はじめに
技術ドキュメント・作業ログ・議事録などをMarkdownファイルで蓄積していくと、次第に「ファイル間のつながりが見えにくい」「検索性が低い」といった課題が出てきます。かといって、クラウド型のWikiサービスに乗り換えると、コンテンツの実体がそのサービス内部のデータベースに移ってしまい、手元のファイルとして直接扱えなくなるというトレードオフが生じます。Obsidianは、この間を取るような立ち位置のノートアプリです。
Obsidianの最大の特徴:Vault=ただのローカルフォルダ
Obsidianにおける「ノート」は、すべてプレーンテキストのMarkdownファイルとして、ローカルのファイルシステム上に保存されます。ノートの集まりを管理する単位をVault(ボルト) と呼びますが、その実体は単なる1つのフォルダ(サブフォルダ含む)です。
この設計により、以下のようなことが可能になります。
- 既存のMarkdownファイルが入ったフォルダを、そのままVaultとして開くだけで使い始められる(新規にノートを作り直す必要がない)
- Obsidian以外のテキストエディタやファイルマネージャーでノートを直接編集・移動しても問題なく、Obsidian側が自動的に変更を検知して反映する
- Vaultのルートフォルダに
.obsidianという設定用フォルダが作られ、テーマ・ホットキー・コミュニティプラグインなどの設定はそこに保存される(ノート本体とは別管理)
クラウド型Wikiサービスのように「コンテンツの実体がサービス提供元のデータベースの中にある」形式とは異なり、Obsidianでは常に手元のファイルシステム上にMarkdownファイルの実体が存在し続けます。
ノート同士を繋ぐ「wikilink」
Obsidianでは、[[ファイル名]]という記法(wikilink)でノート同士を相互リンクできます。この記法を使うと、Obsidian側で以下のような機能が有効になります。
- バックリンク: あるノートが、他のどのノートからリンクされているかを自動的に一覧表示する
- グラフビュー: ノート同士のリンク関係を、ノードとエッジからなるネットワーク図として可視化する
通常のMarkdownリンク([表示名](ファイルパス))ではなく[[ファイル名]]という独自記法を使う点が、この機能を有効にする鍵になります。
同期・バックアップの選択肢
Vaultはローカルフォルダであるため、複数端末間での同期やバックアップは別途用意する必要があります。Obsidian公式のSync機能(有料)のほか、Dropbox・iCloud・OneDriveといった一般的なクラウドストレージでVaultフォルダ自体を同期する方法、そしてGitでVaultをバージョン管理する方法もサポートされています。
Gitと組み合わせる場合、コミュニティ製の「Git」プラグインを使うと、一定間隔での自動コミット・自動push/pullをObsidian上の操作から切り離して裏側で走らせることができます。これにより、通常のGitワークフロー(手動でのgit commit・git push)と、バックグラウンドでの自動同期を併用するハイブリッドな運用も可能です。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Obsidianとは | Markdownファイルをローカルにそのまま保存する形式のノートアプリ |
| Vault | ノートの集合を管理する単位。実体はただのローカルフォルダ |
| データの実体 | 常に手元のファイルシステム上にMarkdownファイルとして存在する(クラウドDBに移らない) |
wikilink([[ファイル名]]) |
ノート間の相互リンクを記述する独自記法。バックリンク・グラフビューが有効になる |
| 同期・バックアップ | 公式Sync、クラウドストレージでのフォルダ同期、Gitによるバージョン管理などに対応 |