2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
目
次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語,定義,記号及び略語 ································································································· 2
3.1 用語及び定義 ················································································································ 2
3.2 記号及び略語 ················································································································ 3
4 計算の原理 ······················································································································ 5
4.1 一般原理 ······················································································································ 5
4.2 予備的な計算 ················································································································ 6
4.3 分散の計算 ··················································································································· 7
4.4 統計検定 ······················································································································ 7
4.5 結果 ···························································································································· 7
5 有効な計算を行うための要求事項及び推奨事項 ······································································ 8
5.1 試験データに関する要求事項 ··························································································· 8
5.2 計算の精度 ··················································································································· 8
6 計算手順························································································································· 8
6.1 予備的な計算 ················································································································ 8
6.2 本計算 ························································································································ 11
6.3 統計検定 ····················································································································· 13
6.4 熱的耐久グラフ ············································································································ 14
7 計算及び結果に対する要求事項 ·························································································· 15
7.1 熱的耐久性の計算 ········································································································· 15
7.2 統計検定の取りまとめ及び報告 ······················································································· 15
7.3 結果の報告 ·················································································································· 15
8 試験報告························································································································ 15
附属書A(規定)熱的耐久性計算の判定フローチャート ····························································· 17
附属書B(規定)判定表 ······································································································· 18
附属書C(参考)統計表 ······································································································· 19
附属書D(参考)実施例 ······································································································· 28
附属書E(参考)コンピュータプログラム················································································ 35
(1)
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人電気学会(IEEJ)及び一般財団
法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本
工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS C 2143の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS C 2143-1 第1部:劣化処理手順及び試験結果の評価
JIS C 2143-2 第2部:熱的耐久性の測定−評価指標の選択
JIS C 2143-3 第3部:熱的耐久性の計算の手引き
JIS C 2143-5 第5部:相対熱的耐久性指数(RTE)の求め方
(2)
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日本工業規格
JIS
C 2143-3:2013
