2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格
JIS
B 6905-1995
金属製品熱処理用語
Heat treatment for metal products−Vocabulary
1. 適用範囲 この規格は,鉄鋼及び非鉄金属からなる機械部品,ジグ,工具,金型などの製品(以下,
金属製品という。)の熱処理に関する主な用語及び定義について規定する。
備考 この規格の引用規格を,付表1に示す。
2. 用語の分類 用語の分類は,次のとおりとする。
(1) 熱処理一般
(2) 熱化学熱処理
(3) 高エネルギー熱処理
(4) 拡散浸透処理
(5) 品質・試験
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次のとおりとする。
なお,参考として対応英語を示す。
備考1. 用語欄で用語の一部に丸括弧を付けてあるものは,紛しくない場合には,括弧内の部分を省
略してもよい。
2. 用語欄で,用語の下の丸括弧の仮名書きは,読み方を示す。
3. 定義欄で,用語の後の英語は参考として示すものである。
4. 対応英語欄で,同義語は,セミコロン ( ; ) で区切ってある。
(1) 熱処理一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
熱処理
金属製品に要求される所要の性質を付与する目的で,雰囲
気,加熱,冷却,圧力,電磁気などの組合せによって行う処
理(1)。
注(1) JIS G 0201及びJIS H 0211参照。
全体熱処理
部分熱処理
金属製品の全体にわたって行う熱処理。
金属製品の特定部分について行う熱処理。
表面熱処理
表面硬化(処理)
複合熱処理
金属製品の表面に,所要の性質を付与する目的で行う熱処
理。
金属製品の表面層を硬化するために行う処理(2)。
注(2) JIS G 0201参照。
金属製品において,複数の熱処理などの組合せによる熱処
理。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2
B 6905-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
雰囲気(制御)熱処理 炉内の雰囲気を,目的によってそれぞれ調節して行う熱処理 controlled atmosphere heat
備考 雰囲気には,不活性,酸化性,還元性,浸炭性,
窒化性,浸炭窒化性などのガスがある。
光輝熱処理
保護雰囲気中などで熱処理することによって,表面の高温酸
(こうきねつしょり)
化,脱炭などを防止し,表面光輝状態を保持する熱処理の総
称(2)。
備考 光輝焼なまし (bright annealing),光輝焼入れ
(bright quenching),光輝焼戻し (bright tempering)
などがある。
真空炉中で行う熱処理の総称(1)。
真空熱処理
塩浴炉中で行う熱処理の総称(2)。
塩浴熱処理
(えんよくねつしょり)
流動層熱処理
セラミックスなどの粒子の流動による流動層炉中で行う熱
処理の総称。
備考1. 流動床熱処理ともいう。
2. 流動層焼入れ (fluidized bed quenching),流動層
浸炭 (fluidized bed carburizing),流動層窒化
(fluidized bed nitriding),流動層オーステンパ
(fluidized bed austempering) などがある。
金属の機械的性質を変化させ,残留応力の除去,硬さの低減,
延性の向上,被削性の向上,冷間加工性の改善,結晶組織の
調整,ガスその他不純物の放出,化学組成の均一化などを行
うための処理(3)。
注(3) JIS B 6911,JIS G 0201及びJIS W 1103参照。
備考 保護雰囲気焼なまし (protective-atmosphere
annealing),真空焼なまし (vacuum annealing),箱
焼なまし (box annealing),光輝焼なまし (bright
