2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

ページ

序文 ··································································································································· 1

1 適用範囲 ························································································································· 1

2 引用規格 ························································································································· 2

3 用語及び定義 ··················································································································· 2

4 年代別輝度コントラスト ···································································································· 3

5 年代別輝度コントラストによる評価方法 ··············································································· 6

5.1 年代別輝度コントラスト ································································································· 6

5.2 電子式ディスプレイ又は図記号(安全標識など) ································································· 7

附属書A(参考)年代別輝度コントラストの計算及び応用例 ························································· 8

(1)

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本

工業規格である。

これによって,JIS S 0031:2004は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(2)

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。

日本工業規格

JIS

S 0031:2013

(ISO 24502:2010)

高齢者・障害者配慮設計指針−視覚表示物−

色光の年代別輝度コントラストの求め方

Ergonomics-Accessible design-

Specification of age-related luminance contrast for coloured light

序文

この規格は2010年に第1版として発行されたISO 24502を基に,技術的内容及び構成を変更することな

く作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格にはない事項である。

この規格は2004年に制定された。その後,この規格を基に,2010年に第1版としてISO 24502が国際

規格として発行されたものである。

高齢者の人口の急激な増加にもかかわらず,多くの国々において高齢者にとって見にくい視覚表示物が

増加している。このことは高齢者が安全で快適な生活を送ることを難しくしている。

この規格は,年代別輝度コントラストの計算方法を示すもので,視環境において高齢者を含む多くの人々

のための見やすい視覚表示物を評価・設計するために使用する。この規格は幅広い年齢の人々に対して,

年代別明所視分光視感効率に基づいて年代別輝度コントラストを算出するものである。

この規格は,アクセシブルデザインの原理である,JIS Z 8071及びISO/TR 22411を基に作成している。

1

適用範囲

この規格は,年代別分光視感効率を用いて,照明又は視覚表示物のデザインで使用される輝度コントラ

ストを年代別に計算する方法について規定する。

この規格は,明所視と呼ばれる通常の明るい状況において,分光放射輝度が既知若しくは計測可能であ

る視覚表示物又はディスプレイの光に対し,自発光及び反射光を問わず適用できる。ただし,薄明視及び

暗所視という,より暗い環境下で見る光には適用しない。

この規格では,分光視感効率に影響を及ぼす視覚的疾病又はその病歴をもたない,ロービジョンでない

人々を対象とし,年齢として10歳〜79歳を対象とする。対象の人々の中の多くの方々と異なる多様な色

覚の方々に対しては,それぞれに対応する分光視感効率を用いて,別途輝度コントラストを定義する必要

がある。また,ロービジョンの方々に対しては,色覚以外の多様な視覚特性にも配慮し,輝度コントラス

トに対応する適切な視覚的評価指針を別途定義することが望ましい。

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 24502:2010,Ergonomics−Accessible design−Specification of age-related luminance contrast for

coloured light(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。

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2

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)

は適用しない。西暦年の付記のない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。

JIS Z 8113 照明用語

ISO 3864-1:2002,Graphical symbols−Safety colours and safety signs−Part 1: Design principles for safety

signs in workplaces and public areas

ISO 3864-4,Graphical symbols−Safety colours and safety signs−Part 4: Colorimetric and photometric

properties of safety sign materials

ISO 9241-302:2008,Ergonomics of human-system interaction−Part 302: Terminology for electronic visual

displays

ISO 9241-303:2008,Ergonomics of human-system interaction−Part 303: Requirements for electronic visual

displays

ISO/CIE 23539,Photometry−The CIE system of physical photometry

CIE 15,Colorimetry

CIE 17.4:1987,International lighting vocabulary

3

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8113によるほか,次による。

3.1

視感効率(luminous efficiency)

ある放射束にV (λ) の重み付けをして得られた放射束と元の放射束との比(CIE 17.4:1987参照)。

3.2

分光視感効率(spectral luminous efficiency)[波長λの単色放射に対するもの。明所視に対してV (λ),暗所

視に対してV' (λ)]

特定の測光条件下で,波長λの放射と波長λmの放射とが同じ強さの光感覚を生じる場合における,波長

λmの放射束の波長λの放射束に対する比。λmは,この比の最大値が1になるように選択する。

注記1 CIE 17.4:1987参照。

注記2 明所視における分光視感効率の値は,ISO /CIE 23539に規定されている。

3.3

放射束(radiant flux)

放出,伝達,受容される放射のパワー(CIE 17.4:1987参照)。

注記 単位はワット(W)。

3.4

年代別明所視分光視感効率(age-related photopic spectral luminous efficiency)[Va (λ)]

年齢aに対して定義された分光視感効率。

3.5

光束(luminous flux)

与えられた発光面の与えられた方向の単位面積から,単位立体角に放出される光束の量。単位:ルーメ

ン[lm]。

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3

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

3.6

輝度(luminance)

与えられた発光面の与えられた方向の単位面積から,単位立体角に放出される光束の量。単位:カンデ

ラ毎平方メートル[cd/m2]。

3.7

輝度コントラスト(luminance contrast)

