Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

ページ

序文 ··································································································································· 1

1 適用範囲························································································································· 1

2 測光量···························································································································· 1

3 測光単位························································································································· 3

3.1 カンデラ ······················································································································ 3

3.2 その他の単位 ················································································································ 3

4 測光標準························································································································· 3

4.1 明所視及び暗所視のCIE標準分光視感効率関数 ··································································· 3

4.2 明所視及び暗所視に対する最大視感効果度 ·········································································· 4

4.3 測光量及び放射量に関する基本式······················································································ 4

4.4 測定手順 ······················································································································ 5

附属書A(参考)関連用語 ···································································································· 15

附属書B(参考)CIE物理測光システムの背景 ········································································· 18

附属書C(参考)参考文献 ···································································································· 20

(1)

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

まえがき

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本照明委員会(JCIE)及び一

般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,

日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

(2)

日本工業規格

JIS

Z 8785:2019

[ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

測光−CIE物理測光システム

Photometry-The CIE system of physical photometry

序文

この規格は,2005年に第1版として発行されたISO 23539 (CIE S 010:2004) を基に,技術的内容及び構

成を変更することなく作成した日本工業規格である。

光源の視覚的な明るさは,光源から発せられる放射だけでなく,光源の分光成分及び観測者の視感度関

数の影響も受ける。人の視覚応答は,光の強さ及び人それぞれによって変わるため,正確な測光のために

は,代表的な標準観測者を定義する必要がある。CIE物理測光システムは,二つの標準観測者の分光視感

効率関数による,光放射の定量評価の手順を定める。分光視感効率関数の一つは,明所視を表すV(λ),も

う一つは暗所視のV'(λ) である。これらの関数は,SI基本単位の一つである光度の単位[カンデラ(cd)]

とともに使用することで,発せられた放射の分光成分に関係なく,全ての光源に対して測光量の値を正確

に求めることができるシステムを構成する。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

1

適用範囲

この規格は,CIE物理測光システムを構成する要素である測光量,単位及び標準分光視感効率について

規定する。この規格は,国際照明委員会(CIE)で制定され,国際度量衡委員会(CIPM)によって公式に

認められた物理測光システムの特徴を明確にしたものであり,光測定の根拠として認められたものである。

この規格は,次の内容を含む。

− 測光量及び単位の定義

− 明所視及び暗所視におけるCIE標準分光視感効率の定義

− 明所視及び暗所視におけるCIE標準分光視感効率に一致するCIE測光標準観測者の定義

− 明所視及び暗所視における最大視感効果度の定義

附属書A(参考)に,関連する国際照明用語の定義を示す。

注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004),Photometry−The CIE system of physical photometry(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ

とを示す。

2

測光量

測光量は,国際照明用語集(ILV:International Lighting Vocabulary, CIE, 1987a)によるほか,次による。

注記 国際照明用語集は,IEC 60050-845:1987,International Electrotechnical Vocabulary, Chapter 845

Lightingとしても出版されている。また,この国際規格を基に作成したJIS Z 8113:1998の用語

page

2

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

番号を示す。

2.1

光束(luminous flux)

光放射測定で用いられる基本物理量は,放射束又は放射パワーである。この量は,ワット(W)の単位

で測定され,放射源から放出されるか,伝搬媒質を通過するか,又は表面で受光される。

対応する測光量は,次による。

2.1.1

光束,Φv(luminous flux,Φv)(JIS Z 8113の01035参照)

CIE測光標準観測者に与える作用の大きさに従って放射を評価することによって,放射束(Φe)から導

かれる量。

放射束(Φe)から光束(Φv)を算出する手順は,4.3による。

2.2

その他の測光量(other quantities)

国際照明用語集に定義されている最も重要な放射量に対応した測光量を,次に示す。

2.2.1

光量,Qv[luminous energy (quantity of light),Qv](ILV 845-01-28,JIS Z 8113の01039参照)