annealing),完全焼なまし (full annealing) などが
ある。
鉄鋼製品の結晶組織を調整し,軟化するため,Ac3又はAc1 full annealing
点以上の適切な温度に加熱した後,通常は徐冷する処理(3)。
備考 非鉄金属製品の最低の強さと最上の加工性を得
るための焼なまし。
焼なまし
完全焼なまし
(鉄鋼製品の)等温
焼なまし
鉄鋼製品の結晶組織を調整し,軟化を容易にするため,Ac3 isothermal annealing of
又はAc1点以上の適切な温度に加熱した後,パーライト変態 steel
が最も急速に進行する温度よりやや高い温度まで強制冷却
し,この温度に等温変態完了まで保持してから,空冷する処
理(4)。
注(4) JIS B 6911及びJIS G 0201参照。
軟化焼なまし
低温焼なまし
金属の硬さを低下させ,後の塑性加工,切削加工などを容易
にするための処理(4)。
備考 鉄鋼製品の軟化焼なましでは,Ac1点の上又は下
の温度に加熱した後,空冷する。
軟化又は残留応力の低減のために低温度で行う焼なまし(4)。
備考 鉄鋼製品の低温焼なましは,Ac1点以下の適切な
温度に加熱した後,通常は徐冷する。
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3
B 6905-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
加工ひずみ又は残留応力を除去するために行う焼なまし(4)。
備考 鉄鋼製品の応力除去焼なましは,Ac1点以下の適 stress relief annealing
切な温度に加熱した後,通常は徐冷する。
応力除去焼なまし
球状化焼なまし
鉄鋼製品の機械加工性及び冷間加工性を改善し,又はじん
(靱)性を向上するために,炭化物を球状化させる処理(4)。
焼ならし
鉄鋼製品の前加工の影響を除去し,結晶粒を微細化して,機
械的性質を改善するために,Ac3又はAccm点以上の適切な温
度に加熱した後,通常は空気中で冷却する処理(4)。
二段焼ならし
鉄鋼製品の焼ならしと同様に行う処理で,処理後のひずみの
低減を図るために,Ar′点付近の温度より更に炉冷,灰中冷
却などの徐冷を行う処理(4)。
等温焼ならし
焼入れ
焼入硬化(処理)
鉄鋼製品の結晶組織を調整し,軟化するために,Ac3又は isothermal normalizing
Accm点以上の適切な温度に加熱した後,パーライト変態が
最も急速に進行する温度付近まで強制冷却し,この温度に等
温変態完了まで保持した後,空冷する処理(5)。
注(5) JIS B 6911参照。
金属製品を所定の高温状態から急冷する処理(6)。
注(6) JIS B 6913,JIS G 0201及びJIS W 1103参照。
備考 水焼入れ,油焼入れ,塩水焼入れ,熱浴焼入れ,
塩浴焼入れ,空気焼入れ,衝風焼入れ,ガス焼入
れ,噴霧焼入れ,噴射焼入れ,接触焼入れなどが
ある。
金属製品を所定の高温より急冷して,硬化させる処理。
備考 鉄鋼の焼入硬化では,単に焼入れともいう。
中断焼入れ
焼入れによるひずみの発生及び焼割れを防ぎ,かつ焼入れ後
の性質を適切に調節するために,焼入れ途中から金属製品を
引き上げ,大気中に放冷するか,又は適切な冷却剤中で冷却
する処理(2)。
備考 階段焼入れともいう。
時間焼入れ
金属製品を冷却剤中で急冷して,適切な時間保持した後,引
き上げる方法による焼入れ(2)。
プレスクェンチ
部分焼入れ
無心焼入れ
水焼入れ
金属製品で焼入れ変形が発生しないように,プレスして行う
焼入れ(2)。
金属製品の特定部分について行う焼入れ(2)。
備考 局部焼入れともいう。
金属製品の断面中心(心部)まで硬化する処理。
備考 心部焼入れ又はずぶ焼入れともいう。
金属製品を所定の高温状態から,水中で冷却する処理(7)。
注(7) JIS B 6913参照。
油焼入れ
熱浴焼入れ
金属製品を所定の高温状態から,油中で冷却する処理(7)。 oil quenching
空気焼入れ
金属製品を所定の高温状態から,空気中又は適切な送風によ
り冷却する処理(7)。