対象物の明るい方の輝度LHと暗い方の輝度LLとの比。

注記1 コントラスト変調[ミケルソン(Michelson)コントラストともいう。]で表す場合,次のよ

うに定義される。

C

m

=

L

H

L

L

L

H

L

L

ここに,

············································································ (1)

Cm: コントラスト変調(ミケルソンコントラスト)

LH: 明るい方の輝度

LL: 暗い方の輝度

また,コントラスト比(CR)で表す場合,次のように定義される。

CR=

L

H

L

L

ここに,

·················································································· (2)

CR: コントラスト比

注記2 コントラスト比(CR)は,高い輝度レベルの場合にしばしば用いられる。輝度の検知しきい

(閾)値に近い低いレベルの場合,次の式(ウェーバー比)を使用することができる。

C

w

=

L

H

L

L

············································································ (3)

L

L

ここに,

Cw: ウェーバー比

注記3 全てではないが,あるディスプレイではピクセルが離散的ではあるものの十分均一と見なす

ことができる場合,ディスプレイの輝度を近似するときに領域輝度を用いる(ISO

9241-302:2008参照)。

注記4 この規格では,式(2)が用いられる。ただし,式(1)及び式(3)も年代別輝度コントラストの計算

に用いる。

3.8

年代別輝度コントラスト(age-related luminance contrast)[Ca (λ)]

年齢[Ca]に対して定義された輝度コントラスト。

注記 式は(4)に示す。

3.9

明所視(photopic vision)

少なくとも数カンデラ毎平方メートル以上の輝度レベルに順応した視覚(CIE 17.4:1987参照)。

4

年代別輝度コントラスト

年代別輝度コントラストの式Caは,年齢によって変化する分光視感効率を考慮した輝度対応値を用いて,

輝度コントラストの式から導かれる(表1参照)。また,式(4)は,光P1及び光P2の分光放射輝度を各々Le,λ,1

及びLe,λ,2とした場合の年代別輝度コントラストの計算として適用する。

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4

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

780

L V (

λ

) Δ

λ

λ,e

1, a

C

a

=

380

780

································································· (4)

L V (

λ

)

λ

λ,e

2, a

380

780

ここに, ∑

780

L V (

λ

)

λ

の場合

L

1,λ,e

V

a

(

λ

)

λ

380

2,λ,e a

380

Ca: a歳代の年代別輝度コントラスト

Le,λ,1: 光P1の分光放射輝度(W·m−2·sr−1·nm−1)

Le,λ,2: 光P2の分光放射輝度(W·m−2·sr−1·nm−1)

Va (λ): a歳代の明所視分光視感効率(値は10歳代ごとに表1に

示す。)

Δλ: 波長幅(5 nm)

注記1 年齢aは年代を示しており,10歳〜19歳及び20歳〜29歳というように,10歳ごとに表1

に示してある。例えば,C20及びV20 (λ) は,20歳代の平均的な輝度コントラスト及び明所視

分光視感効率を示す。

注記2 Le,λ,1,Le,λ,2は,Va (λ) と同様,380 nm〜780 nmの範囲で5 nmごとに,表1に示す。式(4)のΔλ

は5 nmである。より正確に計算したい場合は,1 nm幅で補間する。分光分布の補間に関し

ては,CIEが幾つかの方法を推奨している(CIE 15を参照)。

780

注記3 ∑

L

1,λ,e

V

(

λ

)

λ

は,標準分光視感効率V (λ) 及び最大視感効果度Km(683 lm/W)を用いてCIE

380

が定義した輝度に類似した量となる。

注記4 CIEによる輝度の定義では,波長幅の影響を避けるために,連続積分式が用いられている。

ただし,実際は,5 nmごとに分光視感効率の重み付けをした分光放射輝度の加算が適切であ

る。

780

注記5 式(4)は,

L V (

λ∆

)

λ

を輝度の要素として用いた輝度コントラストの定義の一つである。

1,λ,e a

380

同様に,ミケルソンのコントラスト(ISO 9241-302)の式も年齢別輝度コントラストの計

算に適用してもよい。

注記6 Va (λ) の年齢変化と光の視感効率との関係は,ISO/TR 22411に記載されている。

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5

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

表1−年代別明所視分光視感効率

波長

明所視分光視感効率

10歳〜19歳

20歳〜29歳

30歳〜39歳

40歳〜49歳

50歳〜59歳

60歳〜69歳

70歳〜79歳

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6

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

表1−年代別明所視分光視感効率(続き)

波長

明所視分光視感効率

10歳〜19歳

20歳〜29歳

30歳〜39歳

40歳〜49歳

50歳〜59歳

60歳〜69歳

70歳〜79歳

注 データは,参考文献[2]を参照。

5

年代別輝度コントラストによる評価方法

5.1

年代別輝度コントラスト

年代別輝度コントラストは,通常の輝度コントラストと等価な値として,視覚表示物又はディスプレイ

の視認性,作業性,見え方の評価に利用しなければならない(附属書Aを参照)。輝度コントラストの定

量的評価は,使用目的に依存し,次の点を考慮して実施する。

− 光の空間的及び時間的構成

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7

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

注記1 コントラスト値の評価に関しては,空間的及び時間的グレーティングパターンに対する視覚

のコントラスト感度関数を参照する。

− 観察条件

注記2 観察条件を規定する要因の中では,主に光の輝度レベルがコントラストの視認性に影響を与

える。

− 視作業

注記3 コントラスト値の評価は,遂行する視作業に依存する。

例:対象物の検知,文字の読み取り,視覚的印象の評価(読みやすさの段階の評価など)。

5.2

電子式ディスプレイ又は図記号(安全標識など)

