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「人それぞれ」がさみしい ――「やさしく・冷たい」人間関係を考える (ちくまプリマー新書)
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本音で意見を交わすことも、ぶつかり合うことも、とても難しい。
「人それぞれ」という言葉には、個々人の違いを尊重する一方で、
考え方の異なる者同士が互いに本音で語り合わず、内面に深く踏みこむのを避けようとする側面がある。
相手との距離をとろうとする人間関係のありかたや、「人それぞれ」の社会に隠れた息苦しさを見直す一冊。
人づきあいをしなくても回る社会ができあがっていった中で、
不安定なつながりを維持するべく変化したコミュニケーション、
それでも「人それぞれ」では片付けられない問題、
引き起こされる分断と対立を見ていくとともに、「人それぞれ」のその先を模索する。
【目次】
第一章 「人それぞれ」が成立する社会の条件
第二章 「人それぞれ」のなかで遠のいていく本音
第三章 「人それぞれ」では片付けられない問題
第四章 萎縮を生み出す「人それぞれ」
第五章 社会の分断と表出する負の意見
第六章 「異質な他者」をとりもどす
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2022/1/7
- 寸法10.7 x 1.3 x 17.3 cm
- ISBN-104480684174
- ISBN-13978-4480684172
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商品の説明
著者について
登録情報
- 出版社 : 筑摩書房
- 発売日 : 2022/1/7
- 言語 : 日本語
- 本の長さ : 208ページ
- ISBN-10 : 4480684174
- ISBN-13 : 978-4480684172
- 商品の重量 : 1 g
- 寸法 : 10.7 x 1.3 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: 本 - 148,334位 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について

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2025年1月4日に日本でレビュー済み大学用に購入
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多様性ごっこの問題点
2026年2月4日に日本でレビュー済み私はどちらかといえば、「人それぞれ」という言葉をポジティブに受け取ってきた。成熟、寛容、押しつけない態度。大人の合言葉。便利で、角が立たず、会話も早く終わる。実に都合がいい。本書を読むまでは、ボンヤリそう思っていた。
本書が鋭いのは、この言葉を美徳としてではなく、社会でどう作動しているかという機能として扱っている点だ。「人それぞれ」は受け入れの言葉に見えて、実際には距離を設定する冷却語である。争わない、傷つけない、しかし近づかない。やさしくて、冷たい。
この冷却は、現在の人間関係のあり方とよく噛み合っている。人間関係は市場化し、サブスク化している。本書が示すように、「人それぞれに選べる社会」は、同時に「相手から選ばれ続けなければならない社会」でもある。よい感情を供給できなければ解約。対立は即・終了、となりやすい。
LINEの既読スルー、SNSのブロック、友人関係の自然蒸発、マッチングアプリのスワイプ。どれも「人それぞれ」で片づく。
ハラスメントやキャンセル・カルチャーも、この延長線上にある。本書が指摘するとおり、受け手の「不快」が基準になるほど、言葉のリスクは跳ね上がる。その環境で人が距離を取り、沈黙し、関係を縮退させるのは、臆病だからではない。合理的だからだ。
人は勇気よりも損失を重視する生き物なので、これは仕方ない。
では、他者との共存はどうすれば可能なのか。著者は、対話や言葉遣いの改善といった処方箋を提示する。私はこれに半分だけ賛成する。なぜなら、対話は前提や世界観が違えば、簡単に平行線になるからだ。
哲学者エマニュエル・レヴィナスが言ったように、本物の他者は理解不能で、私の秩序を破壊する性質のものだ。共感できるかどうかは最初から問題ではない。「分からないまま、共生する覚悟」こそが他者論の核心だと私は思う。これは本書の射程外だが、移民など、共感を前提にできない他者と「人それぞれ」共生していく文脈では重要な視点になる。
