2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。

K 8342:2007

ページ

序文 ··································································································································· 1

1 適用範囲 ························································································································· 1

2 引用規格 ························································································································· 1

3 一般事項 ························································································································· 1

4 種類······························································································································· 1

5 性質······························································································································· 1

5.1 性状 ···························································································································· 2

5.2 定性方法 ······················································································································ 2

6 品質······························································································································· 2

7 試験及び検査方法 ············································································································· 2

7.1 試験及び検査方法の条件並びに結果 ··················································································· 2

7.2 純度(P2O5) ················································································································ 2

7.3 水溶状 ························································································································· 2

7.4 硫酸塩(SO4) ·············································································································· 2

7.5 重金属(Pbとして) ······································································································ 3

7.6 ひ素(As) ··················································································································· 3

7.7 窒素化合物(Nとして)·································································································· 3

7.8 過マンガン酸還元性物質 ································································································· 3

8 記録······························································································································· 3

9 容器······························································································································· 4

10 表示 ····························································································································· 4

11 取扱い上の注意事項 ········································································································ 4

附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································· 5

解 説 ································································································································ 9

(1)

著作権法により無断での複製,転載等は禁止されております。

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K 8342:2007

まえがき

この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本試薬

協会(JRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申

出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。

これによって,JIS K 8342:1994は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は

もたない。

(2)

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日本工業規格

JIS

K 8342:2007

酸化りん(Ⅴ)(試薬)

Phosphorus (V) oxide (Reagent)

P2O5 FW : 141.94

序文

この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 6353-3,Reagents for chemical analysis−Part

3:Specifications−Second seriesを基に作成した日本工業規格であるが,対応国際規格の規定の一部に市場の

実態を反映していない部分があるため,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。

なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。

変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。

1

適用範囲

この規格は,試薬として用いる酸化りん(Ⅴ)1)について規定する。

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 6353-3:1987,Reagents for chemical analysis−Part 3: Specifications−Second series (MOD)

なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示

す。

注1) 別名:五酸化二りん

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS K 0050 化学分析方法通則

JIS K 8001 試薬試験方法通則

JIS P 3801 ろ紙(化学分析用)

3

一般事項

試験及び検査方法の一般的な事項は,JIS K 8001による。

4

種類

種類は,特級とする。

5

性質

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2

K 8342:2007

5.1

性状

酸化りん(Ⅴ)は,白い粉末で吸湿性が極めて強い。水と激しく反応して溶け,その溶液は酸性である。

5.2

定性方法

試料1 gに水20 mlを加えて溶かし,硝酸(1+2)5 ml及び七モリブデン酸六アンモニウム溶液(100 g/l)

5 mlを加え煮沸すると黄色の沈殿が生じる。

6

品質

品質は,箇条7によって試験及び検査したとき,表1に適合しなければならない。

表1−品質

項目

純度(P2O5)

水溶状

硫酸塩(SO4)

重金属(Pbとして)

ひ素(As)

窒素化合物(Nとして)

過マンガン酸還元性物質

7

試験及び検査方法

7.1

試験及び検査方法の条件並びに結果

規格値

質量分率 % 98.0以上

試験適合

質量分率 % 0.02以下

質量分率 % 0.002以下

質量分率 % 0.003以下

質量分率 % 0.002以下

試験適合

試験及び検査方法の環境は,JIS K 8001の3.7(試験操作など)(1)(試験の環境)による。湿度管理は,

必要に応じ実施する。また,表1で規定する各品質項目の試験及び検査は,次の各試験及び検査方法によ

って行い,得られる測定値の計算方法及び規格値に対する判定は,JIS K 8001の3.5(測定値)による。

試料溶液の調製 試料10 gを水蒸気などで十分に吸湿させた後,水を加えて溶かし全量を100 mlにする(A

液)。

警告 酸化りん(Ⅴ)は水と非常に激しく反応し危険なので,水に溶かす場合は,表面積を広くとれ

る容器を用いて,空気中の水分,水蒸気などで十分に吸湿させてから行う。

7.2

純度(P2O5)

