B 7072-1:2020

ページ

1 適用範囲························································································································· 1

2 引用規格························································································································· 1

3 用語及び定義 ··················································································································· 1

4 測定原理························································································································· 1

5 測定装置························································································································· 3

5.1 分光計 ························································································································· 3

5.2 光源 ···························································································································· 3

5.3 検出器 ························································································································· 3

5.4 温度可変容器 ················································································································ 3

6 測定試料························································································································· 4

7 測定手順························································································································· 4

7.1 頂角の測定 ··················································································································· 4

7.2 最小偏角の測定 ············································································································· 4

8 計算方法························································································································· 4

8.1 絶対屈折率 ··················································································································· 4

8.2 絶対屈折率の温度係数 ···································································································· 6

8.3 相対屈折率の温度係数 ···································································································· 6

9 屈折率の温度係数の表し方 ································································································· 7

10 測定報告書 ···················································································································· 7

附属書A(参考)空気の屈折率の計算式 ··················································································· 8

(1)

B 7072-1:2020

まえがき

この規格は,産業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本光学硝子工業会(JOGMA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,一般社団法人日本光学硝子工業会の団体規格(JOGIS 18)

を基に作成した産業標準原案を添えて日本産業規格を制定すべきとの申出があり,日本産業標準調査会の

審議を経て,経済産業大臣が制定した日本産業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本産業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS B 7072の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS B 7072-1 第1部:最小偏角法

JIS B 7072-2 第2部:干渉法

(2)

日本産業規格

JIS

B 7072-1:2020

光学ガラスにおける屈折率の温度係数の測定方法−

第1部:最小偏角法

Measuring method for temperature coefficient of refractive index of optical

glass-Part 1: Minimum deviation method

1

適用範囲

この規格は,最小偏角法を用いて光学ガラスの温度変化に伴って変化する屈折率を測定し,屈折率の温

度係数を算出する測定方法について規定する。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS B 7071-1 光学ガラスの屈折率測定方法−第1部:最小偏角法

