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Claude Code Agent Teams の気になるコストと性能 -- Solo vs Team の実験記録

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こんにちは、StoreHero で CPO をしている永田です。

前回の記事で Agent Teams の概要とサブエージェントとの違いを整理しました。文末で「次回はレビュー記事を書きたい」と書いたので、今回はその予告を回収します。

https://zenn.dev/storehero/articles/f21d49387577bb

同じタスクを Solo(単独エージェント)と Agent Teams で実行し、コストと品質を定量的に比較しました。実際いくらかかるのか、品質は上がるのか。私自身が知りたかった問いに、実験データで答えます。

実験の設計

対象タスクは、業務ガイドラインの品質改善です。本編 9 ファイル、Appendix 6 ファイル、INDEX 1 ファイルの計 16 ファイルで、合計約 3,800 行の自然言語が対象でした。

作業内容に差が出ないよう、事前に品質改善のワークフローをスキルとして定義しました。Agent Teams 版はスキルをそのまま実行しました。Solo 版は同じ手順に従いつつ、Agent Teams やサブエージェントは使わずに実行しています。

  • Solo: スキルの手順に従い、単独エージェントで実行
  • Agent Teams: スキルをそのまま実行(3 ロール合議: Architect / Writer / Challenger)

モデルは全エージェントで opus-4-6 を使用しています。

コスト計測には ccusage を使う予定でしたが、サブエージェントやチームメンバーのトークンがセッションに紐づかないため、自作の /session-cost スキルで計測しました。

コストの比較

項目 Solo Agent Teams 倍率
合計コスト $5.20 $15.55 3.0x
総トークン数 6.1M 21.3M 3.5x
API 呼び出し回数 52 回 237 回 4.6x
サブエージェント数 0 28 体 -
変更行数 +260/-77 +713/-79 2.7x

Agent Teams のコストは Solo の 3.0 倍でした。内訳はメインセッション(team-lead)が $2.89、サブエージェント 28 体が $12.66 でした。コスト増の大部分はチームメンバーとその内部サブエージェントが占めています。

API 呼び出し回数が 4.6 倍に膨れた原因は、チームメンバー間のメッセージングと、各メンバーが内部でサブエージェントを spawn していることの 2 点です。トークン倍率(3.5x)より API 呼び出し倍率(4.6x)が大きいのは、短いやり取りが多いためと考えられます。

Agent Teams 版の動き方

Agent Teams 版では、team-lead を含む 6 体のエージェントが稼働しました。各メンバーがさらに内部でサブエージェントを呼び出し、延べ 28 体が稼働しています。

チーム構成は Architect 1 名、Writer 3 名、Challenger 1 名、team-lead の計 6 名です。

Phase 内容 結果
Phase 0 セットアップ・チーム構成 5 エージェント体制を構築
Phase 1 Architect 構造診断 9 原則診断、統一ルール策定
Phase 2 Writer 3 名並行改善 全 3 タスク完了(本編 9 章 + Appendix 6 ファイル)
Phase 3 Challenger 6 観点検証 + 修正 指摘 → Writer-3 再 spawn + Architect で全件解決

Phase 1 で Architect が全体の構造を診断し、統一ルールを策定します。Phase 2 で 3 名の Writer がそのルールに従って並行改善し、Phase 3 で Challenger が 6 観点から検証します。指摘があれば Writer を再 spawn して修正する流れです。

並行化だけならサブエージェントでも可能です。Agent Teams の強みは、Challenger が指摘を出し、Writer が修正し、再度 Challenger が検証するという双方向のやり取りにあります。メンバー間で直接メッセージを送り合えるため、このフィードバックループが自然に回ります。

品質の比較

品質評価は、別のセッションで 5 人の評議員を Agent Teams で組織して実施しました。各評議員は異なる専門観点から、両方の PR を独立に評価しています。

評価者 専門観点 判定
evaluator-structure 構造・RAG 最適化 Agent Teams 優位
evaluator-content コンテンツ品質 Agent Teams 優位
evaluator-strategy Strategy 準拠性 Agent Teams 優位
evaluator-risk 変更リスク・副作用 Solo 優位
evaluator-efficiency コスト対効果 Solo 優位(僅差)

投票結果は Agent Teams 3 票、Solo 2 票でした。

合議では 3 つの論点で意見が分かれました。

  • INDEX のフラットセクション一覧(RAG 精度向上 vs 保守コスト増)
  • 凡例の配置場所(本編配置 vs 付録一元化)
  • フロー図の扱い(テキスト追加で冗長性確保 vs テキスト置換で効率化)