(IEC 60216-3:2006)
電気絶縁材料−熱的耐久性−
第3部:熱的耐久性の計算の手引き
Electrical insulating materials-Properties of thermal endurance-
Part 3: Instructions for calculating thermal endurance characteristics
序文
この規格は,2006年に第2版として発行されたIEC 60216-3を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にない事項である。
1
適用範囲
この規格は,JIS C 2143-1及びJIS C 2143-2に従って,複数の一定温度で試験片を劣化処理したとき,
時間経過によって得られる特性変化を基に,熱的耐久性を導く計算手順について規定する。
試験データは,非破壊試験,破壊試験又は保証試験によって求める。非破壊試験又は保証試験では,終
点に到達した試験片の個数が試験片の中央値を超えた時点で残りの試験を打ち切ることがあるため,不完
全データであってもよい。
この規格は,計算手順を実施例によって説明している(附属書D参照)。
注記1 対応国際規格では,計算を容易にするためのコンピュータプログラムを推奨している(附属
書E参照)。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
IEC 60216-3:2006,Electrical insulating materials−Thermal endurance properties−Part 3:
Instructions for calculating thermal endurance characteristics(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 2143-1 電気絶縁材料−熱的耐久性−第1部:劣化処理手順及び試験結果の評価
注記 対応国際規格:IEC 60216-1:2001,Electrical insulating materials−Properties of thermal endurance
−Part 1: Ageing procedures and evaluation of test results(IDT)
JIS C 2143-2 電気絶縁材料−熱的耐久性−第2部:熱的耐久性の測定−評価指標の選択
注記 対応国際規格:IEC 60216-2:2005,Electrical insulating materials−Thermal endurance properties
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2
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−Part 2: Determination of thermal endurance properties of electrical insulating materials−Choice of
test criteria(IDT)
IEC 60493-1:1974,Guide for the statistical analysis of ageing test data−Part 1: Methods based on mean values
of normally distributed test results
3
用語,定義,記号及び略語
3.1
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1.1
順序データ(ordered data)
データの要素の並びを増加の方向とし,各要素がその前の要素より大きいか又は等しくなるように並べ
替えたデータグループ。
注記1 この規格で増加の方向とは,データをこの方向で順序付けたとき,最初の要素の大きさが最
小であることを意味している。
注記2 “グループ”という用語は,統計理論上の文献では,全データセットのサブセットを表す場
合にも用いられる。グループは,セットのパラメータの一つが同じ値をもつ(例えば,劣化
処理温度など)データからなる。グループは,それ自身,他のパラメータ(例えば,破壊試
験の場合の時間など)によって特徴付けられる幾つかのサブグループからなる。
3.1.2
順序統計量(order-statistic)
順序データで,一連の中の数で表した位置によって同じものとみなすことができるセットのそれぞれの
値。
3.1.3
不完全データ(incomplete data)
ある境界位置から上及び/又は下の値が未知である順序データ。
3.1.4
打切りデータ(censored data)
打ち切って測定をしていない値の数が分かっている不完全データ。
注記1 打切りが規定の数値の上又は下から始まる場合は,打切りはタイプ1である。規定の順序統
計量の上又は下から始まる場合は,タイプ2である。この規格は,タイプ2だけを扱う。
注記2 規定する劣化処理時間後に試験を終了するとき,“定時打切り”又は“タイプ1途中打切り”
といい,規定する試験片数が故障した後に試験を終了するとき,“定数打切り”又は“タイプ
2途中打切り”という。
3.1.5
自由度(degrees of freedom)
データの数からパラメータの数を減じた数。
3.1.6
データグループの不偏分散(variance of data group)
一つ以上のパラメータによって定義した照合水準からのデータ偏差の平方の和を自由度の数で除したも
の。
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3
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注記1 この規格では,不偏分散を単に分散という。
注記2 照合水準は,例えば,平均値(パラメータが一つの場合),直線(パラメータが二つの場合:
勾配及び切片)などである。
3.1.7
データグループの中央2次モーメント(central second moment of a data group)
データグループの要素の平均からの偏差の平方の和をグループ中のデータ数で除したもの。
3.1.8
データグループの共分散(covariance of data groups)
等しい要素数の二つのデータグループにおいて,対応する要素の間で各グループ平均からの偏差を乗算
し,その合計を自由度で除したもの。
3.1.9
回帰分析(regression analysis)
二つのデータグループの対応する要素の間の関係を示す回帰直線を推定し,この直線と各要素との偏差
の平方の和が最小となるように回帰直線を導く過程。
注記 最適直線のパラメータを,回帰係数と呼ぶ。
3.1.10
相関係数(correlation coefficient)
二つのデータグループの要素間の関係の完璧さの度合いを示す統計的指標。相関係数は,共分散を二つ
のデータグループの分散を乗じた数の平方根で除したものに等しい。
注記 この平方の値は,0(相関なし)と1(完全な相関)との間である。
3.1.11
終点ライン(end-point line)
特性−時間グラフにおいて,規定の特性変化(終点)を示す値で時間軸に平行に引いた直線。
3.2
記号及び略語
この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。
箇条番号
a
回帰係数(y切片)
4.3,6.2
ap
破壊試験の計算のための回帰係数(p切片)
6.1
b
回帰係数(x−y図の勾配)
4.3,6.2
bp
6.1
br
破壊試験の計算のための回帰係数(x−p図の勾配)
中間定数(
Xˆの計算)
c
c
中間定数(
χの計算)
6.3
f
自由度の数
表C.2〜表C.5
F
フィッシャー分布した統計的変数
4.2,6.1,6.3
F0
Fの表中の値(熱的耐久グラフの直線性)
4.4,6.3
F1
Fの表中の値(特性グラフの直線性−有意差 0.05)
6.1
F2
Fの表中の値(特性グラフの直線性−有意差 0.005)
6.1
g
破壊試験の劣化処理時間の順位数
6.1
h
破壊試験の特性値の順位数
6.1
HIC
TIと等しい温度での半減温度幅
4.3,箇条7
2
6.3
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4
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HICg
TIgに対応する半減温度幅
7.3
i
暴露温度の順位数
4.1,6.2
j
終点到達時間の順位数
4.1,6.2
k
劣化処理温度の数
4.1,6.2