試料約1 gを0.1 mgのけたまで速やかにはかりとり,水蒸気などで十分に吸湿させた後,水を加えて溶

かし約100 mlとし,水浴上で約25 mlになるまで蒸発させ,冷却した後,水120 mlを加え,チモールフタ

レイン溶液を指示薬として1 mol/l水酸化ナトリウム溶液で滴定する。終点は,液の色が無色から青に変わ

る点とする。この場合,1 mol/l水酸化ナトリウム溶液1 mlは,0.035 486 g P2O5 に相当する。

7.3

水溶状

水溶状は,JIS K 8001の5.2(溶状)による。この場合,試料は2 gを用い,溶解後5分間放置する。濁

りの程度の適合限度標準は,JIS K 8001の5.2(1)(濁りの程度の適合限度標準)(b)(ほとんど澄明)を

用いる。

7.4

硫酸塩(SO4)

操作及び計算は,次による。

a) 操作 A液20 ml(試料量2 g)に水90 ml及び塩酸(2+1)3 mlを加えて,必要ならばJIS P 3801

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3

K 8342:2007

規定するろ紙(5種C)を用いてろ過し,水で洗い,そのろ液と洗液とを合わせる。この液を沸騰す

るまで加熱し,熱塩化バリウム溶液(100 g/l)5 mlを加え,更に水浴上で30分間加熱し,一夜放置す

る。JIS P 3801に規定するろ紙(5種C)を用いてろ過し,沈殿及びろ紙を水で洗う2)。あらかじめ強

熱して恒量にし,0.1 mgのけたまで質量をはかったるつぼに沈殿をろ紙ごと入れ,徐々に加熱して灰

化し,更に恒量になるまで強熱した後,デシケーター中で放冷し,再び質量をはかる。

注2)

洗液20 mlをとり,硝酸(1+2)5 ml及び硝酸銀溶液(20 g/l)1 mlを加えたときに白濁しな

くなるまで行う。

b) 計算

×

.0

411 6

m

2

m

1

×

100

A

=

2

ここに,

7.5

A: 硫酸塩(SO4)(質量分率 %)

m2: 硫酸バリウムの残分を含むるつぼの質量(g)

m1: 空のるつぼの質量(g)

0.411 6: 硫酸バリウムを硫酸塩に換算する係数

重金属(Pbとして)

溶液の調製及び操作は,次による。

a) 試料側溶液 A液25 ml(試料量2.5g)をとり,pH試験紙を用いてアンモニア水(2+3)でpH約3.5

に調整した後,水を加えて50 mlにする(B液)。B液30 ml(試料量1.5 g)をとる。

b) 標準側溶液 B液10 ml(試料量0.5 g)に鉛標準液(Pb:0.01 mg/ml)2.0 ml及び水を加えて30 mlに

する。

c) 操作 JIS K 8001の5.24[重金属(Pbとして)](2)(分液硫化ナトリウム法)による。

7.6

ひ素(As)

溶液の調製及び操作は,次による。

a) 試料側溶液 A液1.0 ml(試料量0.1 g)を水素化ひ素発生瓶100 mlに入れ,水を加えて20 mlにする。

b) 標準側溶液 ひ素標準液(As:0.001 mg/ml)3.0 mlを水素化ひ素発生瓶100 mlに入れ,水を加えて

20 mlにする。

c) 操作 JIS K 8001の5.19[ひ素(As)](3)[N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀法(AgDDTC法)]

による。

7.7

窒素化合物(Nとして)