備考 送風による場合を,衝風焼入れ (air-blast
quenching) という。
金属製品を所定の高温状態から,油,溶融塩(塩浴),溶融
金属などの熱浴中で冷却する処理(7)。
備考 溶融塩による場合を,塩浴焼入れ (salt bath
quenching) という。
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B 6905-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
ガス焼入れ
金属製品を所定の高温状態から,窒素,アルゴンなどの不活
性ガスで冷却する処理(7)。
噴霧焼入れ
(ふんむやきいれ)
噴射焼入れ
接触焼入れ
水溶液焼入れ
(すいようえきやき
いれ)
グリコール焼入れ
金属製品を所定の高温状態から,水などの噴霧で冷却する処
理。
金属製品を所定の高温状態から,水,油,ポリマー水溶液な
どを噴射して冷却する処理。
金属製品を所定の高温状態から,冷し金などに接触させて冷
却する処理。
備考 冷し金とは,冷却を促進させるための金物。
水に高分子物質を添加して,冷却速度を調節した冷却剤を用
いた焼入れ(7)。
備考 ポリマー焼入れともいう。
焼入れにおいて,最小の熱処理変形又は低い残留応力が望ま
しいときに,冷却剤として,ポリアルキレングリコール水溶
液を冷却剤として使用する焼入れ(8)。
注(8) JIS W 1103参照。
冷却剤
マルテンパ
オーステンパ
サブゼロ処理
鉄鋼製品の耐摩耗性の向上,経年変形などを防ぐために,焼
入れ後直ちに0℃以下の低温度に冷却する処理(2)。
焼戻し
焼入れした組織を,変態又は析出を進行させて安定な組織に
近づけ,所要の性質及び状態を与えるために,適切な温度に
加熱し,冷却する処理(2)。
備考1. 鉄鋼製品ではA1点以下の温度に加熱する。
2. 低温焼戻し (low-temperature tempering,
first-stage tempering),高温焼戻し
(high-temperature tempering),繰返し焼戻し
(multiple tempering),二回焼戻し (double
tempering),プレス焼戻し (press tempering) な
どがある。
焼入れに使用される水,ポリマー水溶液,油,ガス,溶融塩
(塩浴),溶融金属などの総称。
備考 水溶液焼入剤(ポリマー焼入剤) (polymer
solution),焼入油 (quenching oil),焼入ガス
(quenching gas) などがある。
鉄鋼製品の焼入れによる変形の発生や焼割れを防ぎ,かつ,
適切な金属組織を得るため,マルテンサイト生成温度域の上
部又はそれよりやや高い温度に保持した冷却剤中に焼入れ
して,各部が一様にその温度になるまで保持した後,徐冷す
る処理(2)。
備考 マルクェンチともいう。
鉄鋼製品の焼入れによる変形の発生や焼割れを防ぐととも
に,強じん(靱)性を与えるために,Ac3又はAc1点以上の
適切な温度に加熱して,安定なオーステナイト組織にしたも
のを,変態を阻止して,そのままフェライト及びパーライト
生成温度以下,マルテンサイト生成温度以上の適切な温度範
囲に保持した冷却剤中に急冷し,その温度でベイナイトに変
態させた後,室温まで冷却する処理(2)。
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B 6905-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
焼入焼戻し
鉄鋼製品をAc3又はAc1点以上の適切な温度に加熱後,適切 quenching and tempering
な冷却剤で急冷(焼入れ),ついで焼入れによるぜい(脆)
性を改善し又は硬さを調節し,若しくはじん(靱)性を増す
ために,Ac1点以下の適切な温度に加熱した後,冷却する(焼
戻し)処理(7)。
(鉄鋼製品の)調質
鉄鋼製品を焼入硬化後,比較的高い温度(約400℃以上)に thermal refining
焼戻して,トルースタイト又はソルバイト組織にする処理
