maker faire tokyo 2026に出展します!
今年はロボット・AIカテゴリで出展します。
昨年、初めてメイカーフェアに出展させていただきました。
当日はたくさんの方にブースへお越しいただき、ロボットやものづくりについてさまざまなお話をすることができました。自分にとっても大変良い刺激になりました。お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。
ブースでは、展示していたロボットについて口頭でいろいろと解説していたのですが、初出展だったこともあり、仕組みや設計意図を読んで理解できるようなポスターなどは用意できていませんでした。
そこでこの記事では、ほぼ1年前のことではありますが、自分自身の備忘録も兼ねて、当日展示したロボットについて紹介していきます。
前回のメイカーフェアでは2体のロボットを展示しました。今回は、そのうちの1体である二足歩行ヒューマノイドロボット「スピロ」を紹介します。
スピロ
「スピロ」は、小型の二足歩行ロボットです。
このロボットでは、機能だけでなく、特に見た目や全体のプロポーションにこだわって設計しました。一般的な小型のヒューマノイドロボットの構造をそのまま採用するのではなく、作りたい外観から逆算して関節構成を考えています。
中でも、特にこだわったのが脚部の構造です。
脚部の関節構成
脚部は、脚全体の長さをできるだけ短くしながら、股関節と足首の関節軸間の距離をなるべく確保できるように設計しています。
脚を短くした理由の一つは、使用しているモーターの出力です。スピロで使用しているモーターはDynamixel XL330-M288-Tです。そんなに大きなトルクを出せるものではないため、リンクを長くすると、関節に必要なトルクも大きくなります。
そこで、リンク長とロボット全体のサイズをできるだけ小さくすることで、モーターへの負荷を抑える方針としました。
一方で、単純に脚を短くすると、全体のプロポーションが詰まって見えてしまいます。そのため、股関節側と足首側の関節軸の配置を工夫し、見た目としては脚が長く、すっきりと見えるようにしています。
特に、股関節と足首の関節軸をそれぞれ直交するように配置することで、ガンプラやアクションフィギュアに近い関節構成とシルエットを目指しました。
歩行性能を最優先して関節を配置するのではなく、見た目と機能の両方が成り立つ位置を探りながら設計した部分です。
機能・できること
スピロには、メイカーフェア2025出展時点で以下の動作を実装していました。
二足歩行
前進、後退、旋回ができます。
歩行中はIMUで機体の傾きを計測し、姿勢を補正する制御も入れています。ただし、メイカーフェア出展時点ではまだ完全に調整できている状態ではなく、実装と調整を続けている段階でした。
特に左右へ重心を移動する際の安定性には、ある程度効果が出ていたのではないかと思います。
横方向への平行移動については、現在実装中です。
転倒状態からの起き上がり
転倒した状態から自力で起き上がるモーションも作成しています。
メイカーフェア2025出展時点では、仰向けに倒れた状態からの起き上がりのみを実装していました。
現状はうつ伏せからの起き上がりも実装しています。
各種モーションの再生
歩行以外にも、ダンスなどあらかじめ作成したさまざまなモーションを再生できます。
ハンドによる把持
腕の先端にはハンドがあり、片手で物をつかむことができます。
また、左右の腕を連動させることで、両手で物を持つ動作も可能です。
椅子への着座と立ち上がり
椅子に座る動作と、座った状態から立ち上がる動作も作成しました。
歩行だけでなく、周囲の物や環境と関わる動作を増やしたいと考え、実装したモーションです。
一連の動作は、以下の動画で確認できます。
デザインについては格好良い方向を目指して作ったのですが、実際に動かしてみると、小型ロボットならではのサイズ感もあり、思っていた以上にかわいらしい動きになりました。
ハード・メカ構成
スピロは、片脚6軸、片腕4軸の合計20軸で構成されています。胴体部分には可動関節を設けていません。
右脚:6軸
左脚:6軸
右腕:4軸
左腕:4軸
合計:20軸
使用しているモーターは、すべてROBOTIS製の「DYNAMIXEL XL330-M288-T」です。
フレームの灰色の部分は、すべて3Dプリンターで製作したABS製の部品です。
部品の多くを3Dプリントで製作することで、関節配置や外形を比較的自由に設計できるようにしています。また、破損した場合に必要な部品だけを再出力できることも、イベント展示を行う上ではメリットになります。
