映画感想『プルートで朝食を』
原題「BREAKFAST ON PLUTO」
◆あらすじ◆
アイルランドの小さな町に生まれた赤ん坊パトリック。生みの親は彼を教会の前に置き去りにして行方をくらまし、パトリックは近所に住むブレイデン家の養子として育てられる。幼い頃から綺麗なドレスやお化粧に興味を示し、周囲からは“変わり者”のレッテルを貼られるパトリック。やがて自らを“キトゥン”と名乗り、美麗な青年へと成長した彼は、居心地の悪い田舎町を飛び出し、実の母を探してロンドンへと向かうのだったが…。
2006/07/07記
好き好き好き好き好き!!!
映像の綺麗さ、衣装のステキさ、音楽、時代背景・・・・どれをとってもアタシのツボだ!!
物語はアイルランドの小さな町、ある朝ひとりの男の赤ちゃんが神父の元に捨てられるシーンから始まる。
彼こそがこの主人公パトリックだ。(以下パティ)
彼は里子に出される、義母と義姉との生活で手近にある化粧品やドレスを悪戯に身に着け次第に女装に興味を持ち始める。
成長するにつれ家庭でも学校でも違和感を覚えるようになり彼は産みの母を捜しにロンドンに出る。
ロンドンで彼を待っていたのは虐げられ騙される苦い経験だった。
しかし彼は母を捜すという目的を見失わず前に進む。
この作品の大半はもちろんパティの人生を描いているが時代的に背景がかなり複雑だ。
その大きな要因の一つにIRAがある。
英国との闘争をこの作品では要所要所で盛り込んでいる(チラッとだが“Bloody Sunday”の事か?って場面も出てくる)。
今までもIRAを描いた作品はいくつかあったワタシも何本かは見ている。
しかしどれもそのもの自身を描いた物が多くこの作品の描き方とは違った物だ。
ここではテロそのものよりそのテロに因って普通に生活を送っている人々がどの様な影響を受けているか?と言うこと。
実際この主人公も少なからず影響を受けている一人である。
そして音楽♪
一番印象深いのはオープニングとラストシーンに使われているザ・ルーベッツの「sugar baby love」だ。
一見ポップなこの曲がむしろ少し切なさを感じさせる効果を生んでいるのは間違いない。
この作品のもう一つの魅力はコミカルな場面が少なくないという事!!
ところどころ結構笑える。
パティの様子や言葉、仕草・・・描き方を一歩間違えれば余りにも重過ぎる題材で目も当てられない作品になりそうな所だがこのコミカルな遣り取りが救いになっている。
↓かなりばれちゃてると思うヨ!!!!!
コミカルな遣り取りの話が出たのでアタシが一番気に入った場面を一つ・・・
ロンドンのクラブで目をつけた男性と踊っている時にテロに遭いパティは怪我を負う、が、女装していたため犯行グループの一人と勘違いされる。
「計画を吐け!!」と尋問されるが犯人じゃないのでクチを割りようが無い。
拘束期限の7日が過ぎお互いにヘトヘト。
捜査官はなかなかクチを割らないパティを不思議に思い始め疲れきってぐったりした彼に優しさ(いやチョットした愛情)をも感じる様になる。
「もう休もう」とひとりの捜査官がパティを軽々抱きかかえ(このシーンかなり萌えたわ)外に連れ出す。
しかしパティは外に出ても彼を待っている物が決して良いモノでは無いと解かっている。
彼は捜査官に“スリスリ”しながら「ここに置いて、お願いだから・・・」と懇願するが捜査官は「離れてくれるか?!」とそっけなく云う。
パティは「掃除でも、食事の支度でも何でもするから!!」なんて云いながら食い下がるが結局出されることに。
街に戻り成す術もなくストリートに身を落とす。
そこへもうひとりの捜査官(この役イアン・ハートなんだよね久々に見たけど渋いオヤジで良かったの)がやって来て「本当なら逮捕する所だが」と言うと「逮捕して」とパティ。
しかし捜査官は知り合いが協同でやってる″PEEP SHOW″の店を紹介。
そこで働く事になる。
この一連のシーンは相当気に入ったわ。とにかく会話が楽しいのよ。
文じゃ解かんないわよね!!


この、PEEP SHOWで働く事が物語を急展開させクライマックス~エンディングへ・・・
で、その覗き部屋にパティの出生の秘密を知っているって男が来るんだけどその男こそが彼の父親でありアイルランドの町の神父なの。

彼は母親の居所を教え去るのよね。
パティは電話会社の調査と偽り母に逢いに行くんだけどそこには彼が丁度自分を知り始めた年頃の男の子が居るの、その子の名もパトリック・・・もしかしたら自分がこの子だったかも?って思ったに違いないのよね。
母の愛情を全身に受けているこの子だったかもって。
調査も程ほどに母の元を逃げ帰るようでちょっと切なかった。
彼はアイルランドに戻り父を訊ねるの。
ドアが開いた瞬間何もいえなくて「なんて呼んだら?」って聞くと父は「FATHER(神父)と・・・イヤfather(父親)と・・・」って云うのね、一瞬駄洒落?なんて思っちゃったんだけど、彼だけの父親って意味に繋がってチョットウルルルる~。
結局友人の出産に立ち会うため再びロンドンに戻るパティ。
友人の通う病院でまた幼いパトリックに出会う。
男の子はパティの事を覚えていて話しかけてくる「母が病院で診て貰ってる」と。
パティはこう告げる「お母さんに伝えて、今度は女の子を・・・」って
あぁ、このひと言・・・泣けるわ~。
最後に病院の中庭通路でお互いすれ違って違う方向に歩いていくのそのシーンがなんともすがすがしくてちょっと切なくて・・・で、The Rubettesのあの曲「sugar baby love」が流れるのよね。
この作品俳優凄いんだよね!
なんてったってあのブライアン・フェリーが殺人鬼の役
同監督常連のスティーヴン・レイ
云わずと知れたリーアム・ニーソン
大好きイアン・ハート
アイルランドや英国作品を好んで見ているとよく出会う・・・
ブレンダン・グリーソン、スティーヴン・ワディントン、若手のローレンス・キンラン、新進女優のルース・ネッガ
アイルランド出身の名優盛りだくさんだ!
見応え充分の作品。
タダのげいむーびーでは無いですよ。
あと冒頭の捨て子シーンでオスカーワイルドを彷彿させられちゃって・・・
そしたら最後の最後にO・ワイルドって名前出されてビックリ!!
最後まで読んじゃった人後悔してるでしょ~?
バレバレですみません。
でも、途中で止められなかった。