(非鉄金属製品の)
調質
溶体化処理
時効硬化処理
真空焼入れ
真空焼戻し
アルミニウム合金,銅合金などにおいて,所定の機械的性質
などを得るために行う熱処理及び冷間加工又はその組合せ
の処理。
金属の合金成分が固溶体に溶解する温度以上に加熱して,十
分な時間保持し,急冷して,その析出を阻止する処理(9)。
注(9) JIS G 0201及びJIS W 1103参照。
備考 固溶化熱処理ともいう。
硬さ,強さ又は耐食性などを増進させるために適切な高温,
又はある種類の合金や質別に対しては室温で,溶体化処理
(固溶化熱処理)した製品を均熱保持する処理(8)。
備考 析出熱処理ともいう。
真空炉を使用して,真空又は少量の不活性ガス中で加熱後,
冷却剤として,水,油又はガスで焼入れする処理。
備考 真空水焼入れ (vacuum water quenching),真空油焼
入れ (vacuum oil quenching),真空ガス焼入れ
(vacuum gas quenching) などがある。
真空炉を使用して,真空又は少量の不活性ガス中で焼戻温度
に加熱後,真空中又は不活性ガスなどで冷却する焼戻し。
(2) 熱化学熱処理
番号
用語
定義
対応英語(参考)
熱化学(熱)処理
金属製品と雰囲気又は処理剤との化学反応及び熱拡散を利
用した熱処理の総称。
備考 浸炭,浸炭窒化,窒化,軟窒化,浸硫窒化などが
ある。
鋼製品の表面層の炭素量を増加させるために,浸炭剤中で
加熱する処理(2)。
備考 浸炭剤の種類によって,ガス浸炭,真空浸炭,液
体浸炭,滴注浸炭,固体浸炭などがある。
鋼製品を浸炭後焼入れする処理。
浸炭
浸炭焼入れ
直接焼入れ
ガス浸炭
浸炭又は浸炭窒化温度などから,直接に焼入れする処理。 direct quenching
鋼製品を,浸炭性ガスの中で加熱し,浸炭を行う処理(10)。
注(10) JIS B 6914参照。
真空浸炭
液体浸炭
鋼製品を,真空炉において,減圧した浸炭性ガスの中で加
熱し,浸炭を行う処理(10)。
鋼製品を,液体浸炭剤(浸炭塩浴)の中で加熱し,浸炭を
行う処理(10)。
備考 塩浴浸炭ともいう。
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B 6905-1995
番号
用語
滴注浸炭
固体浸炭
炭化物分散浸炭
高温浸炭
透過浸炭
エンリッチガス
浸炭性ガス雰囲気のカーボンポテンシャルを増加させるた
めに添加する炭化水素などのガス(2)。
浸炭窒化
鋼製品の表面層に炭素を主体として,窒素を同時に拡散さ
せる処理(2)。
備考1. 浸炭浸窒ともいう。
2. 浸炭性ガスにアンモニアを添加して行う,ガス
浸炭窒化などがある。
3. 装置によって,真空浸炭窒化 (vacuum
carbonitriding),プラズマ浸炭窒化 (plasma
carbonitriding) などがある。
窒化
(ちっか)
ガス窒化
金属製品の表面層に窒素を拡散させ,表面層を硬化する処
理(2)。
備考 ガス窒化,プラズマ窒化などがある。
金属製品をアンモニアガス中で加熱し,窒化する処理(11)。
注(11) JIS B 6915参照。
軟窒化
ガス軟窒化
塩浴軟窒化
酸窒化
カーボンポテンシャ
ル
定義
対応英語(参考)
鋼製品を,滴注剤による浸炭性ガスの中で加熱し,浸炭を
行う処理。
備考 滴下浸炭ともいう。
鋼製品を,固体浸炭剤の中で加熱し,浸炭を行う処理(10)。 pack carburizing ;
高濃度浸炭を行い,浸炭層に粒状炭化物を析出分布させる
浸炭。
備考 CD浸炭ともいう。
浸炭時間を短縮するため,通常の浸炭温度(約850〜930℃) high temperature
より高い温度で行う浸炭。
鋼製品の断面中心(心部)まで行う浸炭。
鋼製品を加熱する雰囲気の浸炭能力。
備考 浸炭温度でガス雰囲気と平衡に達したときの鋼
の表面の炭素濃度で表す(2)。
金属製品を適切な温度で加熱し,その表面に,窒素を主体
とし炭素又は酸素を同時に拡散させ,窒化層(軟窒化層)
を形成させる処理(11)。
備考 ガス軟窒化,塩浴軟窒化,プラズマ軟窒化などが