その点で、現代のリベラルな言説には違和感が残る。気に入った個性は尊重する。共感できる違いは歓迎する。だが、気に入らない他者は「アップデート不足」「対話が必要」と教育対象にする。これを私は、愛情を込めて「多様性ごっこ」と呼んでいる(悪意はない。たぶん)。
本気の「人それぞれ」は、もっと不快だ。
理解しない。分かり合わない。好きにもならない。
そのうえで干渉せずに共存する。
暖かさも物語も成長もない。ただ低温と無関心。皮肉にも、だからこそ持続する。
最後に、平等主義について触れておく。本書では、関係や結果の平等にやや重心が置かれているように感じた。だが、交換が自由に行われる集団では、確率論的に格差は必ず発生する。これは思想ではなく、数学的シミュレーションの必然的な帰結だ。結果の平等を維持したければ、再配分という外力、つまり余剰エネルギーが必要になる。そのエネルギーは、だいたい強い権力を要請する。そこまで考えたとき、私の脳裏に共産主義の悲劇的な歴史がリプレイされた(これは本書の射程外だが)。
総じて本書の価値は、示される処方箋の実行可能性よりも、「人それぞれ」という言葉が社会をどのように冷却しているかを可視化した診断の鋭さにあると感じた。
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個別的で普遍的な現象
2022年1月17日に日本でレビュー済み時代を正確に捉えたナイスなネーミングであります。
モノトーンの統制/配給社会から多様で多彩な「自分だけ」の個性が求められる
消費社会、サービス社会に移行して、みんな一緒から個々人それぞれの
気楽さや個人の尊重を手にした反面、さびしさや不安を抱えるようになった。
マスの季節が過ぎて「個」が試される時代にいよいよ成ってきた感がある。
人それぞれはある意味、思考停止して易きに流れている部分がある。
やはり人それぞれで大きな物語が消滅してロールモデルも無い不安定
な御時勢でスマホを片手にこじんまりした「個」を量産しているのは
定めであるかのように感じるが、一歩でも成熟への道を歩むべきなの
だろうと思う。「人それぞれ」のネガティブサイト、あまり機能しない
アンダークラスへ光を当てているのも良かった。
また都会志向の根なし草はますます大変そうな世の中で、趣味嗜好まで
蛸壺化する世の中で、なかなか分かり合えず、つくづく「お互い様」の
老舗志向の方が良いなと思ったりした。
併せて『アーバン・トライバル・スタディーズ』のレビューも参考になりました。
読後、松竹映画を無性に見たくなりました。
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分断から再度繋がるまでには時間がかかりそう
2022年7月23日に日本でレビュー済み人それぞれという考えは他者を尊重していると見せかけているが、現代の日本ではめんどくさいことから避けたい、意見を言って関係が壊れるのを避けるという意味合いになってきている。
そのため、なるべく意見が対立しない、自分を否定しないような人たちだけと繋がるようになり、同質の集団が構成される。
そこでは異質なものが排除されていくため、より分断が深まっていく。
本書では分断から再度繋がっていくために解決していく手段も提示されているが、時間がかかりそうだ。。
1人で寂しいと思っている方は読むことをおすすめします。
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寂しさの正体
2022年2月27日に日本でレビュー済み自分の好きなもの、心地よいと感じる住居空間や人間関係、仕事に囲まれて暮らすのが幸せだと思っていました。理解し合えるのはそれを分かってくれる人だけで良いと、謙虚とすら思っていました。ふと、「そうではないもの」を切り捨てる時の自分の厳しさに思い至って、この本を手に取りました。「異質な他者」を隣に置きながら、諦めず対話していく、恐れながらも自己開示していく、そうして対立を避け、平和に暮らしていける知恵が私たちにはあるはず。でもそれはとても難しい。多様性を受け入れるのはとても難しい。私は簡単な方へ逃げがちです。
身近な人達の「異質な他者」を違和感として残しておけるのは謂わゆる「おおらかさ」なのかもしれない。実践していきたいです。
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「個の尊重」と「人それぞれ」は同じなのか
2022年8月21日に日本でレビュー済みこの本は、データに基づいた現代の孤独、孤立を「人それぞれ」というキーワードで分かりやすく解説してくれます。
多様性の時代、インターネットが急速に発達した今、「個の尊重」と「人それぞれ」を私たちはどう捉えているのか?現在進みつつある人間関係、日本社会の行く末について大きな示唆を与えてくれました。
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リベラリズム批判の書
