントランスで度肝を抜かれた後に続くのは、
「火の鳥」の作品年表がありまして
実際の日本史との連携が記載されていました。
飛鳥時代から奈良、平安、鎌倉、と各エピソードが
どの時代にどのようにリンクしていくのかが
ボードに分かりやすく展示されており
年配の方々がしきりに年表を見ておられました。
…でここで大変な事件が起きます。
実は、事前に写真撮影できない事は知っていたのでノートを持参しまして
ボールペンでメモ取りながら鑑賞していたんですね。
そしたら、
「ボールペン禁止です」って言われたんです。
「ええっ!うそーーん?」マジで!
ボールペン禁止?
どんな厳重なセキュリティ?
仕込みカメラでもあると思われたのか。
わしゃジェームスボンドか?
いやいや、メモくらいええやんって思っていたら
ゴルフの時にもらう使い捨ての鉛筆ありますよね
(薄っぺらくて黒いぐにゃぐにゃのやつ)
あれを手渡されて「これでお願いします」って言われたんです。
あ、まぁ、無いよりはいいけどさ、
あれって数字書く程度のものですやん。
あれでガチメモするってなんかの修行ですか?
しかもそのちっちゃい鉛筆でガチ目にメモを取っていたら
明らかに不審者と断定されたんでしょうけど
数名の方がずっとボクをマークしてるんです。
「なんもしませんて」
ずっとマンツーマンディフェンスか!
って心の中で突っ込んでましたよ。
いや、分かるよ。
分かりますよ。ガチメモしながら鑑賞してる奴なんていないし
怪しさ満点だったのも認めます。
でも
こちとら純粋に原画を楽しんでいるだけですからね。はい。(キッパリ)
しかし
お恥ずかしながら鑑賞後に分かったことなんですが、
実はちゃんとした美術館などはペンの持ち込み禁止なんですって
先の尖ったものやインクの類のものは美術品を傷つけてしまうからだそうで
それを聞いて自分の愚かさに絶望しました…。
無知の私の無礼をお許しくださいませ。
は、!
…ということはやはり手塚先生の生原稿を美術品として捉えて下さっているということなのですね。
改めて無知の私をお許しを~。
というわけで
ガチメモした感想を以下に。
「黎明編」から連載順に生原画がズラリと展示が続くのですが
これはもう圧巻中の圧巻でした。
数々の生原稿を見てきましたが間違いなく今回の原画量は過去最大。
400点とも言える物量。
見た事もない原稿の宝庫でこんな貴重な代物が眠ってたのと思えるものまで凄まじい展示でした。
(マジで入場料とって世界で美術展できまっせ)
火の鳥処女作「黎明編」からは滲み出る迸る作家としての
衝動、生命観は超絶の一言。
作家の肉体と精神のバランスが高次元で融合していたと言える筆圧
乗りに乗っていたのが見て取れる原稿でした。
これはもう本当に感動的。
原稿の美しさもハンパない。
さらには続く「未来編」がさらにも増してエグイ。
序盤はホワイトの量が多くて修正跡から迷いが感じられますが
「未来編」の後半にかけてのペンのラインはヤバかったですね。
滑らかすぎる曲線美は、これぞ手塚を感じさせる躍るような原稿。
天才の息遣いを目の前で感じられる幸せ
いや~これは悶絶でした。
…とまぁこんな調子で見てましたから
「未来編」ですでにハンパない脱力感、これはマジで「太陽編」まで体力持たんぞって思いましたが何とか完走致しました。
そして各編の感想も日が暮れるのでここでは止めておきます。
さて原画の素晴らしさと共にみどころがもう一つ
今回の「火の鳥展」は生物学者の福岡伸一さんがプロデュースされているという事で元々福岡さんの著作好きだったボクは、これはもう最高の展示会になると確信していました。
福岡伸一さんの著作って面白いんですけど難しいんですよね。
今回の展示会の副題も
「火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴」
という素人を一刀両断にぶった切るタイトルで
多くの人を置き去りにする珠玉の副題をぶちかましています。
なんやねん。コレ。
難しすぎるて。