ある。
金属製品を軟窒化性ガスを主体とする雰囲気中で加熱し,
軟窒化を行う処理(11)。
金属製品を軟窒化性塩浴中で加熱し,軟窒化を行う処理(11)。 salt-bath nitrocarburizing
金属製品を適切な温度で加熱し,その表面に,窒素を主体
とし,酸素などを同時に拡散させ,窒化層(酸窒化層)を
形成させる処理。
備考 ガス酸窒化 (gas oxynitriding),プラズマ酸窒化な
どがある。
浸硫窒化
鉄鋼製品を適切な温度で加熱し,その表面に,窒素を主体
(しんりゅうちっか)
とし,炭素,硫黄などを拡散させ,窒化層(浸硫窒化層)
を形成させる処理。
酸化皮膜処理
水蒸気処理
酸化性雰囲気中の化学反応によって,金属製品の表面に酸
化皮膜を形成させる処理。
水蒸気を利用して,金属製品の表面に酸化皮膜を形成させ
る処理(2)。
備考 目的は,潤滑能力などを高めることにある。
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B 6905-1995
(3) 高エネルギー熱処理
番号
用語
定義
対応英語(参考)
高エネルギー熱処理
高密度エネルギーによって,加熱して行う熱処理の総称。 high energy heat
備考 高周波熱処理,電子ビーム熱処理,レーザ熱処理, treatment
プラズマ熱処理,炎熱処理(フレーム熱処理)な
どがある。
高周波熱処理
高周波焼入れ
高周波焼戻し
高周波誘導加熱を用いる熱処理の総称。
高周波誘導加熱を用いる焼入れ。
備考 通常は表面硬化焼入れを目的とするが,無心焼入
れを目的とする場合がある。
高周波誘導加熱を用いる焼戻し。
高周波焼入焼戻し
高周波焼なまし
高周波通電焼入れ
電子ビーム熱処理
電子ビーム焼入れ
レーザ熱処理
レーザ焼入れ
レーザ焼なまし
瞬間焼なまし
表面溶融処理
アロイング
プラズマ熱処理
鉄鋼製品の表面全体又は部分の表面硬化を目的として,誘導
加熱によってAc3又はAc1点以上の適切な温度に加熱した temperimg
後,適切な冷却剤で冷却し(焼入れ),さらに硬さを調節し,
じん(靱)性を増すために,Ac1点以下の適切な温度に通常
の焼戻し炉中で加熱した後,冷却する(焼戻し)処理(12)。
注(12) JIS B 6912参照。
備考 焼戻しは高周波焼戻しも含む。
高周波誘導加熱を用いる焼なまし。
備考 通常は加熱後空冷する。
鉄鋼製品の所定部分に対して,高周波電流を通じた電気抵抗
加熱,又は高周波誘導加熱を併用して加熱後,焼入れする処
理。
電子ビーム加熱を用いる熱処理の総称。
電子ビームによる部分加熱を用いる表面硬化焼入れ。
レーザ加熱を用いる熱処理の総称。
レーザによって部分加熱をする表面硬化焼入れ(13)。
注(13) JIS H 0211参照。
レーザ加熱による瞬間焼なまし。
金属製品の表面に高エネルギーのレーザ,電子ビームなどを
照射し,短時間に表面の欠陥やひずみを取り除く処理(13)。
備考 ラピットアニーリングともいう。
金属製品の表面を高エネルギーのレーザ,電子ビーム,放電,
炎などで加熱して,表面を急速溶融,凝固させる処理(13)。
備考 レーザ表面溶融処理 (laser surface melting),電子
ビーム表面溶融処理 (electron-beam surface
melting) などがある。
金属製品の表面に他の物質を添加して,高エネルギーのレー
ザ,電子ビーム,放電,炎などで加熱して,それらの合金又
は化合物を表面に形成する処理(13)。
備考 レーザアロイング (laser surface alloying),電子ビ
ームアロイング (electron-beam surface alloying)
などがある。
減圧したガス雰囲気中で,陰極とした金属製品と,陽極との
間に生じるグロー放電によるプラズマを用いた熱処理の総
称。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8
B 6905-1995
番号
用語
プラズマ窒化
減圧した窒化性雰囲気中で,陰極とした金属製品と陽極との
