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野生の棕櫚 (中公文庫 フ 17-2)
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1937年――人妻シャーロットと恋に落ち、二人の世界を求めて彷徨する元医学生ウイルボーン。(「野生の棕櫚」)
1927年――ミシシピイ河の洪水対策のさなか、漂流したボートで妊婦を救助した囚人。(「オールド・マン」)
二組の男女/二つのドラマが強烈なコントラストで照射する、現代の愛と死。
アメリカ南部を舞台に、実験的かつ斬新な小説群を、洪水的想像力で生涯書き継いだ巨人、ウィリアム・フォークナー。
本作は、「一つの作品の中で異なる二つのストーリーを交互に展開する」という小説構成の先駆となったことで知られる。原著刊行(1939)の直後、ボルヘスによってスペイン語訳され(1941)、その断片的かつ非直線的な時間進行の物語構成により混沌とした現実を表現する手法は、コルタサル、ルルフォ、ガルシア=マルケス、バルガス=リョサなど、その後のラテンアメリカ文学に巨大な霊感を与えた。
他方、現代日本の小説にも、大江健三郎(『「雨の木」を聴く女たち』)や村上春樹(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』)、叙述トリックを用いたサスペンス小説(連城三紀彦は本作を生涯の10冊に挙げている)など、本作の影響は数多見受けられる。
また、ゴダール(『勝手にしやがれ』)、ジャームッシュ(『ミステリー・トレイン』)における言及で本作を知る映画ファンも多いだろう。
その意味では、文学のみならず20世紀カルチャーにおいて最大級の方法的インパクトを与えた、世界文学史上の重要作にして必読の傑作だといえる。
これまで日本の新刊書籍市場ではなかなか入手できなかった本作を、『八月の光』『サンクチュアリ』『兵士の報酬』などの名訳によって定評のある、加島祥造訳にて復刊する。
- 本の長さ464ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2023/11/21
- 寸法2 x 10.5 x 15.1 cm
- ISBN-104122074479
- ISBN-13978-4122074477
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商品の説明
著者について
一八九七年アメリカ合衆国ミシシッピー州生まれ。第一次大戦で英国空軍に参加し、除隊後ミシシッピー大学に入学するが退学。職業を転々とする。地方紙への寄稿から小説を書きはじめ、『響きと怒り』(一九二九年)以降、『サンクチュアリ』『八月の光』などの問題作を発表。米国を代表する作家の一人となる。五〇年にノーベル文学賞を受賞。一九六二年死去。
加島祥造
一九二三年、東京・神田生まれ。早稲田大学文学部卒業。信州大学、横浜国立大学、青山学院女子短大にて英米文学を教える。詩人、タオイスト、墨彩画家。四七年、北村太郎、田村隆一らとともに詩作グループ「荒地」に参加。壮年期まで翻訳を中心に行い、フォークナーをはじめ百作近くを手がける。その後、英訳された漢詩によって「老子」を知り、老荘思想関係の著作を刊行。『タオ 老子』『求めない』などがロングセラーとなる。二〇一五年死去。
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社
- 発売日 : 2023/11/21
- 言語 : 日本語
- 本の長さ : 464ページ
- ISBN-10 : 4122074479
- ISBN-13 : 978-4122074477
- 商品の重量 : 1 g
- 寸法 : 2 x 10.5 x 15.1 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 178,099位 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について

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カスタマーレビュー
日本からのトップレビュー
- 星5つ中5つ
フォークナー作品の入門としても良さそう。
2026年2月16日に日本でレビュー済み難解すぎないテーマ、読み切りやすい長さ、他作品との繋がりもなく、文章は現在流通しているフォークナーの主要な作品の中ではかなり読みやすいほうだと思いました(と言っても私もすべての邦訳版に目を通している訳ではないのですが…)。
そもそもが難解な作風/文体で有名な作家です。
それを考えると十分に親しみやすい部類の内容なので、よほど「読みやすさ」を重視する方でないかぎりは楽しめるんじゃないでしょうか。
個人的に、フォークナー作品の中でいちばんお気に入りの『八月の光』と雰囲気が近くて好きでした。『八月の光』ファンにもオススメです。
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翻訳って難しい
2024年3月21日に日本でレビュー済み長らく絶版だった『野生の棕櫚』の翻訳が発売されたので楽しみに本書を手に取ったが、わたしの期待とは少し違っていた。もともと学生時代に『野生の棕櫚』は大久保訳で読み、醫師、自體、絶對など旧字体に読み慣れていないので苦労した。大久保訳とは違って、この度復刊された加島訳はそんなことはない。だが、文のリズムが非常に読みにくい。訳が古いとか訳者の力量不足とか、そういう理由ではない。原文の格調を日本語で再現しようとした結果、全体的に文章の意味が掴みづらくなっているように思われる。
『野生の棕櫚』の書き出し部分をKindle版のサンプルと手元にある大久保訳から引用する。