いずれも「網羅性と保守性のトレードオフ」という共通の構図です。

Agent Teams の強みは、コンテンツの網羅性、エッジケースのカバー、RAG 最適化にあります。制約確認テーブルや例外処理パターン、双方向参照など、Solo では出てこなかった改善が含まれていました。

Solo の強みは変更の効率です。PR#22(Solo 版)は +260 行のほぼ全量が実質的改善で、無駄な変更がありませんでした。保守性への影響も最小限で、DRY 原則にも忠実です。

一方、PR#23(Agent Teams 版)は +713 行のうち高付加価値は約 300 行(42%)でした。残り約 400 行は INDEX 一覧やテキスト重複など低インパクトの変更です。量が増えることが品質向上と同義ではありません。

AI が AI を評価する限界

ここまでの品質評価には構造的な問題があります。両方の PR を書いたのも Claude、評価するのも Claude です。たとえば Claude が網羅的・詳細な出力を系統的に好む傾向があれば、変更量の多い Agent Teams 側に有利なバイアスがかかります。

ただし、興味深い点もあります。evaluator-risk と evaluator-efficiency の 2 名は Solo 側に票を入れました。特に evaluator-risk は「セクション番号リナンバーの破壊的変更リスク」「用語体系 5 箇所分散の DRY 原則違反」を具体的に指摘しています。評価観点を分けることで、AI 同士でも異なる結論に至り得ることがわかりました。

それでも、この評価を「客観的な品質判定」として扱うのは適切ではありません。定性的な傾向を把握する手段として位置づけるのが妥当です。最終的な品質判断は人間のレビューに委ねるべきと考えています。

ちなみに、この品質評価自体も Agent Teams で実施しました。5 人の評議員を組織した結果、合計 $9.96 かかっています。内訳はメインセッション $2.61、サブエージェント 21 体 $7.35 です。8.3M トークン、112 回の API 呼び出しでした。

実験からの考察

この実験の目的は「どちらが優れているか」を決めることではありません。Agent Teams が従来の使い方と比べてどれぐらいのコスト増になり、そのコストに見合う品質を得られるかを検証することでした。

まずコスト面を見ます。高付加価値な改善 1 行あたりの想定コストは、Solo が約 $0.02 に対し Agent Teams は約 $0.05 でした。倍率は約 2.6 倍ですが、絶対額としてはどちらも十分に安価です。API キーの従量課金でも $15.55 は単一タスクとして現実的な金額です。一方、Claude.ai のサブスクリプションで使う場合は rate limit の問題があります。今回の Agent Teams は 237 回の API 呼び出しと 21.3M トークンを消費しました。Pro プラン($20/月)でも完走できる可能性はありますが、日常的に使うなら余裕のある Max プラン($100/月または $200/月)が安定します。コスト面では Agent Teams の導入障壁は低く、判断基準は「コスト」よりも「rate limit 内で完了できるか」です。

次に品質面を見ます。今回のタスクは 16 ファイル横断の品質改善でした。Solo はファイルを順に処理するため、全体を貫くルールの適用にばらつきが出やすくなります。Agent Teams では Architect がまず統一ルールを策定し、3 名の Writer がそれに従って並行改善しました。さらに Challenger が横断的に検証し、指摘があれば Writer が修正する。このフィードバックループによって、Solo では見落とされがちなファイル間の整合性や、エッジケースへの対応が改善されていました。

ただし、変更量の最適化には課題が残ります。Agent Teams は「深く掘る力」と「変更を絞る力」がトレードオフの関係にあり、タスクの性質に応じた使い分けが現時点での結論です。

まとめ

  • 同一タスクで Solo $5.20 に対し Agent Teams は $15.55 で、コストは 3.0 倍でした
  • 品質評価では Agent Teams が 3 票、Solo が 2 票。網羅性と変更効率で強みが分かれました
  • Agent Teams の +713 行のうち高付加価値は約 300 行(42%)。変更量の増加がそのまま品質向上につながるわけではありません
  • AI による品質評価には構造的なバイアスがあり、人間レビューの代替にはなりません
  • 日常タスクは Solo、品質を深掘りしたい局面で Agent Teams という使い分けが現実的です
  • 今回の実験全体の想定コスト(API 従量課金換算): Solo $5 + Agent Teams $16 + 品質評価 $10 = 合計約 $31 でした
株式会社StoreHero

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