間に生じるグロー放電によるプラズマを用いた窒化(14)。
注(14) JIS B 6915,JIS G 0201及びJIS H 0211参照。
備考 イオン窒化ともいう。
プラズマ浸炭
プラズマ浸炭窒化
プラズマ軟窒化
減圧した浸炭性雰囲気中で,陰極とした鋼製品と,陽極との
間に生じるグロー放電によるプラズマを用いた浸炭。
備考 イオン浸炭ともいう。
減圧した浸炭窒化性雰囲気中で,陰極とした鋼製品と,陽極
との間に生じるグロー放電によるプラズマを用いた浸炭窒
化(2)。
備考 イオン浸炭窒化ともいう。
減圧した軟窒化性雰囲気中で,陰極とした金属製品と,陽極
との間に生じるグロー放電によるプラズマを用いた軟窒化。
備考 イオン軟窒化ともいう。
プラズマ酸窒化
定義
対応英語(参考)
減圧した酸窒化性雰囲気中で,陰極とした金属製品と,陽極
との間に生じるグロー放電によるプラズマを用いた酸窒化。
炎熱処理
炎で直接加熱して行う熱処理の総称。
(ほのおねつしょり)
備考 フレーム熱処理ともいう。
炎で直接加熱して行う焼入れ(2)。
炎焼入れ
備考 フレーム焼入れともいう。
炎焼なまし
炎で直接加熱して行う焼なまし。
備考 フレーム焼なましともいう。
(4) 拡散浸透処理
番号
用語
拡散浸透処理
熱反応析出・拡散法
アルミナイジング
クロマイジング
ボロナイジング
シリコナイジング
定義
対応英語(参考)
金属製品の表面に,他の金属又は非金属を拡散浸透させる処
理の総称(13)。
備考1. 拡散被覆処理ともいう。
2. パック拡散浸透処理 (pack diffusion metallizing ;
pack cementation),液体拡散浸透処理 (liquid
diffusion metallizing),ガス拡散浸透処理 (gas
diffusion metallizing) などがある。
鉄鋼製品を,炭化物生成金属粉末又は合金粉末を添加した溶
融塩中に浸せきし,製品表面に鉄鋼中の炭素を利用して炭化
物,窒化物,炭窒化物などの皮膜を形成させる処理。
備考1. 流動層炉を使用する方法もある。
2. TRD法ともいう。
金属製品などの耐食性,耐熱性などを向上させるために,高
温でアルミニウムを表面に拡散被覆する処理(2)。
備考 カロライジングともいう。
金属製品の耐摩耗性,耐食性,耐熱性などを向上させるため
に,高温でクロムを表面に拡散させる処理(2)。
備考 粉末法 (pack method),ガス法 (gas chromizing) な
どがある。
金属製品の耐摩耗性などを向上させるために,高温でほう素
を表面に拡散させる処理(2)。
備考 粉末法 (pack method) ,ガス法 (gas boronizing) な
どがある。
金属製品の耐食性などを向上させるために,高温でけい素を
表面に拡散させる処理(2)。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9
B 6905-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
クロムアルミナイジ
ング
物理蒸着
金属製品の耐食性,耐熱性などを向上させるために,クロム
及びアルミニウムを同時に表面に拡散させる処理。
高温加熱,スパッタリング又はアーク放電などの物理的方法
で物質を蒸発し,製品の表面に凝縮させて,薄膜を形成する
処理の総称(13)。
備考1. PVDともいう。
2. 真空蒸着 (vacuum evaporation),イオンプレーテ
ィング (ion plating),スパッタリング
(sputtering) などがある。
化学蒸着
気相化学反応によって,製品の表面に薄膜を形成する処理の
総称(13)。
備考1. CVDともいう。
2. 常圧CVD (atmospheric pressure CVD),減圧CVD
(low pressure CVD),プラズマCVD (plasma
CVD),レーザCVD (laser CVD) などがある。
(5) 品質・試験
番号
用語
表面硬さ
(窒化層)表面硬さ
硬化層
化合物層
拡散層
焼入硬化層深さ
有効硬化層深さ