M
不完全データでの試験片の全数
6.2.2
iϑで劣化処理した試験片の数
mi
温度
N
終点到達時間の全数
6.2
ng
時間τgで劣化処理したグループでの特性値の数
6.1
iϑにおけるy値の数
4.1,6.1
ni
温度
p
該当するグループの特性の平均値
6.1
p
特性値
6.1
P
χ分布の有意水準
4.4,6.3.1
pe
破壊試験での終点の値
6.1
p
g
時間τgでの劣化処理グループの特性の平均値
6.1
pgh
個々の特性値
6.1
q
対数の底
6.3
r
計算に含まれる設定した劣化処理時間の数(破壊試験)
6.1
r2
相関係数の二乗
6.2.3
s2
2
2
1sと
2sとの重み付き平均
6.3
2
1s
2
1isの重み付けをした平均で,対象グループ中のプールした分散
4.3,6.1〜6.3
()a
s21
2
1sの調整値
4.4,6.3
2
1g
時間τgを劣化処理したグループの特性値の分散
6.1
2
s
iϑでのyij値の分散
4.1,6.1
2
1is
温度
2
2s
回帰直線についての分散
6.1〜6.3
2
as
s2を調整した値
6.3
2
rs
中間定数
6.3
2
Ys
Yの分散
6.3
t
スチューデント分布する確率論的変数
6.3
tc
tを修正した値(不完全データ)
6.3
TC
TIの下側95 %信頼限界
4.4,箇条7
TCa
TCの調整値
7.1
TI
温度指数
4.3,箇条7
TI10
10 000時間(10 kh)での温度指数
7.1
TIa
TIの調整値
7.3
TIg
グラフ的手段又は明確な信頼限界なしに求めた温度指数
7.3
x
独立変数:熱力学的温度の逆数
4.1
x
xの重み付き平均値
6.2
X
Xˆ
yの推定に関するxの特定の値
6.3
yの特定の値におけるxの推定値
Xˆの上側95 %信頼限界
6.3
Xˆ
c
4.3,6.2
6.3
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5
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xi
iϑに対応する熱力学的温度の逆数
4.1,6.1
y
yの重み付き平均値
6.2
y
Yˆ
従属変数:終点到達時間の対数
4.1
特定のxの値におけるyの推定値
6.3
Y
xの推定に関するyの特定の値
Yˆの下側95 %信頼限界
6.3
Yc
6.3
iϑにおけるyijの平均値
iy
温度
yij
τijに対応するyの値
4.1,6.1
z
zgの平均値
6.1
zg
破壊試験での劣化処理時間の対数−グループg
6.1
α
分散についての打切りデータ係数
4.3,6.2
β
分散についての打切りデータ係数
4.3,6.2
ε
打切りデータの平均分散の係数
4.3,6.2
Θ0
ϑˆ
熱力学的目盛上の0 ℃に対応する温度(273.15 K)
4.1,6.1
温度指数に関する推定温度
ϑˆの信頼限界
6.3.3
iϑ
グループiの劣化処理温度(℃)
4.1,6.1
μ
平均値についての打切りデータ係数
4.3,6.2
μ2(x)
x値の中央2次モーメント
6.2,6.3
ν
一つの劣化処理温度で取り出された特性値の全数
6.1
τf
温度推定のための選定時間
6.3
τg
グループgの劣化処理時間
6.1.4
τij
終点到達時間
6.4
χ2
χ2分布した確率論的変数
6.3
ϑˆ
c
4
計算の原理
4.1
一般原理
4.3,6.2
6.3.3
一般的な計算手順及び箇条6の指示は,IEC 60493-1に規定する原理に基づいている。その原理の概略
を次に示す(IEC 60493-1の3.7.1参照)。
a) 規定の終点に到達するまでの時間(終点到達時間)の対数の平均と熱力学的(絶対)温度の逆数との
間の関係は,直線的である。
b) 直線関係からの終点到達時間の対数の偏差の値は,劣化処理温度に関係なく一定の分散で正規分布す
る。
一般の計算手順で用いるデータは,予備的な計算によって試験データから導く。この計算の詳細は,判
定試験の種類すなわち非破壊試験,保証試験又は破壊試験による(4.2参照)。全ての場合において,デー
タはx,y,m,n及びkからなる。
iϑ+Θ0): 劣化処理温度iϑ(℃)の熱力学的数値の逆数
ここに, xi=1/(
yij=log τij: 温度
iϑにおけるj番目の終点到達時間τijの対数
ni: 温度
iϑで劣化処理したグループ番号i中のy値の数
mi: 温度
iϑで劣化処理したグループ番号i中の試験片の
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6
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
数(打切りデータではniと異なる。)
k: 劣化処理温度又はy値のグループの数
注記 計算を通して一貫していれば,対数の底には,いかなる数値を用いてもよい。ほとんどのコン
ピュータ言語及び計算機では,自然対数(底がe)を使用しているので,自然対数を用いるこ
とが望ましい。
4.2
予備的な計算
4.2.0A 一般
全ての場合に,劣化処理温度の熱力学的数値の逆数をxiの値として計算する。
4.2.1〜4.2.3によって求めた各終点到達時間τijの対数をyijの値として計算する。
多くの非破壊試験及び保証試験の場合,経済的な理由によって(例えば,データのばらつきが大きい場
合),全ての試験片が終点に到達する前に,少なくとも幾つかの温度グループでの劣化処理を中止するのが
よい。このような場合,得られたx及びyのデータを基に打切りデータの計算を行う(6.2.1.2参照)。
完全データ及び不完全データが混在するグループ,又はそれぞれの劣化処理温度ごとに異なる時点で打
ち切った打切りデータのグループは,いずれも6.2.1.2の計算に用いてもよい。
4.2.1
非破壊試験
非破壊試験(例えば,劣化処理中の質量減少)では,各試験片の判定特性の値は,劣化処理周期ごとに,
直接得られる。したがって,終点到達時間τijは,直接的に又は連続した測定値の間の直線的な内挿によっ
て得られる。
4.2.2
保証試験
保証試験では,個々の試験片の終点到達時間τijは,終点に到達した劣化処理周期とその直前の周期との
中間点として求める[JIS C 2143-1の6.3.2(保証試験)参照]。
4.2.3
破壊試験
破壊試験では,特性値を得るときに試験片が破壊されるため,各試験片の終点到達時間は直接測定でき
ない。
終点到達時間を推定するため,終点近傍に次の仮定を置く。
a) 特性の平均値と劣化処理時間の対数との関係は,おおよそ直線的である。
b) この直線関係からの各特性値の偏差の値は,劣化処理時間に関係なく一定の分散で正規分布している。
c) 個々の試験片に関して,特性の曲線と時間の対数との関係は,a) の関係で示す線に平行な直線である。
これらの仮定を適用するために,それぞれの劣化処理時間で求めたデータについて劣化曲線を描く。曲
線は,その劣化処理時間の対数に対して各試験片グループの特性値の平均をプロットして得られる。
グループ平均の一つ以上が終点レベルを超えるまで,各温度の劣化処理を続けるのがよい。この曲線の
おおよその直線になる範囲の終点ラインの近傍に直線を引く(図D.2参照)。
選択範囲の直線性からの偏差が許容できるかどうかを決定するため,統計検定(F検定)を行う(6.1.4.4
参照)。許容できる場合,同じグラフの上に,各試験片の特性値をプロットする。個々の試験片のプロット
した点を通り,劣化直線に平行な直線を引く。その試験片についての終点到達時間の対数yijの推定値は,
終点ラインと直線との交点に対応する時間の対数の値となる(図D.2参照)。
グループ平均の一つ以上が終点レベルを超えない場合でも,幾つかの制限付きで,平均値から求めた直
線部分を終点レベルまで外挿をしてもよい(6.1.4.4参照)。
上記の操作は,6.1.4に規定する計算の中で数値的に実行できる。
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
4.3
分散の計算
分散は,4.2.0Aで得たx及びyを用い,次によって計算する。
2
yijの値のそれぞれのグループについて,平均
iy及び分散
1isを計算し,21isにグループサイズに従った重み
2
付けをしてプールした分散
1sを求める。
不完全データについては,Sawが導き(参考文献[1]参照),それを基に発展させた6.2.1.2に規定する
計算式を用いる。必要な係数(平均に関するμ,分散に関するα及びβ並びにグループの分散からの平均
の分散を求めるためのε)は,表C.1に記載してある。多数のグループに関して,グループサイズに応じ
て重み付けし,分散をプールする。εのグループ値の平均値は,重み付けなしでプールした分散を乗じて
