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あまりの衝撃度のため手塚治虫自ら封印してしまった曰く付き最終回「ミッドナイト」解説!

今回は「ブラック・ジャック」外伝とも呼ばれる伝説の「ミッドナイト」最終回をお届けいたします。

手塚ファンならド本命の単行本未収録作品
そのあまりの衝撃度のため作者自ら封印してしまった曰くの最終回を
今回はお届けしますのでぜひ最後までご覧になってみてください、


それでは本編行ってみましょう。



本編の前に「ミッドナイト」がどんな作品かご存じない方は
過去記事で解説しておりますのでご覧ください。
今回の記事を存分に楽しみたい方もぜひ前回記事をご覧いただいてから本編をご覧になってみてください。


なんと未収録作が14話もある


それでは「ミッドナイト」最終回を解説する前に「ミッドナイト」には
単行本未収録作品が14話もあることから説明します。

単行本未収録作があるのは手塚作品においては
さほど珍しいことではない…というより日常茶飯事ではありますが
14話ともなるとさすがに多い方になります。

しかも「ミッドナイト」の場合、14話の中に最終回も含まれているので
これはもう大変な珍事であると言えます。

考えてみてください。

最終回がお蔵入りですよ、単行本に収録されていないんですよ。
ファンとしては「どうゆうこと?」って感じですよね。
もう気になって夜も眠れません。

さらに最終回にはあのブラック・ジャックが登場し
「ブラック・ジャック」史上最も困難と言っても過言ではない神業を炸裂させるエピソードになってると言うんですからたまりません。
これにより「ブラック・ジャック」ファンからも注目される伝説の最終回となり話題に拍車をかけるエピソードとなってしまいました。

その内容たるやブラック・ジャックの神業っぷりも凄まじいのですが
「ミッドナイト」のラストとしても
超大どんでん返しすぎて大変な事になっています。
そのレベルたるや超ド級すぎてハンパじゃありません。

ある意味ですべての漫画史の中でもこれほどの意外性をもたらした最終回はないんではなかろうか。
…というくらい凄まじい内容はファンのド肝を抜きました。

そんな衝撃的な結末ですから、掲載当時には読者からの反響が凄まじく
それを聞いた手塚先生はこの最終回を封印してしまいます。

これにより手塚先生が生きている間は
単行本にこの最終回が掲載されることはありませんでした。
よってこの最終回は様々な意味で伝説として語られて
「幻の最終回」になっていく事になるわけであります。


しかし手塚先生の死後、
ついにその封印が説かれることになります。

1998年07月、実に手塚先生の死後9年後に
幻と言われた最終回が解禁され、
現在ではいくつかの単行本で読むことができるようになりました。

…ですが残念ながらこの最終回以外の未収録作品については
完全版として読むことができる出版物は存在しておりません。


復刊ドットコムでも未掲載の復刊を望む声が
常に挙がっている人気作にも拘らず、
なかなか現実化していない状況を鑑みますと
もしかしたら手塚先生本人の意思を尊重しての事なのかも知れませんね。

でも…それなら封印された最終回も公開しないはずですし
なんか色々と大人の事情が渦巻いてそうな感じがします。

事の真意は存じ上げませんが復刊を望む声が高い未収録作品であることには間違いありません。

追記(2023年11月)
なんとこの度36年間の沈黙を破り未収録作公開されました。
詳しくは下記記事にて


幻の最終回

前置きが長くなりましたが今回はそんな曰くの最終回のご紹介です。
掲載されているのは、
秋田文庫「ミッドナイト」第4巻、
ミッドナイト(3) (手塚治虫文庫全集)であります。

ご注意いただきたいのが
「チャンピオンコミックス全6巻」と
「講談社手塚治虫漫画全集全6巻」は収録作品が同じ全52話であり、
こちらには最終回は収録されておりません。

秋田文庫の手塚治虫文庫全集 全4巻と
講談社の手塚治虫文庫全集 全3巻
こちらには全53話収録されており、最終回が収録されております。
ご購入の際にはお気を付けください。

ちなみに新品があればベストですが
中古品の場合プレミア価格がついている場合があります。
上手くいけば中古価格で買える時があったりしますので
その辺りもチェックしてみてくださいね。


そしてこの最終回のエピソードは続きものになっておりまして
最終回だけ読んでも意味が分かりません。

実はこの最終回に至るまでの2話と併せて
最終回込みの3作の連作になっています。
さらにこの3作ともが未収録扱いになっていますが
文庫版には最終回に至るまでの三作とも収録されておりますので
一気に未収録エピソードを3つ読むことができます。

ですが…残りの11作品が未だ単行本化されていない「幻の未収録作品」というわけでファンから根強く復刊が望まれている作品となっています。


ちなみに今回ご紹介するサンプルはブラック・ジャック大解剖に初回限定特典としてついてくるミッドナイト最終回の原画版小冊子でお届けします。
こちらも上手くいけば中古品で入手できますのでぜひ検討してみてください。

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再び追記(2023年11月)
現在は「ミッドナイトロストエピソード」が刊行されたため幻の未収録作品群を読むことができるようになりました。


ここから
ネタバレしますのでここからはご注意ください。

あらすじ



ミッドナイトが乗客を乗せてタクシーを走らせていると突然ミサイルが落ちてきて爆発に巻き込まれます。すでに凄まじい展開…(笑)