2025年8月27日に日本でレビュー済み本書の主眼は、ジョン・スチュアート・ミルが発想し(21頁)現代日本においてはもはや浸透しきった感のある「リベラリズム」=「人それぞれ」(99頁)の考え方が、社会の編成原理として歪みをかかえていることの主張にある(cf. 33頁)。内容はこのように極めて硬派なものであるが、恐るるに足らない。「ちくまプリマー新書」レーベルの趣旨に忠実に従う本書では、①引用数は最小限にとどめられ、②書きぶりは「素直」(189頁)に噛み砕かれ、③具体例も豊富に盛り込まれているからだ。「多くの人が孤立することへの不安を抱えた社会」(52頁)に心当たりがありさえすれば、本書は万人に開かれたものであると言ってよい。
筆者の問題意識については、次の記述に先鋭化している。
誰もが、気を遣いつつも、素直に意見をぶつけ合うことで、よりよい社会を築いていく。そういった対話のある社会が目指されてきたのです。/果たしてそういった社会は実現できたのでしょうか。世の中を見渡してみると、実際に到来したのは、目の前の他者に対して意見や批判をすることを憚り、それぞれが自分の殻に閉じこもる社会、あるいは、検索をつうじて、互いに意見の合致している人のみが結びつき、意見の合わない人は寄せ付けない分断型の社会ではないかと思うこともあります。(28−29頁)
*
個を尊重するはずの「人それぞれ」が、なぜ「分断型の社会」を招来してしまうのか。本書において筆者の提示している仮説は次の4つに集約できると評者は捉えている。
①相手にたいして「〇〇すべきじゃないか」と意見することを、「人それぞれ」の意識化が「萎縮」(98頁)させるから。つまり、おたがいがおたがいの心理的テリトリーを侵犯しないようにする「やさしさ」が倫理として採用されるようになるから。(30−31、48−50頁など)
※ただしそれは、往々にして「無関心」(106頁)の権化・自己責任論にスライドしてしまう。(78−79頁など)
②社会にいまだ「人それぞれ」の要求にみあった十分な選択肢がないから。端的には、社会の未発達(cf. 82-84頁)。ゆえに、「多数派」は未知の領野を開拓しようとする人間に偏見を持ち、得てして非寛容的になってしまう(cf. 90頁)。
※一方の「少数派」は、「多数派」の白い目を恐れ、自分の行動を必要以上に自制しようとする心理に陥ってしまう。(以上、68−72、75−77、123頁など)
③「人それぞれ」という思想には「みんなちがっても、みんな同じ扱いでいい」という平等主義がこびりついており、これがときに「出る杭は打たれる」式の「横並び圧力」へと転化して、対人関係をウチ向きに(=閉鎖的に)しばることになるから。(143−144頁)
④おたがいが「人それぞれ」モードのままに対人関係を構築していくことは、各々の要求を調整させながら(74−75頁)壊れやすい関係性を維持していくことにほかならない。結果的に、ほとんどの人はその難易度の高さを持て余し(42−43頁など)、やがて人間関係の固定化が起こるから。※土井隆義の議論を想起されたい。
要するに、「「人それぞれの社会」には、そもそも個々人を分断し、対話を阻害する斥力といでもいうものがはたらいてい[る]」(171頁)のである。現代社会の分析として正鵠を得たものだろう。
*
ひとつ消化不良の感が残るのは、「迷惑センサー」(110−125頁)をめぐる議論が展開された箇所である。ここは「迷惑」という規範的圧力によって「少数派」の行動の芽が摘まれてしまう事実を列挙する、②の仮説を下支えするパートなのだが、「多数派」が「世のなかに迷惑をかけた(であろう)人」(164頁)を確定していくプロセスについての論及は見られない。これでは、社会学の書籍としては片手落ちだろう。本文全体からすればやや浮いている第5章のフィルター・バブル論を、この点の論述にあててほしかった。最低限、155ページのような図解があれば良かったろうと思う。
4人のユーザーが役に立ったと感じていますフィードバックを送信中...フィードバックを送信中...参考になったフィードバックをお寄せいただきありがとうございます。申し訳ありませんが、投票の記録に失敗しました。 もう一度お試しくださいありがとうございます。数日中に調査いたします。申し訳ありません。このレビューを報告できませんでした。 もう一度お試しください - 星5つ中2つ
若干浅い
2024年2月26日に日本でレビュー済みテーマや視点としてはいいのですが、言語化の問題なのか、思考や表現が研ぎ澄まされていない印象を持ちました。著者にとって新書は初の試みだったようで、分かりやすさを意識した結果なのかもしれませんが、特段おすすめするほどではないかなと思います。
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