求める。
注記 ここでは,グループサイズによる重み付けは,Sawによる最初の提案に同じく,εの定義の中
に暗に含まれている。このことは,幾つかの式の表現をより簡単にしている。
係数a及びb(xとyとの間の最適直線の係数)は,平均値
iy及びxiの値から単回帰分析によって計算
する。
温度指数TI及び半減温度幅HICの値は,回帰係数から計算する。回帰直線からの偏差の分散は,回帰
係数及びグループ平均から計算する。
4.4
統計検定
統計検定は,次による。
a) 終点到達時間を推定する計算の前に,破壊試験データの直線性に関するフィッシャー検定(F検定)
を行う(4.2.3参照)。
b) yの値のグループ中の分散が著しく異なるかどうかを確認するため,分散の同等性の検定(バートレ
ットのχ2検定)を行う。
c) 回帰直線からの偏差の,グループ内のプールした分散に対する比が,基準値F0より大きいかどうかを
確認するためのF検定を行う。すなわち,試験データにアレニウス則を適用することの妥当性を検定
する。
ばらつきが非常に小さいデータの場合,実際にはほとんど意味のない非直線性が統計的に有意として検
出されることがある。
このようにF検定を満足しない場合であっても,結果が得られるように次のような手順を含む。
2
1) F検定がちょうど受入可能な結果を与えるように,グループ中のプールした分散
1sの値に係数
F/F0を乗じ増やす(6.3.2参照)。
2) この調整した値()a
s21
を用いて,結果の下側信頼限界TCaを計算する。
3) 下側信頼区間(TI−TCa)が受入可能とみなせる場合は,非直線性は実用上重要でないと判断する
(6.3.2参照)。
2
2
2sから,回帰方程式を用いておおよその信頼区間を計算する。
4) データのばらつきの成分
1s及び
温度指数TI,その下側信頼限界TC及び半減温度幅HICを計算し(7.1参照),次の式(1)の条件が成り立
つ場合,結果は受入可能とする。
TI−TC≦0.6 HIC ······································································· (1)
下側信頼区間(TI−TC)が僅かに限界0.6 HICを超えている場合でも,温度指数TIの値に(TC+0.6 HIC)
を代入してF≦F0が成り立っている場合は,結果は有効とする。
4.5
結果
上記のように,統計検定に規定する結果からの多少のずれを許容し,温度指数TI,その半減温度幅HIC
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
及びその下側95 %信頼限界TCは回帰方程式から計算する。
温度指数及び半減温度幅の報告の形式は,統計検定の結果によって決まる(7.2及び7.3参照)。
ただ一つの数値的な結果であるTI(HIC)だけでは試験データの定性的な全体像を表せない場合,及び
データの評価が熱的耐久グラフ(6.4参照)以外では完全にできない場合は,報告の重要な要素として熱的
耐久グラフの添付が必要である。
5
有効な計算を行うための要求事項及び推奨事項
5.1
試験データに関する要求事項
この規格の計算手順に従う試験データは,JIS C 2143-1の箇条5(試験手順の詳細)の要求事項に適合し
なければならない。
5.1.1
非破壊試験
この試験におけるほとんどの特性については,グループの試験片の数は5個が適切である。ただし,デ
ータのばらつき(信頼区間,6.3.3参照)が大き過ぎる場合は,試験片の数を増やすことによって,より満
足できる結果が得られる。このことは,全ての試験片が終点に到達する前に劣化処理を終える必要がある
場合に,特に当てはまる。
5.1.2
保証試験
いずれのグループでも,最初の劣化処理周期に2個以上の試験片が終点に到達してはならない。また,
二つ以上のグループがこのような試験片を含んでいる場合は,実験の手順を注意深く調査し(6.1.3参照),
試験報告書にそのことを記載することが望ましい。
それぞれのグループの試験片の数は5個以上とし,現実的に取扱いが可能な最大の個数は31個までとす
る(表C.1)。ほとんどの目的のための適切な試験片の数は21個である。
5.1.3
破壊試験
それぞれの試験温度について,一つ以上のグループの特性平均値が終点レベルより上になり,かつ,一
つ以上のグループの特性平均値が終点レベルより下になるまで劣化処理を続けることが望ましい。場合に
よっては,特別な条件の下に,終点レベルを超えて特性の平均値を僅かに外挿して求めてもよい(6.1.4.4
参照)。ただし,このような取扱いは,一つの温度グループ以外に適用してはならない。
5.2
計算の精度
多くの計算の段階が,数値自体に比べて一般にその値は小さいとはいえ,数値の差の合計又はこれらの
差の平方和を含んでいる。このような状況から,計算結果に有効数字3桁の精度を求めるためには,6桁
以上の有効数字の内部精度で計算を行う必要がある。計算において同じことの繰返しが単調に続くことを
考慮して,コンピュータの利用が望ましい。この場合は,内部精度10桁以上の有効数字による計算が容易
に行える。
6
計算手順
6.1
予備的な計算
6.1.1
温度及びx値
全ての種類の試験で,それぞれの劣化処理温度は,熱力学的温度(K)で表し,その逆数をxiとして,
次の式(2)によって計算する。
1
·············································································· (2)
+
i
Θ
0
x
i
=ϑ
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9
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
Θ0: 273.15 K
ここに,
6.1.2
非破壊試験
i番目のグループのj番目の試験片について,それぞれの劣化処理周期の終了後の特性値が得られる。こ
れらの値から,直線による内挿によって終点到達時間τijを求めてその対数をyijとして計算する。
6.1.3
保証試験
i番目のグループのj番目の試験片について,終点に到達した劣化処理周期とその直前の周期との中間点
の時間を求め,この時間の対数をyijとする。
試験片の1個が,最初の劣化処理周期で終点に到達した場合は,無効として扱い,次のいずれかの処置
をとる。
a) その試験片グループはなかったものとし,新しい試験片グループによって試験を再開する。
b) その試験片はなかったものとして,グループの平均及び分散の計算のときにグループmiの中の試験片
の数から1を減じる(6.2.1.2参照)。
最初の劣化処理周期に,2個以上の試験片が終点に達した場合,そのグループを捨てて,試験手順の全
ての段階に十分注意を払いながら,新しいグループを試験する。
6.1.4
破壊試験
6.1.4.0A それぞれの温度
iϑで劣化処理した試験片のグループについて,6.1.4.1〜6.1.4.5に規定する処理を
行う。
注記 添字iは,多数の添字の組合せによる混乱を避けるため,6.1.4.2〜6.1.4.4の式から省いている。
これらの細分箇条における計算は,それぞれの劣化処理温度からのデータについて個別に行う。
6.1.4.1 それぞれの劣化処理時間ごとのデータグループについて特性の平均値を計算する。これらの値を,
特性値pを縦軸とし,劣化処理時間の対数zを横軸としたグラフ上にプロットする(図D.2参照)。目視に
よって,特性の平均値をプロットした点を通る平滑な曲線を描く。
6.1.4.2
この曲線が,ほぼ直線となる時間領域を選ぶ(6.1.4.4参照)。この時間領域内で,平均値は終点
ラインp=peの両側に1点以上が位置し,かつ,3点以上の特性の平均値を含む必要がある。このような条
件が満たされず,また,例えば試験片が残っていないなどの理由で,それ以上の測定ができない場合は,
6.1.4.4の条件に従って若干の外挿をしてもよい。
直線に該当するとして選び出した特性の平均値(又は対応するグループ)の数をr,個々の劣化処理時
間の対数をzg,個々の特性値をpghとおく。
ここに, g=1… r: 時間τgで試験した試験対象のグループの順位数
h=1… ng: g番目のグループの中での特性値の順位数
ng: グループ番号gの中での特性値の数
ほとんどの場合,それぞれの劣化処理時間ごとのグループの試験片の数ngは同数であるが,これは必要
条件ではなく,グループ間でngの値が異なる場合についても計算を行うことができる。
2
sを,それぞれ次の式(3)及び式
選び出したそれぞれの特性値のグループについて,平均値
p及び分散
g
1g
(4)によって計算する。
p
g
=
n
g
p
gh
h
=
1
g
∑
n
