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觚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

觚(こ、拼音: gū)は、

  1. 中国の青銅器の一種[1]。この記事で扱う。
  2. 木簡の一種[1]。「操觚」の觚。

觚
明代万暦年間の花觚

觚は、飲酒器の一種[2]。ラッパ状に開いた口、細長い胴、高い圏足(円形の高台)からなる[3]。高さは30センチ前後[1]、胴と圏足に饕餮文があることが多い[4][5]。

酒を使った儀礼・祭祀で使用された[1]。さらさらとした液体状の酒を飲むには不向きであり、どろっとした甘酒(醴、れい)を入れ、スプーン(柶、し)ですくって飲んだと推測される[6]。

殷前期(二里岡文化期)に出現し、殷後期(殷墟期)に盛行したが[3][5]、西周前期に激減し、西周中期以降の出土は稀である[3]。爵とセットで出土することが多い[4]。觚と似た陶器は新石器時代の興隆窪文化などにも見える[7]。

金文に「觚」と書かれた自銘の器は無く、宋代の呂大臨『考古図』以来、この器形が古典中の「觚」と同定されているが、この同定が正しいかは確証がない[3][4]。「觚」は『大戴礼記』[7]『説文解字』『考工記』などに言及されている[4]。

『論語』雍也篇には「子曰、觚不觚。觚哉。觚哉」という短い章があり、觚の形が時代により変化し名実が乱れたことを孔子が嘆いた章とされる[8]。論語の注釈では、朱熹は酒器と木簡どちらとも解釈できるとするのに対し、荻生徂徠は酒器と解釈し木簡を指す用法は秦漢以降とする[9]。王世貞の筆記(中国語版)に『觚不觚録』がある[10]。

宋代以降の倣古では「花觚」(觚を模した花瓶)が作られた[11]。

脚注

[編集]
  1. 1 2 3 4 原田淑人「東と西 (九) 中国古代木簡書の一様式觚(こ)について」『聖心女子大学論叢』27、聖心女子大学、1966年。NAID 110000246752。7;14頁。
  2. ↑ 西村俊範 著「商周青銅器器種解説」、馬承源 編『上海博物館中国・美の名宝 1』日本放送出版協会、1991年。ISBN 9784140087817。160頁。
  3. 1 2 3 4 角道亮介 著「觚」、尾崎雄二郎; 竺沙雅章; 戸川芳郎 編『中国文化史大事典』大修館書店、2013年。ISBN 9784469012842。325-326頁。
  4. 1 2 3 4 樋口隆康『中国の銅器』中央公論美術出版、1967年。71-72頁。
  5. 1 2 難波純子. “觚|奈良国立博物館”. www.narahaku.go.jp. 2026年8月10日閲覧。
  6. ↑ 山本堯『太古の奇想と超絶技巧 中国青銅器入門』新潮社、2023年。ISBN 9784106023033。49頁。
  7. 1 2 孫機(中国語版) 著、柿沼陽平 訳『モノからみた中国古代文化 衣食住行から科学芸術まで』東方書店、2024年。ISBN 9784497224132。48-53頁。
  8. ↑ 加地伸行『論語 全訳注 増補版』講談社〈講談社学術文庫〉、2009年。ISBN 9784062919623。139頁。
  9. ↑ 土田健次郎 訳注『論語集注 2』平凡社〈東洋文庫〉、2022年。ISBN 9784256989746。189頁。
  10. ↑ Theobald, Ulrich. “Gubugu lu 觚不觚錄 (www.chinaknowledge.de)” (英語). www.chinaknowledge.de. 2026年8月10日閲覧。
  11. ↑ “花觚”. 故宫博物院. 2026年8月10日閲覧。