光束(Φv)の,ある与えられた時間Δtにわたる時間積分。

∫∆

Q

v

=

Φ

v

d

t

t

2.2.2

光度(光源の与えられた方向における),Iv[luminous intensity (of a source in a given direction),Iv](ILV

845-01-31,JIS Z 8113の01042参照)

光源を出て,与えられた方向を含む立体角要素(dΩ)内を伝搬する光束(dΦv)を,その立体角要素で

除した量。

v=

I

d

Φ

v

d

Ω

2.2.3

輝度(与えられた方向における,実在又は仮想の面上の与えられた点における),Lv[luminance (in a given

direction, at a given point of a real or imaginary surface),Lv](ILV 845-01-35,JIS Z 8113の01047参照)

次の式によって定義される量。

L

v

=

v

d

A cos

θ

d

Ω

ここに,

dΦv: 与えられた点を通り,与えられた方向を含む立体角dΩ

内を伝搬する要素ビームによって伝達される光束。

dA: 与えられた点を含むそのビームの断面の面積。

θ: ビームの断面の法線とそのビームの方向との角。

2.2.4

照度(表面のある点における),Ev[illuminance (at a point of a surface),Ev](ILV 845-01-38,JIS Z 8113

01050参照)

その点を含む面要素に入射する光束(dΦv)を,その面要素の面積(dA)で除した量。

v=

E

d

Φ

v

d

A

page

3

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

2.2.5

光束発散度(表面のある点における),Mv[luminous exitance (at a point of a surface),Mv](ILV 845-1-48,

JIS Z 8113の01060参照)

その点を含む表面の要素から出ていく光束(dΦv)を,その要素の面積(dA)で除した量。

v=

M

3

測光単位

3.1

カンデラ

d

Φ

v

d

A

測光のSI基本単位は,カンデラ(cd)であり,光度の単位である。これは,1979年に国際度量衡局(CGPM)

で次のように定義された(CGPM,1979)。

カンデラは,周波数540×1012 Hzの単色放射を放出し,所定の方向におけるその放射強度が1/683 W/sr

である光源の,その方向における光度である。

このカンデラの定義は,明所視,暗所視及び薄明視で等価に適用できる。

3.2

その他の単位

その他の測光量のSI単位は,次表のとおり,カンデラと,SI単位の長さ(m),立体角(sr)及び時間

(s)とから導かれる。

量記号

SI単位

光束

光量

輝度

照度

光束発散度

4

測光標準(附属書Bを参照)