············································································· (3)
n
g
=∑
s
1
2
g
h
=
1
p
2
gh
−
n
g
p
2
g
(
)1
g
······························································· (4)
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10
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
τgの対数を,次の式(5)によって計算する。
gz
=
log
τ
g
················································································ (5)
6.1.4.3
ν,z及びpの数値を,それぞれ次の式(6),式(7)及び式(8)によって計算する。
r
ν
=
∑
n ················································································ (6)
g
g
=
1
r
z
=
z
g
n
g
∑
v
············································································· (7)
g
=
1
r
p
=
p
g
n
g
∑
v
············································································ (8)
g
=
1
回帰式p=ap+bpzの係数を,次の式(9)及び式(10)によって計算する。
r
∑
n z p
−
ν
z
p
g g
g
g
=
1
b
p
=∑
······························································ (9)
r
n z
−
ν
z
2
g g
2
g
=
1
a
p
=
p
−
b
p
z ··········································································· (10)
2
特性グループのプールした分散
1sを,次の式(11)によって計算する。
r
(
n
g
−
1
)
s
1
2
g
s
1
2
=
·····································································(11)
(
v
−
r
)
g
=
1
∑
2
回帰直線からのグループの特性値の平均のばらつきについて,重み付き分散
2sを,次の式(12)によって
計算する。
(
p
−
p
ˆ
)
r
2
2
s
=
∑
n
g
g
g
=
1
g
(
r
−
2
)
2
································································ (12)
ˆ
g
=
a
p
+
b
p
z
g
································································ (13)
ここに,
p
また,式(12)は次の式(14)のように表すことができる。
r
∑
g
=
1
2
2
s
=
6.1.4.4
r
n
g
p
g
2
−
v
p
2
−
b
p
∑
n z p
−
v
z
p
g g
g
=
1
(
r
−
)2
g
······························· (14)
次の式(15)によってFを求め,有意水準0.05での非直線性のF検定を行う。
2
F=
s
2
·················································································· (15)
2
s
1
Fの計算値が自由度fn=r−2及びfd=ν−rの表中の値F1[F1=F(0.95, r−2, ν−r),表C.2参照]を超え
る場合は,6.1.4.2における選択を変更して計算を繰り返す。
r≧3で有意水準0.05のF検定を満足できない場合は,計算値Fを表中の自由度fn=r−2,fd=ν−r及び
有意水準0.005の値F2[F2=F(0.995, r−2, ν−r),表C.3参照]と比較して,F検定を行う。
この水準での検定を満足する場合,計算は続けてもよいが,7.3.2による温度指数の調整はできない。
有意水準0.005でのF検定(すなわち,F≦F2)を満足できないか,又は6.1.4.1に従ってプロットする
特性点が全て終点ラインの片側にあるときには,次の条件の下に外挿することができる。
全ての平均値
pが,終点の値peの同じ側にあり,かつ,選び出した平均値の数が3以上で有意水準0.05
g
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11
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
rp
)
p−
のF検定を満足する場合,終点の値peと終点に最も近い平均値
p(通常,rp)との差の絶対値が,差(
g
1
の絶対値の25 %未満であれば,外挿してもよい。
この場合,計算は続行できるが,7.3.2による温度指数の調整はできない。
6.1.4.5
選定したグループの各特性値について,推定終点到達時間の対数yijを,次の式(16)及び式(17)に
よって計算する。
(
p
−
p
)
gh
y
ij
=
z
g
−
e
b
p
··································································· (16)
ni=ν ····················································································· (17)
ここに, j=1... ni: 温度に対して推定したy値のグループ中でのy値の順位数
iϑ: 劣化処理温度
zg: 劣化処理時間の対数
yijのni値: 6.2.1の計算に用いるlog(時間)値
6.1.5
不完全データ
不完全データの場合は,y値のグループを昇順に並び替える(3.1.1参照)。
6.2
本計算
6.2.1
グループの平均及び分散の計算
それぞれの温度
6.2.1.1
iϑで得たy値yijのグループの平均及び分散を計算する。
完全データ
データが完全な試験では,通常の式(18)及び式(19)を使用できる。
in
y
ij
y
i
=
············································································· (18)
j
=
1
n
i
∑
n
i
=∑
2
s
1
i
2
2
y
ij
−
n
i
y
1
j
=
1
(
n
i
−
)1
································································· (19)
これらの代わりに,この目的に便利さでは劣るが,不完全なデータのための式(6.2.1.2参照)を用いる
こともできる。そのとき,係数は次の式(20),式(21)及び式(22)の値となる。
α
i
=
1
(
n
i
−
)1
············································································ (20)
β
i
=
−
1
n
i
(
n
i
−
)1
·········································································· (21)
μ
i
= 1−
1
·············································································· (22)
n
i
注記 これらの式は,簡単な代数学によって導かれる。平均又は分散についての式[式(18)及び式(19)
参照]が,式(23)及び式(24)を用いて得たものと同等の場合は,それぞれの結果として得られた
式の未知数は,式(20)〜式(22)の結果を用いて,その式に当てはめることができる。εの値は,
明らかに1である。
6.2.1.2
不完全データ
データが不完全な試験では,式(18)及び式(19)に代えて,次の式(23)及び式(24)を用いる。
n
i
−
1
y
ij
y
i
=
(
1
−
μ
i
)
y
in
