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ドラマ「新宿野戦病院」

ヨウコというキャラクターのチャーミングで、かっこいいところ全開。
小池さんの体当たりの演技に大絶賛です。

小池栄子さん演じるヨウコ

ヨウコはアメリカ生まれの日系人医者で、ある事情から日本へやってきて、歌舞伎町の「まごころ病院」で外科医として働き始めます。アメリカでは、従軍医として一定年数働くことを条件に、医大や医学部の学費と生活費を全面カバーする奨学金制度があり、貧しかったヨウコはこれを利用したんですね。
 
縫合はおおざっぱかもしれないけど、ヨウコは患者の症例をすばやく判断し、適切な処置をできるすぐれた外科医。知識も経験も、リーダーシップもある。 性格は前向きで明るい。「誰の命も平等に救う」という信念を貫いている。
 
ホームレスのおじさんの命を救おうとする時、おじさんを笑わせて生きる本能を活性化させようと、大声で笑いながら必死で心臓マッサージをする。それでも救うことができなくて号泣。そして、あとは家族に任せて、残りの急患を救うためにすぐクリニックへ舞い戻る。熱さとさばさばが同居したヨウコが、とてもかっこいい。
 
小池さんの英語と岡山弁のミックスが、爆笑必須で、最高です。英語はどこの国のともつかない不思議なアクセントで、半分も聞き取れません。(日本のNetflixでは日本語字幕がついていたらしいですが、私は北米のNetflixで見たので、英語の部分は字幕ナシで、日本語の部分のみ英語字幕付きでした。)ちなみにネイティブの娘たちにも見せましたが、ええっ?理解不可能!となりました。小池さんの英語にも英語の字幕つけてほしかったです。
 
これが悪いわけではなく、むしろ逆!思うにこれは、小池さんが台本を完全に暗記して自分のものにし、演技の一部として表現したものなのです。細かいことは気にしないヨウコの性格にぴったりだし、聞いている方は想像力を働かせ、意味がわからないからこそ熱量が伝わってきて、ぐいぐい惹きつけられる。堂々と、すらすらと出てくるし、彼女のノリと熱さに乗っかっているから、「そうなのね!」となんとなく言いたいことはわかる。小池さんがヨウコの豪快な個性をみごとに表現しているから、彼女の英語も岡山弁も、かっこいいのです!もともと小池さんは派手な表情演技ができ、コミカルが最高に上手いけど、ヨウコはハマり役です。
 
岡山弁で「とても」は「でーれー」、「ぼっけえ」、「もんげえ」らしく、これらの連発が面白い。今度から私も、医療費が高いと感じたら、「でーれー高ぇ」と言いそうです(笑)。

深刻な題材とコメディ要素とトゲ

ストーリーは、歌舞伎町界隈で浮き彫りになる色々な社会問題(ホームレス、外国人労働者、家庭内暴力、性風俗、ジェンダー、認知症や老人の孤独など)を扱っていますが、決して暗くなりすぎず、コミカルな展開によってテンポよくすすみ、抱腹絶倒おもしろい!!そして、最後に胸が熱くなります。継父からの性被害にあって母親と決別する少女、路上で赤ちゃんを産む少女などが、このクリニックから再出発していく。歌舞伎町での医療現場は過酷で、ホームレスの患者、反社の患者も運び込まれるし、爆発事故や新型ウイルス発生時には大量の患者に大混乱のクリニック。それを戦場のつわもののごとくリードしていくのが、ヨウコです。
 
仲野太賀、濱田岳、岡部たかし、余喜美子、生瀬勝久、高畑淳子、平岩紙、柄本明などの登場人物がクセ強キャラで、コメディ部分をもりあげてます。
 
多かれ少なかれ、誰もが表と裏を併せもっているけれど、その代表が舞(橋本愛)。ホームレスや家出少女、外国人を支援するための人権団体を歌舞伎町で立ち上げて誠実に働いているけど、その資金としてSM風俗で収入を得ている。パンデミックの中、外国人差別をする暴徒にバッシングされて彼女がくじけてしまう経緯は、彼女の目的が正しいものだっただけに、すごく残念。でも、ドラマを最後まで見ると、この挫折は次へのステップに必要だったのかもと思えました。
 
そんな中、ヨウコだけは、裏表がなくまっすぐ。信念があって潔く、人からどう思われようと構わない。金持ちだろうが貧乏だろうが、犯罪者だろうが被害者だろうが、平等に患者を助ける。日本の医師免許がなくても助ける。最後の展開で、無免許で医療行為をしていたことを舞に密告され、逮捕されるという展開が、とても無念でした。真面目さとダークさを併せもった舞が、この物語の棘のような役割をしています。さすがクドカン。

ところが、ヨウコは舞のことを怒ってもいないし、かえって舞に「まごころ病院でカウンセラーをしてほしい」と頼みます。こうして舞は自分の居どころを見つけた。風俗から足を洗い、クリニックで働き始めます。そしてなんと、数年後にヨウコはまた中東の戦場に戻って活躍していた。ぶちでっけえな、姐さん。
 
戦場で従軍医として兵士たちが死ぬのを見てきた彼女は、人にとって何が最も大切なのかがわかっているのでしょうね。ヨウコに影響されて、まごころ病院のみんなも少しずつまとまり、生き方が変わっていったと思います。

面白くて、同時に考えさせられるドラマでした。


脚本:宮藤官九郎、演出:河毛俊作
演:小池栄子、仲野太賀、濱田岳、橋本愛、岡部たかし、
余喜美子、生瀬勝久、高畑淳子、平岩紙、馬場徹、柄本明


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