溶液の調製及び操作は,次による。

a) 試料側溶液 A液10 ml(試料量1 g)に水を加えて140 mlにする。

b) 標準側溶液 窒素標準液(N:0.01 mg/ml) 2.0 mlに水を加えて140 mlにする。

c) 操作 JIS K 8001の5.12[窒素化合物(Nとして)](4)(蒸留−インドフェノール青法)による。

7.8

過マンガン酸還元性物質

操作及び判定は,次による。

a) 操作 試料3 gに水50 ml及び0.02 mol/l過マンガン酸カリウム溶液0.20 mlを加え,沸騰し始めるま

で加熱した後,水浴上で10分間加熱する。

b) 判定 液の色が紅色を保つとき,P2O3として約質量分率0.02 %以下である。

8

記録

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4

K 8342:2007

記録は,JIS K 0050の12.(記録)による。

9

容器

容器は,気密容器とする。

10 表示

容器には,次の事項を表示する。

a) 名称 “酸化りん(Ⅴ)”及び“試薬”の文字

b) 種類

c) 化学式及び式量

d) 純度

e) 内容量

f)

製造番号

g) 製造年月又はその略号

h) 製造業者名又はその略号

11 取扱い上の注意事項

酸化りん(Ⅴ)は,強い吸湿性があり,水と激しく反応するので,不用意に水と接触させない。また,

粘膜及び皮膚に付着しないようにする。

警告 この規格の使用者は,試験室での作業に精通するように努めなければならない。また,この規

格の使用に関連して起こるすべての安全上の問題は記載していないので,MSDS(化学物質等

安全データシート)などを参考にして安全及び健康に留意した適切な措置をとらなければなら

ない。

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JIS K 8342:2007 酸化りん(Ⅴ)(試薬)

(Ⅰ)JISの規定

箇条番号及び名称

1 適用範囲

内容

附属書JA

(参考)

JISと対応する国際規格との対比表

国際規格番

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご

との評価及びその内容

箇条番号

箇条ごと

の評価

変更

内容

試薬として用いる

酸化りん(Ⅴ)に

ついて規定。

化学分析用試

薬57品目の仕

様について規

定。

JIS K 8001によ

る。

4 種類

5 性質

6品質

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

技術的差異の内容

JISは1品目1規格。

試薬の規格使用者が各規格を

多く引用しやすくするために

1品目1規格としている。

なお,対応国際規格は,20

年以上見直しが行われていな

いため,市場の実態に合わな

い。国際規格の改正提案を検討

する。

追加

項目を追加。

JIS K 8001を引用。

編集上の差異であり,技術的な

差異はない。

追加

種類の項目を追加。

JISは種類として“特級”だけ

なので,ISO規格と技術的な差

異はない。

追加

性質の項目を追加。

一般的な説明事項であり技術

的差異はない。

変更

1) 品質に差異のある項目:重金

属,過マンガン酸還元性物質。

2) 追加した項目:硫酸塩,ひ素。

3) ISO規格は水不溶分,JISは水

溶状に変更。

ISO規格は,長期間内容の見直

しが行われず国際市場でISO

規格品が用いられることはほ

とんどない。また,技術的差異

も軽微1)2)3)である。

2 引用規格

3 一般事項

追加

一般的な試験及び検査方法の

条件並びに結果に関する事項

であり,技術的な差異はない。

7 試験及び検査方法

7.1試験及び検査方

法の条件並びに結果

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内容

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご

との評価及びその内容

箇条番号

試料溶液の調製

試料溶液

7.2 純度(P2O5)

滴定法

滴定法

7.3 水溶状

水溶状

水不溶分

7.4 硫酸塩(SO4)

重量法

7.5 重金属(Pbとし

て)

分液硫化ナトリウ

ム法

7.6 ひ素(As)

AgDDTC法

7.7 窒素化合物(N

として)