i
+
μ
i
······················································ (23)
(
−
)
j
=
1
n
i
1
∑
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
12
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
n
i
−
1
2
n
i
−
1
∑
(
y
−
y
)
+
β
∑
(
y
−
y
)
s
=
α
i
2
1
i
2
in
i
ij
i
j
=
1
in
i
ij
········································ (24)
j
=
1
αi,βi及びμiの値は,表C.1(劣化処理した試験片の数m及びy値の数nに対応した行)から読み取る。
データが部分的に不完全(すなわち,一つ以上の温度グループが完全で,かつ,一つ以上の温度グループ
が不完全)なときには,式(20)〜式(22)を用いて値を導く。
6.2.2
平均及び分散
yijの値の全数N,xの重み付平均値x及びyの重み付平均値yを,次の式(25)〜式(27)によって計算する。
k
∑
N
=
in
·············································································· (25)
i
=
1
k
x
=
∑
n
Nx
············································································ (26)
i i
i
=
1
k
y
=
∑
n
Ny
············································································ (27)
i i
i
=
1
不完全データについては,試験片の全数Mを,次の式(28)によって計算する。
k
∑
m
············································································· (28)
M
=
i
i
=
1
完全データでは,M=Nである。
不完全データでは,εiの値を表C.1から読み取る。完全なデータ,又は一部不完全なデータにおいて
ni=miならば,εiの値は1でなければならない。
平均分散の係数を,次の式(29)によって計算する。
k
ε
=
ε
i
∑
k
··············································································· (29)
i
=
1
2
データグループのプールした分散
1sを,次の式(30)によって計算する。
(
n
i
−
1
)
s
1
2
i
··································································· (30)
∑
(
N
−
k
)
i
=
1
k
s
1
2
=
ε
x値の中央2次モーメントμ2(x)を,次の式(31)によって計算する。
k
=∑
μ
2
()
x
6.2.3
n
i
x
i
2
−
N
x
2
i
=1
··························································· (31)
N
回帰計算
回帰直線は,次の式(32)によって表す。
y
=
a
+
bx ·············································································· (32)
直線の勾配bは,次の式(33)によって計算する。
k
=∑∑=
n
i
x
i
y
i
−
N
x
y
b
i
=
1
······························································ (33)
k
2
i i
2
n x
−
N
x
i 1
y軸上の切片aは,次の式(34)によって計算する。
a
=
y
−
b
x ·············································································· (34)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
13
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
相関係数の二乗は,次の式(35)によって計算する。
2
k
∑
n
x y
−
N
x
y
i i i
i
=
1
2
r
=
k
·········································· (35)
k
∑
n x
−
N
x
∑
n y
−
N
y
2
i i
2
2
i i
i
=
1
2
i
=
1
2
回帰直線からのyの平均の分散
2sを,次の式(36)又は式(37)によって計算する。
(
i
i
i
(
k
−
2
)
i
=
1
k
∑
s
2
2
=
)
··································································· (36)
ここに,
Y
ˆ
i
=
a
+
bx
i
(
)
s
2
2
=
6.3
6.3.1
(
k
−
2
)
k
∑
n y
−
N
y
2
i i
2
······················································· (37)
i
=
1
統計検定
分散の同等性の検定
バートレットのχ2関数の値を,次の式(38)によって計算する。
2
k
χ
2
=
ln q
(
N
−
k
)
log
q
s
1
−
(
n
−
1
)
log
q
s
1
2
i
ε
i
=
1
i
c
∑
·································· (38)
k
ここに,
c
=
1
+
∑
n
1
−
1
−
N
1
−
k
i
=
1
i
3
(
k
−
)1
················································ (39)
qは,この式の中で用いる対数の底である。他の細分箇条で計算に用いた底と同じである必要はない。
q=10のときはln q=2.303,q=eのときはln q=1である。
χ2の値を表C.5中の自由度f=k−1の値と比較する。χ2の値が有意水準0.05の表中の値より大きい場合
は,χ2の値,及びχ2より小さく,かつ,表中で最も大きい値を示す有意Pの値を報告する。コンピュータ
プログラムを用いてχ2及びその有意水準を計算する場合は,それらを報告する。
6.3.2
直線性の検定(F検定)
2
回帰直線からの偏差の分散
2sを,有意水準0.05でF検定することによって,測定グループk中のプール
2
した分散
1sと比較する。
その比を,次の式(40)によって計算する。
2
F=
s
2
·················································································· (40)
2
s
1
この値を表中の自由度fn=k−2及びfd=N−kのF0[F0=F(0.95, k−2, N−k),表C.2及び表C.3参照]の
値と比較する。
a) F≦F0の場合,プールした分散を,次の式(41)によって計算する。
s
=
2
(
N
−
k
)
s
1
2
+
(
k
−
2
)
s
2
2
···························································· (41)
(
N
−
)2
a=
s
1
2
(
F F
0
)
に調整し,s2の調整した値を,次の式(42)によって計算する。
1sを()
b) F>F0の場合,
2
s
1
2
2
s
a
=
(
N
−
k
)()
s
1
2
a
+
(
k
−
2
)
s
2
2
························································· (42)
(
N
−
)2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
14
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
6.3.3
X及びYの推定値の信頼限界
信頼水準0.95で自由度N−2におけるスチューデントのt表(表C.4参照)にある値t0.95, N−2を求める。
データの不完全な量に応じて,修正したtの値tcを,次の式(43)によって計算する。