全硬化層深さ
定義
金属製品表面の熱処理後又は熱処理前などの硬さ。
対応英語(参考)
金属製品の窒化,軟窒化,酸窒化などを行った後の窒化層表
面の硬さ(15)。
注(15) JIS G 0563参照。
備考 窒化層深さに対応して,ビッカース表面硬さ,ヌ
ープ表面硬さ,ロックウェルスーパーフィシャル
15N表面硬さ及びショア表面硬さがある。
焼入れで硬化した層又は表面硬化したときの硬化した層。 quench-hardened case ;
拡散浸透処理,物理蒸着,化学蒸着などをしたとき,金属製
品の表面に形成される化合物の層。
拡散浸透処理,化学蒸着法などにおいて,元素又は化合物の
拡散が認められる層。
焼入れで硬化した深さ(16)。
注(16) JIS G 0201参照。
備考1. 硬化層深さともいう。
2. 有効硬化層深さ及び全硬化層深さがある。
硬化層の表面から,規定する限界硬さの位置までの距離。 effective case depth
硬化層の表面から,硬化層と生地との物理的又は化学的性質
の差違が区別できない位置までの距離。
(炎焼入れ又は高周 炎焼入れ又は高周波焼入れにおいて,焼入焼戻しをした硬化
波焼入れ)有効硬化層
層の表面から,規定する限界硬さの位置までの距離(17)。
注(17) JIS G 0559参照。
深さ
(炎焼入れ又は高周 炎焼入れ又は高周波焼入れにおいて,硬化層の表面から硬化
波焼入れ)全硬化層深 層と生地の物理的又は化学的性質の差違が区別できない位
置までの距離(17)。
さ
硬さ推移曲線
硬化層の表面からの垂直距離と硬さとの関係を示す曲線
注(18) JIS G 0557,JIS G 0559及びJIS G 0562参照。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
10
B 6905-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
浸炭硬化層深さ
(浸炭焼入れ)有効硬
浸炭焼入れにおいて,200℃を超えない温度で焼戻しをした effective case depth after
化層深さ
硬化層の表面から,ビッカース硬さ550 (550HV) の位置まで carburizing
の距離(20)。
注(20) JIS G 0557参照。
(浸炭焼入れ)全硬化 浸炭焼入れにおいて,硬化層の表面から,硬化層と生地の物
層深さ
理的又は化学的性質の差違が区別できない位置までの距離
金属製品を窒化したとき,硬化した層(21)。
窒化層
注(21) JIS G 0562,JIS G 0563参照。
備考 窒化,軟窒化,酸窒化などにおける硬化層を総称
する場合もある。
軟窒化層
金属製品を軟窒化したとき,硬化した層。
(窒化,軟窒化など 窒化,軟窒化などをしたとき,金属製品の表面に形成される
窒化物・炭化物・炭窒化物などを主体とする層(21)。
の)化合物層
備考
白層ともいう。
(窒化,軟窒化など 窒化,軟窒化などをしたとき,化合物層を除いた,窒素・炭
素などの拡散が認められる層(21)。
の)拡散層
鋼製品を浸炭し,焼入焼戻しによって硬化した浸炭層の深さ
注(19) JIS G 0201及びJIS G 0557参照。
備考 有効硬化層深さ及び全硬化層深さがある。
窒化層深さ
窒化層の表面から,窒化層と生地の物理的又は化学的性質の
差違が区別できない点に至るまでの距離。窒化層深さは,化
合物層深さと拡散層深さとの和である(21)。
実用窒化層深さ
窒化層の表面から,生地のビッカース硬さ値又はヌープ硬さ
値より50高い硬さの点に至るまでの距離(22)。
注(22) JIS G 0562参照。
(窒化,軟窒化など
の)化合物層深さ
(窒化,軟窒化など
の)拡散層深さ
窒化,軟窒化などをしたとき,窒化物・炭化物・炭窒化物な
どを主体とする層の表面からの深さ(21)。
窒化,軟窒化などをしたとき,化合物層を除いた窒素・炭素
などの拡散が認められる層の深さ(21)。
粒界酸化
脱炭
復炭
(熱処理)変形
焼割れ
熱処理において,金属製品の表面層の結晶粒界が,熱処理雰
囲気中の酸素によって酸化される現象。