4.1

明所視及び暗所視のCIE標準分光視感効率関数

この規格は,測光に関する二つの分光視感効率関数を定義する。

V(λ) 関数は,明所視条件に適用されるもので,数カンデラ毎平方メートル(cd・m−2)以上の輝度レベル

の測光に用いられる。

V(λ) 関数は,表1に数値として定義されており,波長は標準空気中で測定された値である(Birch,1994)。

数値計算では,V(λ) 関数のピーク値は正確に555 nmとする。表1に示す波長の間に対応するV(λ) の値は,

線形補間で求める。

V'(λ) 関数は,暗所視条件に適用されるもので,100分の数カンデラ毎平方メートル(cd・m−2)未満の輝

度レベルの測光に用いられる。

V'(λ) 関数は,表2に数値として定義されており,この波長λも同様に標準空気中で測定された値である。

数値計算では,V'(λ) 関数のピーク値は正確に507 nmとする。表2に示す波長の間に対応するV'(λ) の値

は,線形補間で求める。

明所視ではV(λ) 関数,暗所視ではV'(λ) 関数に一致する相対分光応答度曲線をもち,光束の定義の前提

となる加法性を満たす理想的な観測者は,CIE測光標準観測者として知られている。

CIEでは,これまでのところ,明所視と暗所視との間にある薄明視領域での標準分光視感効率関数は定

page

4

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

義していない。

注記 CIEでは,薄明視領域での分光視感効率関数の概念をまとめた技術報告書CIE 191:2010,

Recommended System for Mesopic Photometry Based on Visual Performanceを発行した。

4.2

明所視及び暗所視に対する最大視感効果度

この規格で定義されるV(λ) 関数及びV'(λ) 関数は共に,1979年のカンデラの定義を補完するものであり,

物理測光に関する合理的なシステムを次のように構成するものである。

− 後述する生理学的特徴をもつ人間の視覚系に対し作用する広帯域放射の放射パワーと相関する。

− 明所視及び暗所視に対する視覚的経験と一致する。

− 放射量と測光量との間で正確に定義された数値関係を確立する。

次の定義及び考察に基づき,これらの数値関係は,式(1)〜式(4)で定義される。

視感効果度(波長λの単色放射に対する)K(λ) 及びK'(λ)[luminous efficacy (for monochromatic radiation of

wavelength λ),K(λ) and K'(λ)]

光束Φvを対応する放射束Φeで除した値。

K

()

λ

=

K

m

V

()

λ

=

Φ

v

[lm・W−1]

(明所視の場合) ·············· (1)

Φ

v

[lm・W−1]

Φ

e

(暗所視の場合) ·············· (2)

Φ

e

K

()

λ

=

K

m

V

()

λ

=

ここでK(λ) 及びK'(λ) の最大値をKm及びK'mと表記すると,Km=K (555 nm) 及びK'm=K' (507 nm) で

ある。周波数540×1012 Hzは,標準空気中の波長555.016 nmに対応し,K (555.016 nm)=K' (555.016 nm)

=683 lm・W−1というカンデラの定義に従う。それゆえ,式(1)及び式(2)によって,式(3)及び式(4)が求めら

れる。

K

m

=

K

m

=

[

683 lm W

1

]

=

683

.

002

[lm・W−1] ······································ (3)

V

(

555

.

016 nm

)

[

]

=

1 700

.

05 [lm・W−1] ····································· (4)

V

(

555

.

016 nm

)

実用的な全ての測光アプリケーションにおいて,Kmは683 lm・W−1,K'mは1 700 lm・W−1とすることが

できる。

4.3

測光量及び放射量に関する基本式

2.1に規定する光束の定義を適用するための手法は,上記の式(1)〜式(4)に基づく。

ここで光束が明所視に関係する場合,式(5)のとおり,対応する放射束の分光密度に関係する。

Φ

v

=

K

m

∫∞

Φ V

()λ

λ

d ······························································· (5)

,e

λ

0

また,暗所視での対応関係は,式(6)のとおりである。

∫∞

λ

d

Φ

v

=

K

m

Φ

,e

λ

V

()λ

······························································ (6)

0

これらの式において,Km及びK'mは,式(3)及び式(4)の定義によって,V(λ) 及びV'(λ) は,表1及び表2

5

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

の定義による。

式(5)及び式(6)は,CIE物理測光システムの基盤となるものである。

4.4

測定手順

実際には,式(5)及び式(6)で定められる分光的な重み付けは,CIE測光標準観測者の定義に合致するよう

に補正されたV(λ) 検出器又はV'(λ) 検出器を絶対校正することで実現される。このような場合,規定され

た積分は検出器自身によって行われる。光を計測するために設計された測光器の評価は,CIE 69:1987に

記載されている。

一方,分光放射測定(CIE,1984)を行い,得られた分光放射測定のデータから数値計算によって必要

な積分を得ることも可能である。この場合,積分は通常,可視スペクトルの範囲にわたる数値の和の形と

なる。V(λ) 及びV'(λ) の表の値は1 nm間隔で表記されており,この目的に対して,通常は十分である。し

かし,その間の値が必要な場合は,表の値から線形補間によって求める。

この規格では,明所視の標準観測者は,V(λ) の値を波長360 nm〜830 nmの範囲で(表1参照),暗所視

の標準観測者は,V'(λ) の値を波長380 nm〜780 nmの範囲で与えている(表2参照)。CIEは,この波長範

囲外の標準観測者に対する値を定義していない。これは,全ての実用的な測光の用途において,より長波

長又は短波長領域での視覚的な寄与は,無視できるためである。

最も確実な測光量の値は,積算が1 nm間隔で行われ,その区間を式(5)では360 nm〜830 nmに,式(6)