t
c
=
1
t
.0
95
,
N
−
2
N
1
−
−
NM
8
−
1
··························································· (43)
+
5.4
a) Yの推定値 与えられたXに対応するYの推定値Yˆ及びその下側95 %信頼限界cYˆを,次の式(44)及び
式(45)によって計算する。
Y
ˆ
c
=ˆ
Y
−
t
c
s
Y
,
Y
ˆ
=
a
+
bx ··························································· (44)
sY
2
=
(
X
−
()
x
)
s
2
1
+
μ
2
x
N
2
································································ (45)
熱的耐久グラフの信頼限界曲線(6.4参照)は,対象とする範囲にわたり,幾つかの(X,Y)の組
についてYcを計算し,グラフにプロットした点(X,Yc)を通る曲線を描くことによって得られる。
2
F>F0の場合は,式(42)によってs2の値を
asで置き換えなければならない。
b) Xの推定値 終点到達時間τfに対応するXの推定値Xˆ及びその上側95 %信頼限界を,次の式(46)〜式
(49)によって計算する。
ˆ
c
=
x
+
(
Y
−
y
)
+
t
c
s
r
······························································· (46)
X
b
r
b
r
ここに,
Y
=
log
τ
f
ˆ
=
(
Y
−
a
)
············································································ (47)
X
b
2 2
b
r
=
b
−
2
r
s
=
t
c
s
······································································ (48)
Nb
μ
2
()
x
(
)
s
2
b
r
+
μ
2
x
N b
······························································ (49)
Xˆ
c
温度の推定値ϑˆ及びその下側95 %信頼限界
ϑˆを,対応するXの推定値Xˆ及びその上側信頼限界
c
から次の式(50)によって計算する。
1
ˆ
=
ˆ
= X−
ϑ
Θ
0
,
ϑ
c
ˆ
1
−
Θ
0
························································· (50)
ˆ
Xc
6.4 熱的耐久グラフ
回帰直線が確定したときには,熱的耐久グラフ,すなわち縦軸にy(log τ),横軸にx[(
1
ϑ
+
Θ
)
]をと
0
ったグラフにその直線を引く。通常,xは右から左に増すようにプロットし,劣化処理温度(℃)の値を
この軸上に記す[図D.1のa)及びb)参照]。この目的のために市販のグラフ用紙を用いてもよい。
この計算をコンピュータで行う場合は,プログラムによって適切な不等間隔目盛上にグラフをプロット
することができる。
yij=log τijの個々の値及び6.2.1で求めた平均値
iyをグラフ上の対応するxiに対してプロットする。
xiは,次の式(51)による。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
15
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
1
·········································································· (51)
(
i
+
Θ
0
)
x
i
=ϑ
熱的耐久グラフは,下側95 %信頼限界曲線を描くことよって完成する(6.3.3参照)。
7
計算及び結果に対する要求事項
7.1
熱的耐久性の計算
回帰直線の式(52)(係数a及びbは,6.2.3に従って計算する。)を用い,終点到達時間20 000時間(20 kh)
に対応する温度(℃)を計算する。
y=a+bx ················································································ (52)
この温度の数値が,温度指数TIである。
同じ方法で,終点到達時間10 000時間(10 kh)に対応する温度の数値TI10を計算する。半減温度幅HIC
は,次の式(53)となる。
HIC=TI10−TI ········································································· (53)
2
6.3.3 b) の方法で,y=log 20 000におけるTIの下側95 %信頼限界TC,又は調整した値
asを用いた場合
はTCaを計算する。
その結果から(TI−TC)/HIC又は(TI−TCa)/HICを求める。
また,熱的耐久グラフにプロットする(6.4参照)。
7.2
統計検定の取りまとめ及び報告
統計検定の判定表を附属書Bに示す。表B.1において,見出欄の“検定又は処理”の条件に合致しない
場合は,表の右端の欄に示すように処理する。条件に合致する場合は,次の段階に示すように処理する。
同様な手順を,熱的耐久性計算の判定フローチャートに示す(附属書A参照)。
7.3
7.3.1
結果の報告
(TI−TC)/HIC≦0.6の場合は,試験結果はJIS C 2143-1の6.8(試験報告書)に従って,次の形式(54)
で報告する。
TI(HIC): xxx(xx.x) ···································································· (54)
7.3.2
0.6<(TI−TC)/HIC≦1.6で,同時にF≦F0(6.3.2参照)の場合は,HICとともに,次の式(55)で求
めたTIaの値を,形式(54)で報告する。
TIa=TC+0.6 HIC ···································································· (55)
7.3.3
その他の全ての場合は,結果を次のように報告する。
TIg=…, HICg=… ···································································· (56)
8
試験報告
試験報告には,次の事項を含める。
a) 試験片の寸法及び状態調節を含む試験した材料の説明
b) 調べた特性,選定した終点,及び必要な場合は特性の初期値
c) 特性の測定に用いた試験方法(例えば,参照した規格など)
d) 試験手順に関連する情報(例えば,劣化処理雰囲気など)
e) 個々の劣化処理温度及び対応する次のデータ
1) 非破壊試験では,個々の終点到達時間
2) 保証試験では,劣化処理周期の数,経過時間及びその周期の間に終点に到達した試験片の数
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
3) 破壊試験では,劣化処理時間及び個々の特性値並びに劣化処理時間での特性変化のグラフ
f)
熱的耐久グラフ
g) 7.3で規定した書式に従った温度指数及び半減温度幅
h) 6.3.1で要求があった場合は,χ2及びPの値
i)
保証試験では,5.1.2に従った最初の劣化処理周期に終点に到達した試験片数
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
附属書A
(規定)
熱的耐久性計算の判定フローチャート
選定した劣化処理温度
での試験片グループ
終点到達平均時間の計算
TIの計算
いいえ
χ2及びPの報告
はい
s12の調整
いいえ
いいえ
最長推定平均時間
はい
いいえ
外挿
の計算
はい
s2の計算
(s12とs22とのプール)
TI,TC,HICの計算
s2の計算
[(s12)aとs22とのプール]
TI,TC,HICの計算
いいえ
はい
推定値の計算:
分散:s1i2
の計算
s12 の計算
s22 の計算
いいえ
はい
いいえ
はい
はい
の計算
いいえ
破壊試験
はい
新たなグループでの
より低温での試験
いいえ
外挿なし
はい
いいえ
全てF≦F1
はい
TI の調整
報告
TIを除く
HICg=xx.x 又は 試験デー
の報告
タの報告
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
附属書B
(規定)
判定表
表B.1−検定に伴う判定及び処理
