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お風呂でゲーム実況を見てたら、社長から「休みでも技術を見ないと伸びないよ」と来た話

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Last updated at Posted at 2026-07-30

1月3日、正月休みのど真ん中。お風呂に入りながらスマホでゲーム実況を見ていたら、当時働いていた会社の社長からチャットが来ました。「今なにしてる?」。正直に答えたら、返ってきたのはこういう言葉でした。

こういう休みのときでも、技術的なものを見ておかないと伸びないよ

当時の自分は、正直「何を言ってるんだ、休みだろ」と思いました。3年経った今は、あの言葉は完全に正しかったと思っています。

当時はLLM黎明期。自分はRAG開発という、いま思えばど真ん中の現場に2年間いました。それなのに、その2年間で

  • 業務の外で手を動かしたことが、一度もありませんでした
  • 毎日使っていたLangChainの中身を、読んだことが一度もありませんでした
  • 「自分でも作ってみたい」と思ったことが、一度もありませんでした

貴重な黎明期を、ただの業務として消費して終わった。今でもその後悔がずっとあります。

その反省から動き方を変えて、いまは個人開発のアプリを2本、App Storeでリリースしました。こうしてQiitaで記事も書き、AIの出力の中身を自分で追うようになりました。

この記事は、何をどう消費してしまったのか、そこから何を変えたのかの記録です。いまAIエージェント黎明期を“業務として”触っている、かつての自分のような人には、たぶん他人事ではないと思います。

当時の状況

2023年、大学4年の6月から、とある会社でエンジニアとして2年ほど働いていました。業務内容は、RAG(LLMを使ってPDFなどの外部ソースから情報を検索する技術)を、実際に動くシステムとして組み上げる開発です。

今でこそNotebookLMやNotion AIのような主要なサービスが出てきましたが、当時はLLM黎明期で、自分で道を切り開くような環境でした(当時を知っている人にはLangChainやLlamaIndexと言えば伝わるでしょうか)。

今もっとも勢いのある技術のすぐそばにいたのに、その経験を無駄にしてしまった。まずは、どう消費してしまったのかから書いていきます。

どう消費したか

やっていたのは、振られたタスクをこなすこと。基本的にはそれだけでした。具体的には、

  • 検索精度が悪ければ、その箇所だけ直して、動いたら次のチケットへ
  • ライブラリは使う部分のAPIだけ調べて、動けばよし。中で何をしているかまでは追わない
  • LangChainやLlamaIndexは毎週のように仕様が変わっていたのに、ソースまで読み込まず、表面を撫でて済ませる
  • 業務時間の外では一切何もしない。気になった挙動を家で試す、新しい論文や実装を追う、といった発想がそもそもなかった

ひとつ具体的な話をします。RAGで一番大事なのは検索の精度なのですが、これがなかなか出ない。精度を上げるには、いろんなパターンを試して、検索結果が合っているかを一件ずつ確かめて、また直して……と、試行回数を重ねるほど良くなっていきます。

ただ、当時はその「合っているかの確認」を、自分の目で一件ずつ見るしかありませんでした。今でこそ、精度の評価そのものをLLMにやらせる「LLM-as-a-judge」という方法もありますが、当時の自分の周りにはそういう発想も仕組みもありませんでした。これが地味に面倒で、正直あまりやりませんでした。結果、試行回数が全然足りない。精度を伸ばす一番のチャンスを、「面倒くさい」という理由で自分から潰していたわけです。

定時で終わって、それで終わり。今振り返ると、もったいない時間の使い方でした。

正月のチャットの、続きの話

冒頭のチャットには続きがあります。「お風呂で動画を見てます」と答えたあと、「どんな動画?」と聞かれて、「ゲーム実況です」と正直に答えました。その返答が、あの「休みでも技術を見ておかないと伸びないよ」でした。

でも今になって思い返すと、その社長はとんでもなくすごいエンジニアで、正月だろうとなんだろうと普通に技術に触れている人でした(本人にとっては勉強ですらなく、たぶん趣味なんだと思います)。その人が技術に向き合っている時間に、自分はゲーム実況を見ていた。これは追いつけないな、と今は思います。そして、追いつけないにしても、あのとき少しでも手を動かしていれば、伸びしろはいくらでもあったはずでした。