では380 nm〜780 nmに設定することで得られる。

4.3の式(5),式(6)及び測定手順(4.4)は,2.2で定義した全ての測光量に適用する。例えば,(明所視に

対する)輝度は,次の式で評価する。

L

v

=

K

m

∫∞

L V

()λ

λ

d

,e

λ

0

ここに,

Le,λ: 対応する放射輝度の分光密度

page

6

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表1−明所視での分光視感効率V(λ) の決定値

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

page

7

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表1−明所視での分光視感効率V(λ) の決定値(続き)

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

page

8

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表1−明所視での分光視感効率V(λ) の決定値(続き)

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

page

9

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表1−明所視での分光視感効率V(λ) の決定値(続き)

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

page

10

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表1−明所視での分光視感効率V(λ) の決定値(続き)

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

page

11

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表2−暗所視での分光視感効率V'(λ) の決定値

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

page

12

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表2−暗所視での分光視感効率V'(λ) の決定値(続き)

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

page

13

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表2−暗所視での分光視感効率V'(λ) の決定値(続き)

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

page

14

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

表2−暗所視での分光視感効率V'(λ) の決定値(続き)

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

波長

分光視感効率

15

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

附属書A

(参考)

関連用語

この規格では用いられていないが,関連する主な用語について,国際照明用語集(CIE,1987a)での定

義を次に示す。

注記 国際照明用語集は,IEC 60050-845:1987,International Electrotechnical Vocabulary, Chapter 845

Lightingとしても出版されている。また,この国際規格を基に作成したJIS Z 8113:1998の用語

番号を示す。

A.1

明るさ(brightness)

ある面から発している光の強弱の見え方の基になる視感覚の属性(ILV 845-02-28,JIS Z 8113の03012

参照)。

A.2

すい(錐)体(cones)

網膜の中にあって,明所視過程を引き起こす感光色素を含む光受容器(ILV 845-02-02,JIS Z 8113の02002

参照)(“明所視”参照)。

A.3

検出器(光放射の)[detector (of optical radiation)]

光放射の入射によって,何らかの(測定が可能な)物理的効果を生じる装置。

A.4

光(light)

光には,次の二つの意味がある。

A.4.1

光(知覚)[(perceived) light]

視覚系に特有な知覚及び感覚の普遍的で本質的な属性(ILV 845-02-17,JIS Z 8113の03001参照)。

A.4.2

可視放射(visible radiation)

A.15(可視放射)を参照。

A.5

薄明視(mesopic vision)

暗所視と明所視との中間(状態)の視覚(ILV 845-02-11,JIS Z 8113の02011参照)。

注記 薄明視覚では,すい体及びかん体の両方が活動している。

A.6

測光量(photometric quantity)

測光標準観測者によって評価された物理量(“放射量”及び“測光量”を参照。)。

16

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

A.7

測光(photometry)

与えられた分光視感効率関数[例えば,V(λ) 又はV'(λ)]によって評価された放射に関する量の測定(ILV

845-05-09,JIS Z 8113の05022参照)。

A.8

明所視(photopic vision)

少なくとも数カンデラ毎平方メートルの輝度レベルに順応したときの,正常眼による視覚(ILV

845-02-09,JIS Z 8113の02009参照)。

注記1 すい体は,明所視で主として活動している光受容器である。

注記2 この状態は,色として見える範囲である。

A.9

物理測光(physical photometry)

物理的(放射)検出器を使用して測定を行う測光(ILV 845-05-13,JIS Z 8113の05026参照)。

A.10

放射量及び測光量(radiometric and photometric quantities)