JIS Z 8120 光学用語

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8120によるほか,次による。

3.1

屈折率の温度係数

光学ガラスの温度T1及びT2のときの屈折率n1及びn2を求め,n1とn2との差をT1とT2との差で除した

値。

3.2

絶対屈折率の温度係数

真空中における光学ガラスの屈折率の温度係数。

3.3

相対屈折率の温度係数

空気中における光学ガラスの屈折率の温度係数。ここでの空気の状態は,気温は光学ガラスと同じ,気

圧は1.013 25×105 Pa,相対湿度は0 %とする。

3.4

温度可変容器

屈折率の温度係数を測定する測定試料の温度を変えることができる構造をもつ装置。

4

測定原理

図1に示すように,温度可変容器に測定試料(プリズム)を置き,測定試料の温度をT1からT2まで又

page

2

B 7072-1:2020

はT2からT1まで変化させて,JIS B 7071-1の方法で温度T1及びT2のときに測定試料の屈折率の測定をそ

れぞれ行い,屈折率の温度係数を求める。

この屈折率の温度係数の算出概念を図2に示す。

図1−温度可変容器をもつ測定装置概略図

注記 光学ガラスの種類によっては,温度上昇に伴ってその屈折率が減少する場合もある。

図2−屈折率の温度係数の算出概念図

page

3

B 7072-1:2020

5

測定装置

5.1

分光計

分光計は,JIS B 7071-1の箇条5(測定装置)による。

5.2

光源

光源は,JIS B 7071-1の箇条5(測定装置)による。

5.3

検出器

検出器は,JIS B 7071-1の箇条5(測定装置)による。

5.4

温度可変容器

温度可変容器は,次による。温度可変容器の例を図3に示す。

a) 測定試料の温度を−40 ℃〜70 ℃まで変える能力をもつ。

b) 測定試料の温度を設定温度±0.5 Kで保持する能力をもつ。

c) 測定試料の温度の測定精度が0.2 K以下の能力をもつ温度計を備える。

d) 測定試料の温度変化に伴う結露を防止するために,測定試料周囲の雰囲気を10 Paより高真空にする

能力をもつ。

e) 温度可変容器の窓は,両面を研磨した平行平板石英ガラスを用いる。

注記 石英ガラスを用いるのは,高い透過率をもつ波長範囲が広く,かつ,温度変化に対して高い

耐久性があり,割れにくいためである。

図3−温度可変容器の例

page

4

B 7072-1:2020

6

測定試料

測定試料は,JIS B 7071-1の箇条6(測定試料)による。さらに,複屈折による位相差が1 cm当たり5 nm

以下になるようにアニールが十分に施されたものであって,脈理,泡及び異物のいずれも目視で確認でき

ない材料を用いる。

7

測定手順

7.1

頂角の測定

測定試料(プリズム,以下,プリズム形状が重要な箇所ではプリズムという。)頂角の測定は,JIS B 7071-1

の箇条5(測定装置)の測定装置を用いて,JIS B 7071-1の7.2.2〜7.2.3によって行う。測定場所の状態は,

JIS B 7071-1の7.1.1〜7.1.3による。

7.2

最小偏角の測定

最小偏角の測定は,測定試料の温度が−40 ℃,−20 ℃,0 ℃,20 ℃,40 ℃及び60 ℃の各温度で行う。

プリズムの最小偏角の測定は,JIS B 7071-1の7.2.2及び7.2.4による。ただし,プリズムは,その頂角(θ)

の2等分線が,温度可変容器の対向する2面の窓のなす角(α)の2等分線と平行になるように設置する

(図4参照)。また,測定試料周囲の真空度は,10 Paより高真空になるようにする。

8

計算方法

8.1

絶対屈折率

各試料温度における絶対屈折率の計算は,式(1)による(JIS B 7071-1の7.2.5修正)。

[

θ

+

δ

()

T

]

sin

2

n

()

T

=

n

()

T

=

······················································· (1)

abs

m

sin

ここに,

θ

2

nabs(T): 温度Tにおける測定試料の絶対屈折率

nm(T): 温度Tで測定した屈折率

θ: プリズムの頂角

δ(T): 温度Tにおける最小偏角

T: 測定試料の温度(℃)

注記 JIS B 7071-1は大気中で測定する規格であるため,7.2.5に記載する屈折率nは相対屈折率であ

るが,この規格では真空中で測定しているため,式(1)で得られる結果は絶対屈折率である。

温度可変容器の窓及びプリズムに入出射する光線の概略図を,図4に示す。温度可変容器内は真空であ

る一方で,温度可変容器の外は空気が存在するため,窓の部分で屈折が生じ,真空中の最小偏角δmin, vacと

大気中での見かけの最小偏角δmin, airとは異なる値となる。そのため,式(2)によって,δmin, airからδmin, vacを

算出する。

page

5

B 7072-1:2020

1 測定試料(プリズム)の頂角の2等分線

2 温度可変容器の対向する2面の窓のなす角の2等分線

3 温度可変容器の対向する2面の窓のなす角(α)

図4−温度可変容器の窓及びプリズムに入出射する光線の概略図

δ

min , vac

=

2

×

sin

1

n

air

×

sin

ここに,

δ

min , air

2

α

2

+

α

······································ (2)

nair: 空気の屈折率

δmin, vac: 真空中の最小偏角

δmin, air: 大気中での見かけの最小偏角

α: 温度可変容器の対向する2面の窓のなす角

式(2)のδmin, vacを式(1)の最小偏角δ(T) に代入して,試料の絶対屈折率nabs(T) を求める。

注記 一般に,温度可変容器の対向する2面の窓のなす角αは固定されている。測定したい光学ガラ

スの屈折率nabsの概算値が予測できる場合,頂角θを式(3)から求めて測定試料(プリズム)を

作製すれば,最小偏角時の光路は窓に垂直に入出射するので,大気中での最小偏角δmin, airはそ

のまま真空中の最小偏角δmin, vacとなる。ただし,温度又は波長が変われば屈折率が変わり,真

空中の最小偏角が変わるので,頂角の計算に用いた光学ガラスの屈折率からの差が大きい温度

域又は波長では窓に垂直入出射とみなせなくなり,大気中での最小偏角をそのまま真空中の最

小偏角として使用できないことに注意する。

page

6

B 7072-1:2020

θ

=

2

×

tan

1

sin

α

2

n

abs

cos

8.2

α

···························································· (3)

2

絶対屈折率の温度係数

測定試料の温度T1とT2との間の絶対屈折率の温度係数は,式(4)によって算出する。T1及びT2は,箇条

7に示す6点の温度とし,ΔTは20 Kとする。

n

abs

n

abs

()

T

2

n

abs

()

T

1

=

T

T

2

T

1

ここに,

8.3

······························································ (4)

∆abs:

測定試料の絶対屈折率の温度係数(K−1)

n

T

nabs(T1),nabs(T2): T1,T2における測定試料の絶対屈折率

T1,T2: 測定試料の温度(℃)