蒸留−インドフェ

ノール青法

7.8 過マンガン酸還

元性物質

比色法

技術的差異の内容

JISは,具体的な操作の注意事項

を追加。

編集上の差異であり,技術的な

差異はない。

変更

操作法などを変更。

技術的な差異は軽微であり,対

策は考慮しない。

変更

JIS K 8001の5.2を引用。

ISO規格の水不溶分をJISは水

溶状に変更。

ISO規格の見直し時に,改正提

案の検討を行う予定。

追加

項目を追加

品質確保のために必要。

ISO規格の見直し時に,改正提

案の検討を行う予定。

変更

1) 試料の量,試薬,操作などを

変更。

2) JIS K 8001の5.24を引用。

JISは,技術的改良から硫化水

素法を分液硫化ナトリウム法

に変更。ISO規格の見直し時

に,改正提案の検討を行う予

定。

追加

項目を追加

品質確保のために必要。

ISO規格の見直し時に,改正提

案の検討を行う予定。

蒸留−ネスラ

ー法

変更

1) 蒸留−ネスラー法を蒸留−イ

ンドフェノール青法に変更。

2) JIS K 8001 の5.12を引用。

ISO規格のネスラー法は環

境・安全上,変更が必要。

ISO規格の見直し時に,改正提

案の検討を行う予定。

滴定法

変更

試料量,試薬,操作などを変更。

技術的な差異は軽微であり,対

策は考慮しない。

硫化水素法

箇条ごと

の評価

変更

内容

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

箇条番号及び名称

国際規格番

(Ⅰ)JISの規定

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内容

(Ⅲ)国際規格の規定

(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご

との評価及びその内容

箇条番号

項目を追加。

内容

8 記録

箇条ごと

の評価

追加

9 容器

追加

項目を追加。

10 表示

追加

項目を追加。

(Ⅴ)JISと国際規格との技術的

差異の理由及び今後の対策

技術的差異の内容

箇条番号及び名称

国際規格番

(Ⅰ)JISの規定

規格適合性を評価する関係で

必要な項目を追加。

11 取扱い上の注意

追加

項目を追加。

事項

注1) 理由:軽微な技術的差異。箇条6(品質)の(Ⅳ)欄の1)〜3)は,いずれも一般用途の試薬としては軽微な技術的差異であり,この差が取引上の障害になる可能

性はほとんどない。ISO規格,JISとも品質項目の設定・品質水準の設定は,市場での長い使用実績・経験を踏まえたものである。ISO規格とJISとの質量分率

ppm〜質量分率pptレベルの不純物のごくわずかの差異は,経験上,一般用途の試薬としては実用上差し支えないものと考えられる。

なお,不純物のごくわずかの差異がどのような影響を及ぼすか,あらゆる用途を想定して検証することは現実的ではない。この(Ⅳ)の1)〜3)の品質項目及び品

質水準が不満足な場合は,通常,JIS試薬,ISO規格試薬とも対応できない。この場合,対応策としては,目的にあった高純度試薬など特殊用途の試薬を使用す

ることになる。

2) ISO試薬規格の状況:ISO規格の試薬は,規格の維持管理が行われていない(規格制定後約20年経過)。このため,ISO規格の内容が現在の市場の要求にこたえ

ているかどうかの検討が行われていない(JISとの差)。また,ISO規格の試薬は,我が国だけではなく,国際市場でも商取引がほとんどなく国際規格としての

存在意義が乏しい。

3) 今後の対策:注1)及び注2)の理由から,当面,対策を考慮しない。

JISと国際規格との対応の程度の全体評価: ISO 6353-3:1987,MOD

生物学的製剤基準(平成5年厚生省告示第217号)

飼料及び飼料添加物の成分規格(昭和51年農林省令第35号)

第十四改正日本薬局方(平成13年厚生労働省告示第111号)

関連する法規

労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)−第18条 名称等を表示すべき有害物質

化学物質危険有害性等の表示に関する指針(平成4年労働省告示第60号) [MSDS]

関連する外国規格

イギリス British Standards BS 6376-3(1989)

韓国 韓国産業規格(Korean Standards) KS M 8279(1997),KS MISO 6353-3(2002)

中国 国家標準(Guojia Biaozhum) GB/T 2305(2000)

フランス Norme Française(フランス標準) NF ISO 6353-3(1988)

注記1 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次による。

− 追加……………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。

被引用法規

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− 変更……………国際規格の規定内容を変更している。

注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。

− MOD……………国際規格を修正している。