20250212 奥歯に挟まったキャベツをずっと気にしている
(1090字・この記事を読む所要時間:約3分 ※1分あたり400字で計算)
2025年2月12日の日記。書き始めの時間、午後7時31分。
奥歯にキャベツが挟まっている。
それに気付いたのは、午後1時を過ぎた頃。
お昼休憩終了のチャイムが鳴り、さあ残りの仕事も頑張るぞとデスクの前に坐り、張り切ってPCを付けた時だった。
歯磨きのチャンスはとっくに逃していた。
帰宅するまでこの違和感と共に過ごすだろうということをその瞬間悟り、さっきまで燃えていたはずのやる気がシュワシュワと萎えていくのを感じた。
これから退勤時間にかけて、このキャベツはずっといるかもしれないのだ。
口の中に。
奥歯と奥歯の間に。
私の意識の至る所に。
真剣にメールを読んでいる顔で真面目さのアピールをしつつ、舌の先端でもごもごとキャベツを取ろうとしている。
会議で「うんうん」と熱心に頷きながらも、頭部の振動からくる衝撃でキャベツがポロンと落ちてくれないか打算する。
同僚からもらったおやつを美味しそうに頬張っていても、別の食べ物の圧迫によってキャベツが上手い具合に削れて消え去ってくれないかと思索を巡らす。
食堂の皿に盛られた千切りキャベツのひと欠片が、これ程人を狂わせるものとなるとは。
そして一度これを気にし出したら、今度は別のこともどんどん目に付くようになる。
もみあげに1本だけやたらと巻き毛になっている髪の毛があって、それが顔をそっと触れてくる、あの痒さ。
冬の空気で乾燥した手の背の皮がガサガサになり、時折袖の繊維と引っかかって立てるガリっとした音。
なんとなく小腹が空いたような気がして、やっぱりコンビニでおやつを買っておけば良かった、なんで昼食後についでに買わなかったのだとぐるぐる考え始める。
私用のスマホがポケットの中で小さくバイブした。メールかな?LINEかな?アプリの通知かな?それとも、それとも……
ええい!
思い切ってお手洗いに駆け込み、個室でそっとスマホを出して確認した。
TOEICの結果発表連絡だった。
目標点数を達成していた。
ふ……ふおおおおおおおおおおおお!
帰宅後は友人達にTOEICの点数を自慢せねばと考えながら、ルンルン気分で自席に戻る。
もみあげも、手の背の皮も、買いそびれたおやつも、なんかもうどうでも良くなった。
奥歯に挟まったキャベツは、やはり気になったが、舌でぐりぐりと弄っているうちにぷつっと外れた。
いつもこう細かいことばかり気にしながら生きているから、私は大成しないのかもしれない。
それでも、TOEICの点数はちゃんと目標ラインに達成した。
大成しなくても、目標達成は出来ているのだから、それでいいのだ。
明日の昼食こそは、キャベツが奥歯に挟まらないよう気を付けて食べよう。
2025年2月12日の日記。書き終わりの時間、午後8時5分。

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