エネルギーとして評価される放射の純粋な物理量は,放射量と呼ばれる。放射量はそれぞれ,測光標準

観測者によって評価された測光量との対応関係がある。これらの2種類の量は,同一の主要な記号で表さ

れ,放射量では添字“e”(energy),測光量では添字“v”(visual)で区別される。一例として,Φeは放射

束(ワット)を表し,Φvは光束(ルーメン)を表している。

A.11

かん(杆)体(rods)

網膜の中にあって,暗所視過程を引き起こす感光色素を含む光受容器(ILV 845-02-03,JIS Z 8113の02003

参照)(“暗所視”参照)。

A.12

暗所視(scotopic vision)

100分の数カンデラ毎平方メートル未満の輝度レベルに順応したときの,正常眼による視覚(ILV

845-02-10,JIS Z 8113の02010参照)。

注記1 かん体は,暗所視で主として活動している光受容器である。

注記2 これらの状況下では,スペクトルは色がなくなって見え,最大分光視感効率は明所視の状況

よりも短波長側にシフトする。

A.13

分光密度(放射量,測光量又は光子量)[spectral concentration (of a radiant, luminous or photon quantity)]

波長λにおける波長幅の要素dλに含まれる放射量,測光量又は光子量dX(λ) を波長幅の要素で除した量

(ILV 845-01-17,JIS Z 8113の01018参照)。

X=

λ

dX

()

λ

d

λ

単位:[X]・m−1,例えば,W・m−1,lm・m−1など。

注記1 特定の一波長においてではなく,広い波長範囲にわたって関数Xλ(λ) を扱うときには,分光

分布という用語が使われることが多い。

注記2 量Xは周波数ν,波数σなどの関数として表すこともでき,相当する記号はX(ν),X(σ) など

17

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

及びXν,Xσなどである。

注記3 波長以外のスペクトルの座標を使用することによる曖昧さのリスクがある場合は,“周波数

に対する…の分光密度”などの表現を用いるのがよい。

A.14

分光視感効率(波長λの単色放射の)[spectral luminous efficiency (of monochromatic radiation of wavelength λ)]

特定の測光条件の下で,波長λの放射と波長λmの放射とが同じ強さの光感覚を生じる場合に,その波長

λの放射束に対する波長λmの放射束の比。ここで,λmはこの比の最大値が1に等しいように選ぶ(ILV

845-01-22,JIS Z 8113の01024参照)。

A.15

可視放射(visible radiation)

直接視覚の原因となり得る光放射(ILV 845-01-03,JIS Z 8113の01004参照)。

注記 可視放射の波長限界は網膜に達する放射パワーの量,及び観測者の応答度に依存するので明確

には定まらない。一般に,短波長の限界は360 nmと400 nmとの間に,長波長の限界は760 nm

と830 nmとの間にとられる。

A.16

視感測光(visual photometry)

光刺激相互の定量的な比較を人間の目によって行う測光(ILV 845-05-11,JIS Z 8113の05024参照)。

A.17

波長,λ(wavelength,λ)

周波数の伝搬方向における,同位相の隣接する2点間の距離(ILV 845-01-14,JIS Z 8113の01015参照)。

注記 媒質中での波長は,真空中での波長を屈折率で除したものに等しい。特に断りがなければ,波

長の値は一般に空気中での波長である。分光光学用の標準空気(t=15 ℃,ρ=101 325 Pa)の屈

折率は,可視放射の場合には,1.000 27と1.000 29との間にある。

18

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

附属書B

(参考)