ちなみに2025年大阪万博でも「いのちの動的平衡館」をプロデュースされておりましてそのパビリオンでのコメントがこちら。
「わたしたちのいのちはどこから来てどこへ行くのでしょう。
あらゆるものは壊れ崩れていくというエントロピー増大の法則に抗うかのように、生命は絶え間なく自らを壊しながら作り直すことでバランスを保っています。これを「動的平衡」と呼びます。」
はい意味不明
なんのこっちゃさっぱり分かりませんよね。
「エントロピー増大」とか「動的平衡」とか言われても
日常会話にそんなもん一ミリも出てこないんで訳わかりません。
でもここを抑えると
なるほどこれは「火の鳥」だよねってなるんで
少しだけ補足しますね。
「エントロピー増大」とは簡単に言うと
「物事は放っておくと
無秩序な方向に向かって、自発的に元に戻ることはない」
って意味なんですが
例えると
コーヒーにミルクを入れると自然に混ざっていきますけど、
それが自然に戻ることはないってイメージ
「動的平衡」とは
「絶えず動きながらバランスを取り直している」
という状態のことで
例えると
食べ物を食べた時に体の中に入ってミクロにまで解体されて
やがて体に吸収されていきますよね
…ということは
食べ物の分子が人間の分子と入れ替わっているとも解釈できるわけで
こういう状態を「動的平衡」と呼んでいます。
はい。これを整理すると
「エントロピー増大」という死に向かって抗う人間と
すべては輪廻転生のように入れ替わる「動的平衡」
つまりこれって
「火の鳥」で言うところの「宇宙生命」やないかいってことですよ。
頭のいい生物学者から見て
「火の鳥」は「宇宙の法則」に、則っているという訳。
ね、繋がっているでしょ。
今回の展示会も単なるマンガとしての鑑賞物ではなく生物学者から見る
「生命とは何か」を読み解こうとする展示会なのであります。
世界に誇る日本の天才作家と
生物学者による壮大な生命哲学を巡る展示会
ヤバイっすね。
これで奥深すぎてボクなんかが語っていいレベルの展示会ではないことが分かってもらえたかと思います。
あとね、面白いのが
福岡さんが「火の鳥」の謎を解くカギが
「火の鳥休憩」にあるとしていることです。

この「休憩」とは
連載中の「羽衣編」が終わって一息ついたときに描かれた
正式なエピソードとは違うたった6ページの
文字通り「休憩」の火の鳥なのですが
福岡さんはこの中に作者の本当の意図を見出し
「火の鳥」を理解する上でとてつもなく重要な資料と位置づけています。
詳しくは省きますが
「休憩」の最後のコマ、
この布の中が手塚先生の遺体だと福岡さんは言ってるんです。
この発想はボクにはなかったです。

言われてみれば…「ああっ」って思いましたね。
手塚先生自身の躯の上に火の鳥が舞い降り
次の世代に引き継がれていく…。
今回の
「火の鳥展」のキービジュアルとして選んだのもこれが理由とのこと。
いや~この布が手塚治虫の聖骸布ならぬ遺骸布であったと仮説するのは参りました。
その他にも福岡さん生物学者の視点から見る
「火の鳥」考察、かなり刺激的な体験させてもらいました。
あと横尾忠則さんと福岡さんとの対談もあってここで横尾さんが
クリエイティブな仕事に対して
「現世だけの体験で本当の創造は生まれない」
みたいな事を言っていました。
さらにもっと前の前世の経験
手塚先生も含めアカシックレコードを導入してると…。
オカルトっぽく聞こえるんですけど現代美術家の巨匠も
「生」と「死」に対して芸術と生物学の両面のアプローチがあると…
まぁややこしいんですけどめちゃくちゃ面白かったです。
大満足の展示会。
見終わったあと、改めて「火の鳥」の奥深さにひれ伏しましたし
もう一回読んでみようかなって、、、
何回読むねんって話なんですけど
めちゃくちゃ読み返してみたくなりました。
そして新しい「火の鳥」の考察をまた作ってみようかなと
今盛んに作成意欲がたぎっております。
たぎり散らかしております。
やはり何でもそうですけど刺激を受けるというのは
行動の活力になりました。
「火の鳥」熱が冷めないうちに原稿書こうっと。
ではでは。