The knocking sounded again, at once discreet and peremptory, while the doctor was descending the stairs, the flashlight’s beam lancing on before him down the brown-stained stairwell and into the brown-stained tongue-and-groove box of the lower hall. It was a beach cottage, even though of two stories, and lighted by oil lamps—or an oil lamp, which his wife had carried up stairs with them after supper. (Faulkner, Kindle版)
またもノックの音がした――その音は控え目だが執拗につづき、その間に医者は階段をおりはじめていて、彼の懐中電燈は前方の茶色に汚れた階段の壁や、下方の茶色に汚れた実矧張りの玄関ホールを照らした。それは二階屋だったが、しかし海辺の別荘式の建物であって、明りも石油ランプだった――それもひとつしかないうえ、妻君が夕食後に二階へ運んでしまっていた。(加島訳、Kindle版)
ふたたび扉をたたく音がした。あたりをはばかるような、それでいて、一瞬も待てぬといつた調子だ。醫師が階段を降りているときである。懐中電燈の光が、彼の前をかすめて下へ、褐色に塗つた階段坑から、階下の廊下にある褐色塗りの實矧接の戸袋を照らしだした。家は二階造りになつているが、海濱の別荘で、灯りはいくつかの石油ランプを使つていたーーいや、ランプは一つかもしれない。ともかく妻が夕食をすませると、一緒に二階に持つてあがつていた。(大久保訳、7頁)
『野生の棕櫚』の原文の書き出しは、一文目から複文(主節、副詞節のあとに独立分詞構文が続く)である。加島訳では、おそらく原文のリズムを保つために、原文と同じように一文を一文として訳している。それに対して、大久保訳では、一文を一文のまま訳すのではなく、意味のまとまりごとに区切って一文を複数の文に分けている。その結果、加島訳は訓読のように返し読みをしないと意味が掴めない箇所が多々ある。
ちなみに大久保訳は(慣れない旧字体に苦戦するものの)訳文がすっきりしているので比較すると読みやすい。
『八月の光』や『ハック・フィン』など南部文学を訳している訳者の『野生の棕櫚』の訳業は偉大だ。
だが、原文と照らし合わせながら読む人にはうってつけだと思うが、日本語で作品を読むだけだと読みにくいと思った。
たとえ旧字体でも大久保訳のほうがわたしには読みやすいという点で、わたしの期待とは少し違っていた。
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オールドマンのインパクト
2024年1月15日に日本でレビュー済み「野生の棕櫚」と「オールドマン」の二つの物語が交互に現れる当時としては特異なスタイル。それぞれ男女の関係性を描いていますが、作者によれば「オールドマン」は「野生の棕櫚」を書く上で必然的に現れた物語だとか。とはいえ「オールドマン」のインパクトは素晴らしくかっこよかったです。
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読み応えありますね
2024年11月18日に日本でレビュー済み良い本だと思います
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ウィリアム・フォークナ-
2024年3月4日に日本でレビュー済み1930年代にこのような作品を制作するとは、驚異的な才能です。是非皆さんに読んで頂きたい作品です。
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きれい早い
2024年1月30日に日本でレビュー済みとてもきれいな本で、しかも早かったです。ありがとうございました。
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私はちょっと苦手だが、名作なので読んでおいてよかった
2025年3月3日に日本でレビュー済み映画「パーフェクトデイズ」で平山が読んでいて気になった。予備知識全くなし初フォークナー、ちょっと前にヴァージニア・ウルフの「灯台へ」を読んで、100年前の作品なのに良い読書体験ができたので。
うーん翻訳によって異なるのかもしれないが数行にわたる長い文章に行動や事実と考えや注釈が混ざっていてすごく読みにくいし誰の話かわからなくなった。ちょっと俯瞰気味に文章を追うとストーリーがわかってきたが、登場人物に思い入れにくい。状況は荒れているのにちょっとロマンチストというか。ちょっと人間同士の距離感(黒人白人とか)も現代とは異なるのかも。
二重小説というのがああ「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を思わせるのか。そう思うと村上春樹っぽいかも。恋人同士の会話が「勝手にしやがれ」ぽいかも。洪水に流されて誰も落ち着いてない聖書の登場人物のような大変な状況、矛盾に満ちた決断。
自然の描写や気持ちの描写もなんか理屈っぽくて、ダイレクトに共感できないんだなあ。「パーフェクトデイズ」で毎日木漏れ日を撮る平山が読む本、タイトルが「野生の棕櫚」というからもっと自然ぽいのかと思ったが、結構人間臭いところにフォーカスしてるんだな。今はストイックに暮らす平山の人間臭い過去を想起させてるのかな、と想像。
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楽しみにしてた
2023年12月29日に日本でレビュー済み文庫の形で気軽に入手できるようになって嬉しいです。
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