CIE物理測光システムの背景

この測光システムのより詳細な説明は,BIPM刊行物“Principles Governing Photometry”(Wyszecky et al,

1983),及びCIE出版物“The Basis of Physical Photometry”(CIE,1983)に記載されている。

B.1

測光基本単位の進化

その起源からおよそ1950年まで,測光は主に目視による光源の比較を対象としてきた。そのため,光度

は伝統的に光源の基本的な測光量と考えられてきた。最も初期の標準はろうそくであった。そして,カン

デラの名称は国際単位系での測光の基本単位として維持されてきた(CGPM,1948)。カンデラは,国際単

位系の運用当初から基本単位の一つであった。カンデラは,それが1979年に電力のSI組立単位であるワ

ット(放射束に対応)に関連付けられた後でさえ,基本単位を維持していた。

測光で通常対象となる種類の広域帯放射ではなく,単色放射によるカンデラの定義は,国際度量衡総会

(CGPM)(Blevin,1979)における測光・放射測定諮問委員会(CCPR)の委員による再定義の時点にお

ける,測光及び放射測定の最高水準の技術を精密に分析した結果である。定数683 cd・sr・W−1は,明所視

における最大視感効果度Kmの1979年時点での最良推定値であり,それは,明所視カンデラをそれ以前の

レベルで維持するために必要なものであった。現在では,物理測光と光放射測定とを関連付けるために定

義された定数となっており,明所視と暗所視との両方に適用される。所定の周波数540×1012 Hzに対応す

る固定参照点において,視感効果度関数K(λ) とK'(λ) の値は,共に683 cd・sr・W−1(683 lm・W−1)である。

当時,新しい定義は既存の暗所視カンデラを約3 %増加させることが分かったが,この僅かな変化は許容

された。

波長ではなく定義された周波数を選択することで,カンデラは光の伝搬媒質に依存しない。

これらの特徴は,SI基本単位の再定義を必要とすることなく,測光の更なる進歩を可能とするものであ

る。

B.2

人間の眼の分光応答

人間の眼の分光応答は光の波長に依存する。可視スペクトルの異なる部分からの等しい量の放射束は異

なる視覚刺激を生成する。異なる観測者の分光視感効率の測定は,1918年のCoblenz及びEmersonの研究

(Coblenz and Emerson,1918)に始まり,早くから行われた。すぐに,眼の応答は観測者によって異なる

ことが認識された。これらの観測者による変動は視感測光において誤差の原因となるが,測定が光電計測

で行われ,国際的に認められた平均的な分光視感効率関数に基づけば,この誤差を避けることができ,世

界で共通に用いるための曖昧性がなく整合性のある測光スケールが与えられる。1924年までに,更に幾つ

かの個々の観測者に対する分光視感効率関数の測定が行われ,それらの三つは交照法,二つは隣接する波

長刺激を併置して直接比較する方法(逐次比較法)であった(Walsh,1958)。これをCIEは一つの標準的

応答関数として採択した。

V(λ) として定義された最初の標準分光視感効率関数は,最低でも数カンデラ毎平方メートルの輝度レベ

ルでの明所視で適用された。

さらなる研究によって,人間の眼の分光応答は物体の輝度の低下に伴って変化することが明らかになっ

19

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

た。なぜならば,暗所視で主に働く構成要素(網膜にあるかん体)は赤色の光での感度が低く,暗所視の

応答は明所(すい体)視で適用されるV(λ) 曲線に対して約50 nm短波長側にシフトするからである。1951

年にCIEは,数十分の1カンデラ平方メートルの輝度レベルの暗所視における補助標準分光視感効率関数

V'(λ) を採択した。

CIE標準分光視感効率関数V(λ) 及びV'(λ) は,国際度量衡委員会(CIPM)に公式に承認されている(CIPM,

1972:CIPM,1976)。

B.3

補足事項

CIEの物理測光システムは,広く受け入れられ保証されたシステムであり,近い将来に変更することが

なさそうなシステムであるが,このシステムは,かなり昔に得られた限られた数の測定だけに裏付けられ

た取決めに基づいていたものであることに注意する必要がある。異なる波長の光放射に対する人間の視覚

応答は複雑であり,まだ全てが理解されているわけではない。

例えば,次の例がある。

輝度又は光度が同じであっても,色が異なる光源は,一般的に同じ明るさには知覚されないことが知ら

れている。同じ輝度の光の明るさの違いは,それらの色に依存する。このことから,異なる色の光源の相

対的な明るさを予測するためには,異なる測光システムが必要になるであろう(CIE,1978:CIE,1988a:

CIE,1988b)。

現在,薄明視レベルで測光するための,公式に推奨されたCIEシステムは存在しない。明所視の測光器

は,これらの明るさレベルでもよく使われている。しかし,その結果,特に最近の放電灯については,視

覚的な知覚に合致しない測定が得られることになる。これまで,薄明視測光のための幾つかの異なるシス

テムが提案され,現在,それらのシステムが検証されている(CIE,1989)。

よくJuddの修正と呼ばれ,VM(λ) と記載される,V(λ) のもう一つの形が提案されている。この修正関数

は,補助的な使用を意図されたものであり,この規格で定義されたV(λ) の代替としての使用を意図された

ものではない。これらの二つの関数は,460 nm以下の波長域についてだけ異なっている。その波長域にお

いて,V(λ) は,正常な色覚をもつ観察者に対しては,感度が低すぎる(CIE,1990)。

20

Z 8785:2019 [ISO 23539:2005 (CIE S 010:2004)]

附属書C

(参考)

参考文献

[1] BIRCH J., 1994. Correction to the updated Edlèn equation for the refractive index of air. Metrologia, 31, 315,

1994.

[2] BLEVIN, W. R., 1979. The candela and the watt. in CIE 50-1979. Proceedings of the CIE Session in Kyoto, 11,

1979.

[3] CGPM, 1948. Comptes rendus des séances de la 9e Conférence Générale des Poids et Mesures (CGPM), 54.

Bureau International de Poids et Mesures, Paris, 1948.

[4] CGPM, 1979. Comptes Rendus des séances de la 16e Conférence Générale des Poids et Mesures (CGPM), 100.

Bureau International de Poids et Mesures, Paris, 1979.

[5] CIE, 1978. CIE 41-1978. Light as a True Visual Quantity: Principles of Measurement. 1978.

[6] CIE, 1983. CIE 18.2-1983. The Basis of Physical Photometry. 1983.

[7] CIE, 1984. CIE 63-1984. The Spectroradiometric Measurement of Light Sources. 1984.

[8] CIE, 1987a. CIE 17.4-1987. International Lighting Vocabulary. 1987.

[9] CIE, 1987b. CIE 69-1987. Methods of Characterizing Illuminance Meters and Luminance Meters. 1987.

[10] CIE, 1988a. CIE 75-1988. Spectral Luminous Efficiency Functions Based upon Brightness Matching for

Monochromatic Point Sources, 2° and 10° Fields. 1988.

[11] CIE, 1988b. CIE 78-1988. Brightness-Luminance Relations−Classified Bibliography. 1988.

[12] CIE, 1989. CIE 81-1989. Mesopic Photometry: History, Special Problems, and Practical Solutions. 1989.

[13] CIE, 1990. CIE 86-1990. CIE 1988 2° Spectral Luminous Efficiency Function for Photopic Vision. 1990.

[14] CIPM, 1972. Procès-Verbaux des séances du Comité International des Poids et Mesures (CIPM), 40, 145.

Bureau International de Poids et Mesures, Paris, 1972.

[15] CIPM, 1976. Procès-Verbaux des séances du Comité International des Poids et Mesures (CIPM), 44, 4. Bureau

International de Poids et Mesures, Paris, 1976.

[16] COBLENTZ, W. and EMERSON, W. B., 1918. Bull. Bur. Stds. (USA), 14, 167, 1918.

[17] WALSH, J. W. T., 1958. Photometry. 73. Constable & Co., London, 1958.

[18] WYSZECKI, G., BLEVIN, W. R., KESSLER, K. G. and MIELENZ, K. D., 1983. Principles Governing

Photometry. Bureau International de Poids et Mesures Monograph, Sèvres, 1983.