電子式ディスプレイ又は図記号(安全標識など)といった応用分野では,特殊な輝度コントラストの値

が要求される[ISO 9241-303:2008の5.5.2(Luminance contrast),ISO 3864-1:2002の表6(Luminance contrast

for transilluminated materials)及びISO 3864-4の表3(Luminance contrast for powered internally illuminated

safety signs)]。年代別輝度コントラストを使用する場合は,これらの値を遵守しなければならない。

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S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

附属書A

(参考)

年代別輝度コントラストの計算及び応用例

A.1 目的

この附属書は,年代別輝度コントラストの計算例を,異なる年齢について記載し,同じ表示物でも年齢

によってコントラストが異なることを実証する。照明デザインの例又は年代別の明所視分光視感効率の意

味も示すものであって,規定の一部ではない。

A.2 計算例

箇条4の方法を用いて,図A.1 a) に示す視覚表示物に対して,20歳代及び60歳代の各々の観測者の年

代別輝度コントラストを計算することができる。視標及び背景の分光放射輝度データは,図A.1 b) に示さ

れている。

表1によって20歳代の年代別分光視感効率V20 (λ) を用いて,式(4)に従い,図A.1 a) に示す表示物の

20歳代の年代別輝度コントラストC20を計算すると,次の結果が得られる。

780

L V (

λ

)

λ

1,λ,e 20

380

C

20

=

780

L V (

λ

)

λ

2,λ,e 20

380

=

0

003 1

0

001 5

=

2.

07

同じ式を用いて,70歳代の観測者に対しV70 (λ) を用いて,年代別輝度コントラストを計算すると,次

の結果が得られる。

780

L V (

λ

)

λ

1,λ,e 70

380

C

70

=

780

L V (

λ

)

λ

2,λ,e 70

380

=

0

001 8

0

001 6

=

1.

13

図A.1 a) に示すような視標(例えば,暗い茶の背景に青の視標)の年代別輝度コントラストは,20歳

代にとって2.07。また,70歳代にとって1.13となる。

この視標の視認性は,高齢者にとって非常に低いと評価される。もし,高齢者に対するコントラストを

少なくとも若齢者の値(Ca=2.07)と同レベルに設定するときは,青の視標の放射量は1.83倍まで上げな

ければならない。

注記 この視標の可読性に関する輝度コントラストの限界は,デザインの内容に依存する。

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9

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

a) 視標及び背景の例

b) 視標及び背景の分光放射輝度

X 波長,nm

Y1 分光放射輝度,W·m−2·sr−1·nm−1

Y2 視感効率

1 V20 (λ)

2 V70 (λ)

3 青の視標

4 暗い茶の背景

図A.1−年代別輝度コントラストの計算に用いた文字及び背景の例

A.3 照明デザインにおける年代別輝度コントラストの適用例

よりよい照明デザインのための,年代別輝度コントラストの適用例を,次に示す。

− 高齢者用に新しく開発された光源の視感効率評価

比較のための基準ランプを用意し,同じ標本の一方の領域を新しいランプで照明し,他方の領域を

基準ランプで照らし,この二つの領域における年代別輝度コントラストを計算することによって,高

齢者に対して新しいランプの視感効率が,定量的に評価できる。

− 高齢者を対象とした,視認性のより高い照明デザイン

照明によって照らされた物体又は視覚表示物の年代別輝度コントラストを計算することによって,

適切な照明光源を選択及び評価することができ,これによって高齢者にとってより見やすい視覚表示

物が設計できる。

A.4 明所視における年代別分光視感効率

年代別明所視分光視感効率Va (λ) は交照法によって測定され,視力並びにフリッカーといった空間及び

時間分解能に関わる視作業における光の評価に用いる。この分光視感効率は,直接明るさをマッチングす

る方法によって測定され,色光の検知及び明るさに関わる視作業の評価に用いられる他の型の明所視分光

視感効率とは異なる。

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10

S 0031:2013 (ISO 24502:2010)

参考文献

[1] JIS Z 8071 高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針

注記 対応国際規格:ISO/IEC Guide 71:2001,Guidelines for standards developers to address the needs of

older persons and persons with disabilities(IDT)

[2] Sagawa,K., Takahashi,Y. Spectral luminous efficiency as a function of age.j.Opt.Soc. Am.,A18,2001,pp.

2659-2667

[3] ISO/TR 22411:2008,Ergonomics data and guidelines for the application of ISO/IEC Guide 71 to products and

services to address the needs of older persons and persons with disabilities