電気・制御回路
電源は、LiFePO4バッテリーの2セル構成、または外部DC電源から供給できます。
メイカーフェアの会場では、長時間連続して動作させる必要があったため、基本的には外部DC電源を使用していました。
電源は、自作したハブ基板を経由して各四肢へ分岐しています。この基板には、電源を分配する機能に加えて、制御側のUARTとDYNAMIXELのTTL通信を接続するための回路も搭載しています。
このハブ基板はJLCPCBに依頼し、基板製造だけでなく、一部の部品調達と部品実装まで行ってもらいました。
使用している電子部品は、基本的に秋葉原などで入手可能なものを選んでいます。特殊な部品に依存しすぎず、故障や改修の際に交換部品を調達しやすい構成を意識しました。
ハーネスと配線
ハーネス類は、ロボットの各部に合わせて、すべて適切な長さになるように作り直しました。
既製のケーブルをそのまま使うと余った配線が外側に大きく出てしまい、見た目が悪くなるだけでなく、動作中に関節へ巻き込まれる可能性もあります。
そのため、それぞれのモーター間の距離を確認しながら、1本ずつ長さを合わせて製作しました。
これが思っていた以上に大変な作業でした。
一番短い部分は、長さが1cm程度しかないのではないかと思います(笑)。
手間はかかりましたが、その分、余分な配線が目立たず、全体としてすっきりとした見た目に仕上げることができました。
モーション作成
ロボットの各種動作を作成するため、PC上で動作するモーションエディターも自作しました。
このモーションエディターはUnityを使用して開発しており、PC画面上でロボットの姿勢を確認しながら、各関節の角度やモーションの流れを編集できるようにしています。以下のような機能があります。
3Dモデルによる姿勢のプレビュー
キーフレームの登録
モーションデータの保存と読み込み
再生速度の調整
歩行、起き上がり、着座、把持といった動作は、このエディターを使って姿勢を調整しながら作成しました。
実機だけを見ながら関節角度を一つずつ設定するのは難しいため、3Dモデル上で全体の姿勢を確認できることは、モーション作成の効率化に役立ちました。
2日間の連続デモ
メイカーフェアの2日間は、ほとんど休憩なしでロボットを動かし続けていましたが、大きな故障は発生しませんでした。DYNAMIXEL優秀です。
動作中に何度か転倒することもありましたが、幸いモーターや3Dプリント部品を含め、破損することなく2日間のデモを終えることができました。
故障に備えて、交換用のモーターや予備の3Dプリント部品も会場へ持って行っていたのですが、出番がなくて本当によかったです。
今回の展示を通じて、少なくともイベント会場で繰り返しデモを行える程度の耐久性があることも確認できました。
展示を終えて見えた改善点
一方で、実際に展示してみて分かった改善点もありました。
メイカーフェアでは、ロボットをPCから操作していました。しかし、PC側の操作ソフトは、UIを含めてまだ使いやすい状態に仕上がっておらず、モーションの選択や操作に時間がかかってしまう場面がありました。
その結果、ロボットの動作を待っていただいているお客さんを、何度かお待たせしてしまいました。
開発中は、自分が操作方法を理解しているため、多少使いにくいUIでも問題なく操作できてしまいます。しかし、展示会のように、その場ですぐ次の動作を選択し、説明と並行して操作する環境では、普段とは異なる使いやすさが求められることを実感しました。
今後は、以下のような改善を行いたいと考えています。
操作画面の整理
よく使うモーションをすぐ選べる機能の追加
デモ動作の自動化
ロボットの状態を分かりやすく表示する機能
単にロボット本体を作るだけでなく、人に見せるための操作環境まで含めて設計することが重要だということが良くわかりました。
おわりに
今回は、メイカーフェア2025で展示した2体のロボットのうち、二足歩行ロボット「スピロ」を紹介しました。
設計当初から見た目を重視しつつ、限られたモータートルクの中で実際に歩行や各種モーションを行えるよう、関節構成やサイズ、配線などを調整してきました。
まだ歩行の安定化や操作ソフトなど、改善したい部分は多く残っていますが、2日間の展示を大きな故障なく終え、多くの方に実際の動作を見ていただけたことは、とても良い経験になりました。
今年もメイカーフェアに向けて絶賛準備中です。今年は引き続きスピロを展示するのと、フィジカルAI関連で、深層強化学習で歩容を獲得した四足歩行ロボットを展示予定です。よかったらブースまで遊びに来てください!