備考 内部酸化ともいう。
(1) 鉄鋼を炭素と反応する雰囲気で加熱するとき,表面から decarburization
炭素が失われる現象(2)。
(2) 浸透拡散処理で表面に炭素が移動して内部に低い炭素
濃度の部分ができる現象(2)。
備考 脱炭している層を脱炭層という。
鋼製品の脱炭層を,元の炭素量に回復するために行う浸炭処
理。
熱処理によって生じた製品の変形。
備考1. 熱処理ひずみともいう。
2. 寸法変形 (size distortion),形状変形 (shape
distortion) がある。
焼入れによって発生する割れ(2)。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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B 6905-1995
番号
用語
定義
対応英語(参考)
(熱処理の)残留応力 熱処理において,材料又は製品の表面と内部の温度差,又は residual stress after heat
変態によって発生し残留した応力。
有効加熱帯
熱処理の目的に応じて,金属製品を温度許容範囲内に保持で
(ゆうこうかねつたい)
きる熱処理装置における装入領域(23)。
注(23) JIS B 6901参照。
有効処理帯
プラズマ熱処理炉内において,金属製品に均一なグロー放電
度許容範囲で保持できるように,あらかじめ類似形状品の温
度測定によって設定した装入領域(11)。
(ゆうこうしょりたい)
を発生させ,熱処理の目的に応じて加熱温度に要求される温
酸素センサ
ガス雰囲気中の酸素濃度を測定するセンサ。
備考 ガス浸炭などの雰囲気制御に使用する。
付表1 引用規格
JIS B 6901 金属熱処理用加熱設備の有効加熱帯試験方法
JIS B 6911 鉄鋼の焼ならし及び焼なまし加工
JIS B 6912 鉄鋼の高周波焼入焼戻し加工
JIS B 6913 鋼の焼入焼戻し加工
JIS B 6914 鋼の浸炭焼入焼戻し加工
JIS B 6915 鉄鋼の窒化及び軟窒化加工
JIS G 0201 鉄鋼用語(熱処理)
JIS G 0557 鋼の浸炭硬化層深さ測定方法
JIS G 0559 鋼の炎焼入及び高周波焼入硬化層深さ測定方法
JIS G 0562 鉄鋼の窒化層深さ測定方法
JIS G 0563 鉄鋼の窒化層表面硬さ測定方法
JIS H 0211 ドライプロセス表面処理用語
JIS W 1103 航空機用アルミニウム合金の熱処理
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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B 6905-1995
JIS B 6905金属製品熱処理用語原案作成委員会 構成表
(委員長)
(事務局)
氏名
○ 金 武 典 夫
所属
金属技術研究所
吉 海 正 憲
通商産業省機械情報産業局
高 木 譲 一
工業技術院標準部
若 松 茂 三
工業技術院標準部
武 井 厚
社団法人表面技術協会(科学技術庁金属材料技術研究所)
○ 藤 木
栄
東京都立工業技術センター
○ 滝 島 延 雄
社団法人日本熱処理技術協会
○ 渡 辺
敏
法政大学工学部
○ 大和久 重 雄
技術士(金属部門)
○ 中 村 貞 行
社団法人鉄鋼協会(大同特殊鋼株式会社)
○ 金 沢
孝
社団法人自動車技術会(いすゞ自動車株式会社)
加 藤 宏
社団法人日本産業機械工業会
宮 崎 達 孝
日本金型工業会(昭和精工株式会社)
○ 小 林 淳 一
社団法人日本航空宇宙工業会(日本飛行機株式会社)
○ 飯 田
雅
石川島播磨重工業株式会社
○ 喜 多 正 吉
日本熱処理工業会(田村工業株式会社)
○ 米 村 次 男
パーカー熱処理工業株式会社
○ 山 方 三 郎
オリエンタルエンヂニヤリング株式会社
○ 鎌 田 正 彦
日本電子工業株式会社
○ 和 田 昭 三
前東京熱処理工業株式会社
○ 星
秀 夫
富士工業株式会社
○ 室 谷 信 壽
社団法人日本熱処理技術協会
備考 ○印は,分科会委員を兼ねる。