理学部教養科

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着任のご挨拶

理学部教養科 講師 志賀優

このたび,2026年4月1日付で理学部教養科の講師を拝命し,教育学教室に着任いたしました,志賀優(しがまさる)と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

昨年度までは,本学の教職課程の授業において,非常勤講師としてお世話になっておりました。さらに遡ると,神奈川県の公立高校の教諭として勤務していた時期があります。その間には,教科指導のほかに生徒指導を担当し,校則違反には厳しく対応していたので,一部の生徒からは「秩序」と呼ばれていました。

ところで「秩序」といえば,2026年は,生物の複雑な行動や進化のプロセスを「遺伝子の視点」から秩序立てて説明した名著である『The Selfish Gene』(Dawkins, 1976:邦題『利己的な遺伝子』)が出版されてから,50周年の節目にあたります。この本の中で提示された「生物は遺伝子を運ぶための乗り物(ビークル)にすぎない」というドラスティックな見方は,科学者のみならず一般の人々の生命観にも多大な影響を及ぼしてきました。

しかし,実際の生命の営みは,そうした遺伝子中心主義的な見方によって説明し尽くされるほど単純なものではありません。環境との相互作用や発生のプロセス,さらには個体間の複雑な関係性など,生命は常に重層的な文脈の中で生きています。このように,一見するとカオス(無秩序)のようにも思える生命の多面性やそのダイナミズムを,私たちはどのように理解し,そして次の世代へと伝えていけばよいのでしょうか。

私の専門である理科教育学は,まさにその「科学の営みや所産を如何に伝えるか」を追究する学問です。生物学は,登場する用語や概念が一際多い分野ですが,それらをただの無味乾燥な「暗記項目の羅列」にしてしまっては,学びの秩序は生まれません。バラバラに見える知識を1つの魅力的なストーリーとして筋立て,有機的につなぎ合わせて効率的に伝えることや,それによって学習者の中に確かな科学的思考の枠組みを構築することが,私の研究テーマです。

東邦大学の素晴らしい環境において,学生の皆様が自らの内なる可能性を広げ,複雑な社会を生き抜くための柔軟な視点を養えるように,全力を尽くす所存です。そのためにも,まずは私自身が,新任教員として,学内のルールや秩序に早く適応したいと思います。もしも,私が学内を徘徊していたら,それは利己的な不真面目さゆえにサボっているわけではなく,方向定位の能力を欠いた哀れな乗り物(ビークル)と化しているからかもしれません。その際には,利他精神にあふれる皆様の温かいナビゲートを心よりお待ちしております。

あらためまして,今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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