なぜそうなったか

理由ははっきりしていて、ただ受け身だったからだと思います。当時の自分の頭の中は、だいたいこんな感じでした。

  • 言われた業務をやればいい
  • 会社とプライベートは分けるもの
  • お金がもらえればそれでいい
  • 振られたタスクを期日までに終わらせる、それが仕事

雇われている側の考え方として、間違ってはいないと思います。ただ、それだけでした。手は動かしていましたが、全部が義務感で、その先の「なんでこう動くんだろう」「自分でも作ってみたい」がまるでなかった。

スキルが足りなかったわけではありません。RAG自体は実装できていました。足りなかったのは、目の前の技術を自分のものとして取りに行く意識のほうでした。

こうして書くと自分のことを責めているようですが、たぶん自分が特別ダメだったというより、受け身で働いていると誰でも自然とこうなってしまう類の話だと思います。

本当はこうすればよかった

当時、ライブラリのドキュメントを読んで、チームで勉強会をする取り組みがありました。学ぶ機会自体は、ちゃんとあったんです。

ただ、自分はそこで「読んで、わかった気になる」で止まっていました。本当はそこから、「これは中で何をやってるんだ?」と自分で検索を繰り返して、もう一段も二段も深く理解しにいくことができたはずです。その一歩を、踏み込まなかった。

言い訳をすると、当時はAIに聞いてもまだ精度が低くて、深いところは自分で英語のドキュメントやソースを追うしかありませんでした。それが面倒で、表面で止まっていた部分はあります。

当時やっていたことと、本当はやれたことを並べると、だいたいこんな感じです。

当時やっていたこと 本当はやれたこと
使うAPIだけ調べて、動けばOK ライブラリの中身・ソースまで読む
精度の確認が面倒で試行回数が少ない 評価を回数こなして精度を詰める
勉強会で「わかった気」で止まる 気になった所を自分で深掘りする
業務時間の外はノータッチ 個人でも手を動かす・最新を追う

そして今は、AIに「これってどういう仕組みで動いてるの?」と聞けば、どんどん深掘りしていける時代です。あの頃いちばんしんどかった「自分で深く理解する」作業の、ハードルが劇的に下がっている。だからこそ、今はやらないと嘘だなと思っています。

少し生々しい話をすると、あの2年を本気でやれていたら、AI人材としての今の自分のスタート地点は、もう何歩か前にあったはずだと思います。

そして今、何を変えたか

この反省を踏まえて、今は同じ消費の仕方をしないよう意識して動いています。

  • 業務で使うだけで終わらせず、個人でもアプリを作って世に出す
  • 学んだことや失敗を、こうして記事として外に出す
  • AIの出力をそのまま受け取らず、「なぜこう動くのか」をAIにも聞きながら一度は自分で追う

実際に、チームで毎日の習慣を続けるための ヨセ と、SNSやYouTubeをOSレベルで遮断して作業に“潜る”集中タイマー ノーチラス の2本を、App Storeで公開しています。

ノーチラスは、こんなアプリです。「何に潜るか」を選んで“潜る”と、決めた時間まで他のアプリが開けなくなり、途中で浮かんだ雑念はその場で書き捨てられます。

何に潜るかを選ぶ 潜っている間(時間まで浮上できない)
ノーチラスのホーム画面 ノーチラスのセッション画面

AIエージェントやAIコーディングという、当時とよく似た黎明期のなかに、今またいます。油断すると「出力を眺めて、動いたからOK」で終わらせてしまう自分も、正直まだいます。

そして、これを読んでいる人の中にも、同じように「仕事だから」「流行っているから」という理由でAIを触っている人は多いと思います。3年前の自分がまさにそうでした。自分が黎明期のど真ん中にいることに、当時はまったく気づいていませんでした。

今触っているものが、ただの仕事やただの流行りに見えていても、後から振り返ると案外貴重な時間だったりします。だから、せめて同じ場所にいる人には、自分みたいにその時間を無駄に消費してほしくない、と思っています。まずは今日の業務で気になった挙動をひとつ、AIに聞きながら「なぜこう動くのか」まで追ってみてほしいです。自分自身も、もう一度同じことをしないように、手を動かしている最中です。

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