【第3回】迷いと決断
パソコンの画面が暗くなり、Zoomミーティングが終了した。
部屋には、先ほどまでの松永の声の余韻が残っていた。
「……私が、地域パートナー……か」
美咲はつぶやいて、椅子にもたれかかる。
さっきまでの緊張がどっと押し寄せてきて、肩の力が抜けた。
目の前のノートパソコンには、松永が共有してくれた地図の画像がまだ表示されたままだった。
色とりどりのピンが立ち、情報がぎっしり詰まったその画面は、確かに「本物」だった。
──やってみたい。
──でも、やれるかな……。
美咲の頭の中では、希望と不安が綱引きをしていた。
営業経験なんてない。
人に何かを勧めるのは苦手だし、地元のお店に話しかける勇気もない。
「うまくいかなかったら、どうしよう」
「断られたら、すごく落ち込みそう……」
どんどん、ネガティブな気持ちがふくらんでいく。
時計を見ると、もう21時を過ぎていた。
冷めたコーヒーに口をつけ、ベッドに潜り込む。
けれど、なかなか眠れなかった。
スマホでなんとなくSNSを眺めていると、ある投稿が目に飛び込んできた。
「やらない理由を考えるより、やる理由を一つ見つけよう。」
その一文が、美咲の胸に刺さった。
自分の中の「できない理由」ばかりを並べていたことに、気づかされた。
──失敗してもいい。
──やってみないと、何も始まらない。
そう思った瞬間、胸の奥に小さな火が灯った。
翌朝。
カーテンを開けると、やわらかい光が部屋を満たしていた。
美咲はノートパソコンを開き、震える手でキーボードを打った。
松永さん
昨日はありがとうございました。
いろいろ不安はありますが、地域パートナー、やってみたいです。
メッセージを送信すると、深く息をついて背もたれに倒れ込んだ。
──もう、戻れない。
でも、今はそれが少しだけ嬉しい。
数分後、松永から返信が届いた。
美咲さん
ご決断ありがとうございます。
一緒に、地元を少しずつ元気にしていきましょう。
シンプルだけど、心の底からあたたかいメッセージだった。
美咲は笑った。
ほんの少しだけ、自分が変われた気がした。
次回、「小さな一歩」へ!お楽しみに!(明日更新予定です)
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