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原作を読みたくなりまして購入しました。
凄いドキュメンタリーでした
終戦も近い当時の満州の状況が、民間人それも現在でいえば中学三年生が集団で行動し派遣された農場から父母のもとへ帰り着くまでの苦労を克明につづられており、後世に残す貴重な資料だと思います。作者の田原さんがNHKラジオ深夜便に出演されて執筆に関してのインタビュー形式の放送があり、それを聞いていて是非読んでみたいと強く感じました。放送の最後に田原さんの人生観を五つ述べられてましたが、その中の一つが「世の中に絶対の正義は無い」と言われてました、あとの四つは失念したので本の中で紹介されているかなと期待してましたが、残念ながらその件については全く記述がありませんでした。
しかしながら本文中に、何とか感じ取ることができました。
佐藤優氏の旅行記を読んだ後、15歳の旅行記(正確には移動記録)つながりで本書を読んだ。様々な読み方ができるが、まずは素朴な旅の記録として読んでほしい。新たな示唆に富むと思う。昔を振り返りながら読むのもよいし、また、ハルピン~北京が新幹線ですぐの現代に育った若い世代が、当時の同年代の少年の行動や見たこと感じたことを、少し離れたところから眺めるのもよいと思う。さらに、詳細な当時の現地地図と照らし合わせれば、本書が学術的に非常に高い価値を持つだろう。非常におすすめ。
旧満州は、長野県から渡った人達も多かったので結構知っているつもりだった。
しかし、この本に描かれた15歳の少年たちがソ連国境の最前線で戦争に巻き込まれ、食料もろくに無いまま放浪しソ連軍の捕虜になった事は驚きの事実だった。
去年、映画化された事から、この本を知ったが映画には描き切れなかった衝撃があった。
私たち日本人にとって最も身近な難民問題、それは終戦後の戦時難民問題です。
みなさまにおすすめしたい名著が、映画化もされた本書、『ソ満国境 15歳の夏』です。
太平洋戦争が終わる直前、ソ連と満州の国境地帯で勤労奉仕していた15歳の少年たちがいました。総勢130名。
昭和20年8月9日にソ連軍が突然侵攻してきましたが、少年たちは助けもなく孤立し、約200キロの距離を10日かけて歩いて逃げます。そこから先もソ連の捕虜にされたりして、実家の長春へようやくたどりついたのが10月20日、4人の少年が帰ることができず、また帰還後に衰弱して亡くなった少年もいました。
衰弱の原因は約50日間の捕虜生活と、それと水だったようです。ボウフラがわいた水をのみほし、それでご飯を炊くしかなかったような過酷な状況でした。原作者の田原和夫氏は、こう書いています。
「いつのころからか私は、コップで水を飲むときはコップを目の前に一瞬捧げるようにしてから飲み干すようになった。そして飲み干す瞬間には必ずこのときのたまり水の情景が胸に浮かぶ。のどが渇いたときの一杯の水はほんとうにおいしい。だが私にとっては、それは水の恩を尊び、水に感謝する祈りのときでもある。」
田原「ソ満国境 15歳の夏」p78-79
130名の少年たちは事態の全貌を知らされることなく、ただ逃げまどうしかなかった。田原氏の著書は、執念の資料調べで、15歳の時に知ることができなかった真実の空白を埋めていきます。戦争指導者たちの無責任さを暴き立てます。
田原氏が著書の中で、見捨てられた少年たちのルサンチマンを正直に出しているところが良いと思いました。私憤を公憤にすりかえるのは潔い態度とは思えません。指導者の責任は追及しつづけるべきです。許せないものは許さなくていい。人には「どうしても忘れられないこと」と言うものがあるのですから。
「戦争に負け」、「孤立していて」、しかも「子どもだった」。この三重のハンディの中で難民になるとはどういうことか、とても良く分かる名著です。
このようなことがあったという事実を忘れないために語り継いでいきたいと思います。