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【小4/5年】角を矯めて牛を殺すなかれ:中学受験の長期戦を乗り切る「ベターな選択」の重要性

中学受験は、小学校4年生や5年生からスタートすると、本番の6年生の1月・2月まで、かなりの長期間にわたって子どもたちが取り組む「長期戦」です。

多くの場合、直前期になると「どうすれば第一志望校に受かるか」「どうやって成績を上げるか」という点に意識が集中しがちですが、受験勉強を始めた最初の時点から、本番という「区切り」まで、いかに子どもと並走し続けるかが非常に大切になります。

親の「理想」と子どもの「現実」のギャップ

受験期間中、子どもたちはまだ小学生です。楽しい誘惑に負けてしまうこともあれば、点数や勉強のプレッシャーに押しつぶされそうになることもあります。

親御さんとしては、「期限が迫っているのに、なぜやる気が出ないんだろう」「君がやりたいと言ったから、こちらは準備しているのに、どうしてそんなにのほほんとしているの」と感じてしまうこともあるでしょう。

塾や家庭教師に安くない費用を投資しているとなれば、当然、子どもの「姿勢」や「やる気」が一番気になるのは無理もありません。結果として、気づけば子ども以上に親御さんが受験に深く入り込んでいる、という状況は少なくありません。

しかし、その親の「未来への強い思い」「投資の重み」は、なかなか子どもたちには伝わりにくいものです。


ベストではなく、「ベター」な選択肢を受け入れ続ける

この長期戦を親子で乗り切るために、ご家庭での関わり方として私が常にお伝えしていることがあります。

それは、「ベストではなく、ベターな選択肢を受け入れ続けよう」という考え方です。

理想の道(ベスト)と現実の選択(ベター)

私たち大人は、将来のメリットや目標から逆算し、「この時期までにこれをしなければならない」「そのためには、目の前にある楽しいこと(欲望や誘惑)を我慢しなければならない」という「ベストな選択」を理性で理解し、取ることができます。

当然、私たち大人は子どもが一番スムーズに志望校に達成するための「ベストな道筋(最適解)」を描いています。

しかし、子どもたちは必ずしもそうとは限りません。目の前の楽しい遊びやYouTube、アニメといった誘惑に負けてしまうことは当然あります。子どもたちに、大人と同じレベルの「自己犠牲」「逆算思考」を求めるのは、なかなか難しいことです。

「より悪くならない」ためのベターな選択

子どもたちが常に「ベスト」を選べないという現実を前提にしたとき、私たちにできることは、「悪い方に行かないためのベターな選択」を容認し、導いてあげることです。

これは、「その時の選択が、ベストに向かう道でなくても、より悪くならない方向を選ぶ(許容してあげる)」という姿勢です。目の前の誘惑に負けてしまったとしても、「じゃあ、せめてこの範囲で」「せめてやるべきことは終わらせてから」と、「現状維持」または「最低限のブレ」に抑えるような導き方です。

もちろん、この方法では最初に描いた「最適解」からは少し離れてしまうかもしれません。しかし、無理に完璧を強要してすべてが嫌になってしまうよりは、長期的に見てはるかに価値があるのです。

角を矯(た)めて牛を殺すなかれ

ここで、非受験学年(4年生や5年生)の保護者様によくお話しするのが、「角を矯めて牛を殺す」ということわざです。

これは「曲がった牛の角を無理に真っすぐに直そうとして、かえって牛を死なせてしまった」という故事から、「些細な欠点を無理に直そうとして、全体を台無しにしてしまう」ことを意味します。

子どもたちは、自分なりに頑張ろうとしています。全力で勉強に打ち込もうという決意も、誘惑に負けて遊んでしまったという姿も、その時の「本心」でしょう。彼らは、理性と誘惑の間で揺れ動きながら、なんとか受験期まで進もうとしているのです。

そんな彼らに対して、現状できている部分(牛の立派な体そのもの)を認めずに、「なんでそこができないの?」「もっと完璧に!」と、より細かな欠点(曲がった角)を無理に詰めてしまうとどうなるでしょうか。

受験勉強そのもの、あるいは「頑張りたい」という気持ちそのものを潰してしまうことになりかねません。

長期的な視野で「現状維持」を評価する

もし、子どもがまだ4年生や5年生の非受験学年で、成績が安定している、または一定の学習習慣が身についているのであれば、そのクオリティがたとえ大人の視点で見て「60点、70点」であっても、まずはそれを「日常生活との折衷案」として認めてあげることが重要です。

「せっかくここまでできるんだから、80点、90点を目指そうよ」と、さらに上を強要してしまうと、もしかしたら現状できていることすら崩れてしまう可能性があります。

長期的に見たとき、無理をさせてキャパオーバーになり、すべてが嫌になってしまうこと(牛を殺すこと)のほうが、マイナスが大きいのです。

まとめ

3年間にわたる受験の道のりで、子どもたちが無理をしすぎて潰れてしまうことなく、最後まで走り切るために、親が持つべき視点は以下の2点です。

  1. 「ベスト」な目標や道筋は描いてあげる。

  2. 日々の「選択」に関しては、本人たちが「より悪くならないベターな選択」をし続けられるよう、寄り添い、導いてあげる。

角を矯めて牛を殺す、という事態にならないよう、「ベストではなくベターな意思決定を許容する」という姿勢が、中学受験という長期戦を乗り切る鍵となるでしょう。


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