本編ではTruefulの設計思想やアーキテクチャの話を中心に書いていますが、今回は番外編として、開発の裏側で「AIとどう付き合っているか」を整理しておこうと思います。
最近はAI生成コンテンツに透かしを入れる動きなど、AIとの協業を明示する流れが強くなってきています。隠す理由もないので、実態をそのまま書きます。
透かしの話
きっかけの一つが、AnthropicがEUのAI Act対応として、2026年8月2日以降にリリースされたClaudeモデルの生成物に透かしを入れる、というニュースでした。生成されたテキストには不可視の電子透かしが埋め込まれ、対応するファイル形式には来歴を示すメタデータが付与される、という仕組みです。オプトアウトはできず、API・Claude.ai・Claude Codeなど全プロダクトが対象になります。
正直これを知った時、「コードは自分で書くにしても、Claudeとのやり取り自体はどのみち残るし、いずれバレるやつだな」と思いました。ただ考えてみれば、バレて困るとしたら「人間が一人で作った」と偽ってる場合であって、自分はそもそも最初からAIと一緒に作ってると公言するつもりだったので、透かしがあってもなくても書く内容は変わらないな、というのが今回の記事の出発点です。
透かし自体は「AIが手柄を横取りするもの」ではなく「これはAI生成物ですよ」と示すための仕組みなので、正直に付き合い方を書いておけば、後から透かしで発覚しても「最初から言ってたな」で済む話だと思っています。
なぜ書くか
Truefulは設計・仕様書を先に固めてから実装に入る、というスタイルで進めています。この過程で普通にAI(Claude)と壁打ちしていますし、これから始める実装フェーズも、コードは自分の手で書いて、Claudeには問題点を指摘してもらう形で進めるつもりです。
「AIを使っているかどうか」を後から詮索されるくらいなら、最初から書いておいたほうが早いし、変に隠すことでもないと思っています。
3層で考えている
自分の中では、AIとの関わり方を大きく3つに分けています。
1. 設計・判断 — 自分
Truefulの19原則やアーキテクチャの意思決定(Electron over Tauri、better-sqlite3の採用、Inspector Agentの3層モデルなど)は、自分で考えて決めています。ここをAIに委ねることはしていません。方向性を決めるのは人間の役割だと思っているからです。
2. 相談・添削 — 先生役
設計で迷ったときの壁打ち相手として使っています。例えば「この設計で本当に大丈夫か」「この判断の弱点はどこか」といった形で、答えを教えてもらうのではなく、こちらの考えの穴を指摘してもらう使い方です。
コードや文章の添削も同様で、「直して」ではなく「なぜこれが問題か」を聞くようにしています。丸投げにしない、というのが自分の中でのルールです。
例えばコード添削では、書いたコードをそのまま直してもらうのではなく、「ここの設計、何が問題か指摘して」という聞き方をしています。修正版をもらって終わりだと、次に似た問題にぶつかったときにまた同じところで詰まるので、指摘してもらった理由の方を自分の中に残すようにしています。
3. 実務作業 — 助手役
一方で、定型的な作業はAIに任せています。具体的には:
- 今日やったことの整理
- Qiita記事(本編)の下書き
- GitHub用のADR(Architecture Decision Record)
- 開発日記
これらは形式がある程度決まっている作業なので、AIに一次稿を作ってもらい、自分で内容を確認・修正する形にしています。ここは正直、素直に「助手」と呼んでいい使い方だと思います。
正直どれも効果を感じていて、優劣をつけづらいです。ADRや開発日記は「後で見返せる形に残す」という地味だけど大事な作業を肩代わりしてもらえますし、Qiita下書きは書き始めるハードルを下げてくれます。今日やったことの整理は、それ自体が次の日の作業の見通しにもなるので、一番日常的に助けられている作業かもしれません。
ルールを破りそうになった話
「丸投げしない」と決めてはいるものの、正直何度か崩れかけたことがあります。
一番きつかったのは、システムの処理順序がどうしても頭に入ってこなくて、パンクしかけた時です。設定ファイルの修正が絡んでくると、共通規格からどこまではみ出していいのか、共通規格自体はどこに保存すべきか、命名規則はどう揃えるべきか、といった細かい判断が一気に積み重なって、正直「もう全部答えだけ教えてほしい」という気持ちになりました。
そういう時は「答えだけ」を求めがちになるので、意識的に「なぜそうなるのか」の説明を先にもらってから、自分で手を動かすようにしています。パンクしそうな時ほど丸投げの誘惑が強くなる、というのが正直な感想です。
まとめ
- 判断は自分、相談は先生役、雑務は助手役 — この3層で切り分けている
- どの層でも、最終的な意思決定や公開する内容の責任は自分にある
- 隠す理由がないので、今後もこういう形で明記していくつもりです
本編の技術的な話は引き続き別記事で書いていきます。番外編は今後も、必要になったタイミングで追加していく予定です。