振り向かないことさ
振り返らないことが前進になる。
それが若さなのか、老成によるものなのかはわからないけど。
制作途中の自身の作品を見て、
「何も完成していない」と落ち込んで無能感に覆われた時があった。
継続的なプロジェクトは、残酷だ。
イラストも、音楽も、造形も。
大きければ大きいほど、途中は“無”に見える。
完成していない。
公開もしていない。
誰からも評価されない。
振り返ると、
「自分はまだ何も成し遂げていない」
そんな声が出てくる。
SNSを開けば、誰かの完成品。
受賞報告。
フォロワー増加。
それに比べて、自分は制作途中の塊だ。
でも、ある時気づいた。
振り返るから、辛いのだ。
制作途中で過去を見ると、
「未完成」しか映らない。
完成とは、未来にあるものだ。
過去を見ても、そこには絶対にない。
だから私は決めた。
振り向かない事さ。
今日やる分だけやる。
昨日と比較しない。
他人と並べない。
制作とは、
“前だけを見る作業”なのかもしれない。
多くの人が途中で折れるのは、
才能がないからじゃない。
振り返りすぎるからだ。
振り返るたびに、
自分を減点してしまう。
私はもう、
減点採点をやめたい。
若さなのか、老練なのかはわからない。
でも、前を向いた方が呼吸が楽だ。
完成は、振り向いた先にない。
歩き続けた先にある。
だから今日も、
静かに、前だけを見る。
完成は未来にしかない。
だから今日は、振り向かない。
そして私は若い
だから振り向かないのさ。