道路は崩れ、ミッドナイトと客は、車ごと生き埋めになります。
瓦礫の山に埋もれながら炎に包まれてもはや絶対絶命。
ミッドナイトは救出されるも全身大やけどで助からない状況…
ここでブラック・ジャックが登場

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このとき、ブラック・ジャックが恐るべき決断を下します

それはなんと植物人間の恋人の身体に
ミッドナイトの脳ミソを移植させる事でした。

つまりミッドナイトが女性になる
恋人と合体するって事です。

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そして手術は見事に成功

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愛し合う二人が合体してハッピーエンド
…というようなラストでありますが
すごい簡略化して解説しましたがすごくないですか。コレ。


なんせ主人公が性転換というか、男が女になったのか
はたまた女が男になったのか、どちらともいえる結末を迎え
これには多くの読者が混乱しました。
そして、そのあまりの反響の多さに手塚先生は
この最終回を闇に葬ってしまうわけであります…


これが真の手塚治虫節を解説



これらの読者の反応についてボクがはっきりと断言しておきましょう。


「分かっていない!」

「多くの読者は手塚治虫を分かってない!」

このラストはですね、実に手塚治虫らしいラストなんです!
なのに何を言ってるんだと言いたい。
むしろこんなドストレートな手塚治虫を解放してくれて感謝しなくちゃいけないレベルです。

まず…男女が一緒になるって「火の鳥復活編」ですでにやっております。
ロビタです。ロビタ。はい。
ご存じない方もおられるかも知れませんが
ロビタって男女の人間が合体した姿なんですよ。
だから男女が合体する描写を描いていても何の不思議もないんです。

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ロビタ


「鉄腕アトム」のアニメ版の最終回のときにも手塚先生は
「アトムの足は実は女の子の足だったんです」って
アトムの足に女の子の足を付け替えるというトラウマ級のラストを
放り込んでくる暴挙もやっています。

むしろ両性具有、雌雄単体描写こそ
手塚治虫節全開のらしさ100%の純血なのであります。

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性を持たない、どちらの性ともとれる描写、キャラクターなんて
手塚作品の中では数えればキリがないですし
「リボンの騎士」のように女性が男性になる究極の美しさ
変容を兼ね備えた生命観も手塚治虫の真骨頂

性の垣根を超えたり境界がなくなって入り混じっていく様子なんて
先生の性癖丸出しのシナリオですから「ミッドナイト」の最終回なんてその集大成ともいえるラストじゃないですか。

ボクなんかこの最後はとんでもなく手塚先生らしい最終回だと思うんですけど、1980年台に入ってからの読者にとってはこの手塚治虫の変態の本質には
ついていけなかったのかもしれないですね。
だから先生も「封印しないとヤベ~」って思ったのかも知れません。

「生命」の本質という視点から見ても
手塚治虫の生命観が炸裂したと言ってもいい出来栄えです。

倫理的にはぶっ飛んでいるかもしれませんが命の連鎖という視点では
「生きる」ことに執着した結果であり
命を繋いでいくという描写はやっぱり手塚治虫らしいオチです。

代表作『火の鳥』は「不死」の象徴と同時に「復活」の象徴でもあります。
永遠という概念は「死なない」という解釈でもありますが
「繰り返す」という意味でもあるわけです。

「死と復活」を繰り返すことこそ手塚治虫の真のテーマ
輪廻転生するようにこの世に何度も生まれ変わり
永劫回帰、続いていく物語こそ手塚作品に流れる根っこのテーマであります

「火の鳥望郷編」では倫理観を超えてでも命を紡いでいく物語ですし
ここら辺は本当に『火の鳥』シリーズ読んで欲しいと思います。

今だからこそ刺激的に感じる描写たくさんありますからね。
日本人ならマジで読んでおきたい傑作ですのでぜひ一読してみてください


なんだか熱い話になってしまいましたが
「ミッドナイト」では若干、手塚節がライトな作品だったにも関わらず、
最後に本気クラスのとんでもないものが放り込まれて読者もびっくりしちゃったのかも知れませんね(笑)
いきなりのギャップに耐えられなかったのかも…。
きっと手塚先生は
ここまで騒がれたことに驚いたんじゃないかと思います。

「おかしいなぁ…
「ブラック・ジャック」も出てきて最高のオチなんだけどなぁ」

って内心思っていたんじゃないでしょうか(笑)

手塚治虫の真のテーマ「黒手塚」に関する深層心理については
こちらの記事でじっくりと解説しておりますので手塚治虫の不思議な変態性を理解できない方はぜひご覧頂きたいと思います。


そもそも内容がどうあれ「最終回」が存在するということ自体が
貴重であるということを忘れないで欲しいですね

手塚治虫に上手く最後を締めて欲しいなんて
望むこと自体が贅沢な悩みなんですよ(笑)
未完や尻切れトンボの作品は数知れず
キッチリオチをつけてくれるだけでこれはもう感謝です

という訳で結論


「オチがあるだけマシ」


ってことで如何でしょうか


さぁ今回は「ミッドナイト」最終回をお届けいたしました。
如何でしたでしょうか。
未だに多くの謎を残したままの未収録作品がある本作
最終回に隠された手塚先生の真意は一生闇の中ではありますが
機会があればご自身の目でその最終回を見届け何かを感じ取っていただければと思います。
最後までご覧くださりありがとうございました。

ではまた次回


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