相対屈折率の温度係数

測定試料の温度T1とT2との間の相対屈折率の温度係数は,式(5)によって算出する。空気の屈折率の温

度係数は,スペクトル線の波長ごとに表1による。それ以外の波長の場合は,附属書Aの式(A.1)から算出

できる。T1及びT2は,箇条7に示す6点の温度とし,ΔTは20 Kとする。

n

rel

n

abs

n

abs

()

T

1

+

n

abs

()

T

2

n

air

=

×

············································· (5)

T

T

T

2

ここに,

∆rel:

測定試料の相対屈折率の温度係数(K−1)

n

T

∆abs:

測定試料の絶対屈折率の温度係数(K−1)

n

T

∆air:

空気の屈折率の温度係数(K−1)

n

T

page

7

B 7072-1:2020

表1−空気の屈折率の温度係数(気圧1.013 25×105 Pa,相対湿度0 %)

単位 10−6 K−1

スペクトル線

波長(nm)

9

温度範囲

屈折率の温度係数の表し方

絶対屈折率の温度係数及び相対屈折率の温度係数の表示は,8.2及び8.3で算出したそれぞれ五つの値を

1×10−8の桁で四捨五入し10−6 K−1の指数表示とする。例を表2に示す。

表2−屈折率の温度係数の表し方の例

単位 10−6 K−1

スペクトル線

波長(nm)

10

温度範囲

測定報告書

測定報告書には,JIS B 7071-1の箇条9(試験報告書)のa)〜d) に加え,次の事項を記載する。

a) 測定年月日

b) 絶対屈折率の測定結果

c) 計算によって得られた屈折率の温度係数

なお,記載した温度係数が,絶対屈折率のものか相対屈折率のものかを明記する。

page

8

B 7072-1:2020

附属書A

(参考)

空気の屈折率の計算式

A.1 屈折率の計算式

空気の屈折率は,参考文献[1]に示されている式を元にした式(A.1)〜式(A.4)[2]から求めることが可能であ

る。この式を用いることで,波長300 nm〜1 700 nm,温度−40 ℃〜100 ℃,気圧10 kPa〜140 kPa及び相

対湿度0 %〜100 %の範囲で,空気の屈折率をこの規格で必要な精度で求めることが可能である。

注記1 参考文献[1]に示されている式は,エドレン(Edlén)の式と呼ばれる。

注記2 参考文献[1]に示されている式は,相対湿度に関する項が温度に依存しない形式で書かれてい

る。式(A.1)〜式(A.4)は,広い温度範囲で計算精度が向上するように,参考文献[1]に示されて

いる式の相対湿度に関する項を修正したものである。

n

air

=

n

(

T

, P

)

10

10

×

n

(

T

, P

)

=

1

+

292

.

75

×

(

.3

734 5

.0

040 1

×

S

)

×

P

V

················ (A.1)

T

+

273

.

15

P

(

n 1

)

X

····························································· (A.2)

D

s−

n

s

=

1

+

10

8

A

+

B

C

+

130

S 38

9.

S

············································· (A.3)

1

+

10

8

(

E

F

×

T

)

P

···························································· (A.4)

1

+

G

×

T

X

=

ここに,

nair: 温度T,気圧P及び相対湿度(PV/PSV)%の空気の屈折

PV: 水蒸気分圧(Pa)

PSV: 温度Tの空気の飽和水蒸気圧(Pa)

n(T, P): 温度T,気圧P及び相対湿度0 %の空気の屈折率

T: 温度(℃)

P: 気圧(Pa)

S: 1/λ2(μm−2)

λ: 真空中の光の波長(μm)

A=8 342.54

B=2 406 147

C=15 998

D=96 095.43

E=0.601

F=0.009 72

G=0.003 661

これらの式に実際の数値を入れて計算した代表的なスペクトル線の空気の屈折率の値を,表A.1に示す。

page

9

B 7072-1:2020

表A.1−空気の屈折率(気圧1.013 25×105 Pa,相対湿度0 %)

スペクトル線

波長(nm)

温度

参考文献

[1] K.P. Birch and M.J. Downs, "Correction to the updated Edlén equation for the refractive index of air",

Metrologia 31, 315-316 (1994)

[2] ENGINEERING METROLOGY TOOLBOX [online]. National Institute of Standards and Technology (NIST),

2004, updated October 2017 [cited 12 February 2019]. Available from World Wide Web:

<https://emtoolbox.nist.gov/Wavelength/Documentation.asp>