AIエージェントの可能性が大きな注目を集める一方、そのツールが投資対効果(ROI)をもたらしているという証拠はまだ乏しい。IT調査会社のGartnerは、2027年までに企業の40%が自律型AIエージェントの運用を格下げするか、あるいは停止すると予測している。これは、AIエージェントの本番環境への導入後にトラブルが発生し、そこで初めてガバナンスの欠如という課題が浮き彫りになるためだ。
6月に米国サンフランシスコで開催された「Snowflake Summit」において、3人のデジタルリーダーが自社におけるAIエージェントの導入事例を明かした。彼らはAIの活用を目指す他の専門家に向けて、(1)フレームワークの活用、(2)専門家の知見の導入、(3)データの収益化-――という教訓を提示している。
1. フレームワークの活用
ウェアラブル技術の専門企業であるWhoopでアナリティクス担当バイスプレジデントを務めるMatt Luizzi氏は、健康やウェルネスに関する知見を提供するため、24時間体制で生体データを収集している。同社の社内分析サービスはSnowflakeのプラットフォームによって支えられており、そのプロセスにおいてAIエージェント、とりわけ開発者やデータエンジニア向けのコーディングエージェントである「Snowflake CoCo」が極めて重要な役割を担うようになっている。
Luizzi氏によると、同社は数カ月前からCoCoの利用を開始した。当初はアナリティクスチームだけで運用を始め、そのプロセスをいかに拡大していくかを模索していた。同氏はアナリティクスチームを「クエリーの応答が正しいかどうかを即座に判断できる人々」と語る。
現在は、より体系化した評価フレームワークを構築し、エージェントを大規模に展開できる段階に達している。同社のソフトウェアエンジニアはA/Bテストを実施する際、CoCoを利用して結果を分析し、次の機能を提案してテストを繰り返している。このアプローチによって実験のフレームワークを自動化し、ビジネス価値だけでなく顧客価値の創出も急速に加速しているという。
Whoopのデータは、Snowflakeプラットフォームに一元化されていたため、Luizzi氏は、AIエージェントの探索に必要な基礎的な基盤はすでに整っていたと説明する。同社はSnowflakeのAIサービス「Cortex AI」を利用してエージェントのテストを開始し、多くの教訓を得た。Luizzi氏は、コンテキストが全てであり、セマンティック層を重視してコンテキストが構造化された場所に確実に存在するようにすることが極めて重要であると学んだ。
同氏が挙げる最大の教訓は、AIエージェントの探索の成功では、フレームワークが不可欠だという点だ。同氏は、過去10年間にわたりデータアーキテクチャーで行ってきた手法と同様に、全てを再現可能な方法で実施することを目指している。これらのAIワークロードを拡張可能にする再現性の高いフレームワークを構築することが、今後の同社の取り組みだとしている。