検定又は処理a)
段階
参照
検定不合格時の処理
最長終点到達平均時間≧5 000 h
JIS C 2143-1の5.5
段階15へ
外挿≦25 K
JIS C 2143-1の5.5
段階15へ
χ2及びPを報告
段階4へ
段階12へ
段階7へ
TI (HIC): xxx (xx.x)を報告
段階14へ
破壊試験の判定
段階11へ
外挿なしのデータ処理
段階14へ
段階14へ
TIa=TC+0.6 HICをTI (HIC): … (..)として報告
TI (HIC): xxx (xx.x)を報告
TIg=xxx,HICg=xx.xを報告
新たなグループでのより低温における試験
注a) 太字は,処理を表す。
段階14へ
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
附属書C
(参考)
統計表
注記 表C.1〜表C.5は,対応国際規格の表を記載している。
表C.1−不完全データ計算用の係数
注記 α,β,μ及びεの単位は,1×10−3
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表C.1−不完全データ計算用の係数(続き)
注記 α,β,μ及びεの単位は,1×10−3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
21
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表C.1−不完全データ計算用の係数(続き)
注記 α,β,μ及びεの単位は,1×10−3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
22
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表C.1−不完全データ計算用の係数(続き)
注記 α,β,μ及びεの単位は,1×10−3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
23
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表C.1−不完全データ計算用の係数(続き)
注記 α,β,μ及びεの単位は,1×10−3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
24
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表C.1−不完全データ計算用の係数(続き)
注記 α,β,μ及びεの単位は,1×10−3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
25
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表C.2−F−分布表抜粋,F(0.95,fn,fd)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
26
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表C.3−F−分布表抜粋,F(0.995,fn,fd)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
27
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表C.4−t−分布抜粋表,t0.95
表C.5−χ2分布表抜粋
注記 有意水準Pは,(1−p)に等しい。例えば,有意
水準0.05はp=0.95に対応する。
ここで用いるpは,本体で用いるpとは異な
る。
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
附属書D
(参考)
実施例
注記 表D.1〜表D.3は,対応国際規格の表を記載している。
表D.1−実施例1−不完全データ(保証試験)
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表D.1−実施例1−不完全データ(保証試験)(続き)
結果
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
30
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表D.2−実施例2−完全データ(非破壊試験)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
31
C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表D.2−実施例2−完全データ(非破壊試験)(続き)
結果
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
a) 実施例1
b) 実施例2
注記 a)の図では,直線は回帰方程式を,破線は推定温度の下側95 %信頼限界を示している。b)の図は,コンピュー
タ処理によって作成した。
図D.1−熱的耐久グラフ
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表D.3の実施例は,破壊試験データに特有の計算の例証を与え,単一の試験温度との関連を説明する。
この計算からのデータ及びその他の試験温度からのデータは,実施例2(表D.2参照)と同様の計算に取
り込まれている。
表D.3−実施例3−完全データ(破壊試験)
終点70.0
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
表D.3の実施例3のデータを図示したグラフを図D.2に示す。点E及び点E'を通る直線は選定した終点
を示す。点D及び点D'は,このデータ処理の理解のために,実際のデータにはない仮想の点を追加したも
のであり,この点から回帰直線に平行な直線を引いて,点E及び点E'において終点ラインと交差する時間
がそれぞれ想定される終点到達時間である。グラフ上に印したその他の幾つかの点は,それぞれ特性値グ
ループの平均値である。
図D.2−実施例3(破壊試験データ)の特性−時間グラフ
表D.3のデータセットで,劣化処理時間624時間までだけが有効であった場合は,70.5>70.0であるた
め,劣化曲線は終点ラインと交差していない。この場合,必要となる外挿は次のとおりになる。
(70.5−70.0)/(122.0−70.5)=0.009 7
この外挿は,6.1.4.4の他の制限に触れないことを条件として許容できる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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C 2143-3:2013 (IEC 60216-3:2006)
附属書E
(参考)
コンピュータプログラム
対応国際規格では,この規格で用いる計算用プログラムをCD-ROMの形で提供している。対応国際規格
の附属書Eの記述はプログラムの解説であって,その実行には直接関係しないと判断したため,この規格
では不採用とした。
このCD-ROMは,一般財団法人日本規格協会からIEC 60216-3を購入すると,入手することができる。
この規格にはCD-ROMを添付しない。また,動作環境(OS,プログラム言語など)は,我が国の現状
に照らしてやや旧版に属するものを前提としている。現在は,最新のOS上で動作する市販の統計計算用
ソフトウェアが種々存在するため,比較的容易に計算を行うことができる。
参考文献
[1] SAW. J. G., Estimation of the Normal Population Parameters given a Singly Censored Sample, Biometrika 46,
150, 1959
[2] PRESS. W.H. et al., Numerical Recipes. FORTRAN Version, Cambridge University Press, Cambridge 1989
[3] JIS C 2143-5 電気絶縁材料−熱的耐久性−第5部:相対熱的耐久性指数(RTE)の求め方
注記 対応国際規格:IEC 60216-5,Electrical insulating materials−Thermal endurance properties−Part
5: Determination of relative thermal endurance index (RTE) of an insulating material(IDT)