性的少数者への理解を促すための基本理念や国、自治体の役割を定めた「LGBT理解増進法」は6月で施行から3年となる。だが、法に基づく具体的な施策の土台となる基本計画はまだ策定されていない。
法律の成果や課題をどうみるか。法案のたたき台をまとめた超党派の国会議員による「LGBTに関する課題を考える議員連盟」会長で、自民党の岩屋毅前外相に聞いた。(聞き手・奥野斐)
「LGBT理解増進法」とは?
正式名称は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」。2023年6月に成立し、施行された。国や自治体、企業や学校に理解を広げるための取り組みを求め、性の多様なあり方を互いに受け入れられる共生社会の実現を目指す。政府には基本計画の策定、年1回の施策の実施状況の公表を義務づけている。
◆「政府、立法府の不作為が問われても仕方ない」
──理解増進法は罰則規定のない「理念法」だ。意義や成果はあったのか。
最大の成果は、性的マイノリティーの課題をより多くの国民の皆さんが知るところになったこと。理解を増進する一助にはなっていると思う。自治体が「パートナーシップ制度」などをさらに整えられるようになってきた。
差別禁止法ではなく、誰かを罰する法律ではない。国や自治体、職場、学校が性的マイノリティーの課題に対応し、それぞれの個性に応じて、尊厳を保って生きることができる人が増えていくことにつながる。
──政府が策定すべき基本計画ができていない。
政府、立法府の不作為が問われても仕方ないと思う。一定程度、検討の時間がかかるのはやむを得ないことだと思うが、策定が遅れすぎている。本来は1年ぐらいで作らなくてはいけない。できるだけ速やかに策定すべきだ。
基本計画は、理解増進の施策を進めるための羅針盤みたいなもの。共通の基盤がないと、地域や事業者間で対応の差が生じる恐れがある。国がスタンダードな考え方を示す必要がある。
──なぜ策定できていないのか。
理解増進法を制定する時にも大議論があった。自民党では、党を二分するような議論が行われたので、後遺症みたいなものがしばらく残った。それを乗り越えて、やらなくてはいけないことをやる環境が整うまでに時間がかかってしまった。
今年3月には、国会で高市早苗総理も「高市内閣で策定をする方向で考えている」と答弁した。推進派も、慎重派も、それぞれに意見交換はしてきているので、それらをくみ取り、政府も慎重に原案を作っていると思う。
◆「身近に当事者がいて課題を実感」
──そもそも、性的少数者の課題に取り組む理由は。
たまたま身近に当事者がいて、課題を実感し、関心を持つようになった。性同一性障害特例法(2004年施行)を作る時は、一兵卒ながら一生懸命やった。だから、議員連盟にも入った。
議連会長だった馳浩・前石川県知事が知事選(2022年)に出るため辞めた際、「頼むからやってくれ」とお願いされ、引き受けた。
一人でも多くの人が、個性に応じて...
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