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Trick or Civic ( トリック オア シビック 創作   フィクション)


この作品は花邑灯火さんの Trick  or ??  に参加させていただいています


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彼の名前は高橋

しがないサラリーマンだ

特に取り柄もない彼だが、少し前に人生のビックイベントをやり終えた


マイホームを建てたのだ

… 
……
………とは、いっても妻の実家の敷地の余っていた場所に家を建てさせてもらったので、半分は他力のようなものだった

それでも彼はマイホームを持てたことに喜びを感じていた

元来ひとづきあいが得意ではない彼だったが、さすがに義両親にはなるべく愛想をふりまいていた

義両親も来年には運転免許を返納しようかという話をしていたくらいなので、娘夫婦が敷地内に家を建てるのを手放しで喜んでくれていた

そんなある日に、家のインターホンが鳴った

普段なら、妻がでてくれるのだが、今日は義両親と妻と子供で近所のショッピングモールにでかけていたので、彼がインターホンにでなければならなかった

面倒くさいと思いながら、インターホンのカメラをのぞくとカボチャの被りモノを被った人間が写っていた

そうか、もうすぐハロウィンか

義両親がハロウィン用に買ってくれたカボチャの被りモノを子供がかぶっていたずらをしているのだ

彼は玄関を開けて子供の

トリック オア トリート という言葉を待とうとしたときに違和感を感じた

…何かがおかしい

…子供にしてはずいぶんと大きい…と、いうか、絶対大人だ

よく見ると首から上はカボチャの被りモノだが、下はかっちりとしたフォーマルなスーツを着ていた

ちゃんとネクタイもしている

子供だと思っていた彼は急に怖くなり

[どちら様ですか?]

と聞いた

カボチャスーツの男は、消え入りそうな声で

[トリック オア シビック…]

と言った

[何を言っているんですか? 警察を呼びますよ‼]

と、彼がいうと 男はあわてて被りモノを脱いで

[すいません、私は先日、ホンダの販売店でお会いした山田です]

と言って名刺を出した

ああ、あのときの人か

先週の日曜日に妻と2人で車の販売店にいっていろいろ見て回ったときに彼等夫婦の応対役をやった人だった

彼等は車を買ったわけではなかったが子供がいる家には販売促進のためにこういった出張サービスを行っていて、彼が知らない間に妻が申し込んだと理解した


彼が

[申し訳ありません、妻と子供は今、でかけてしまっています 妻が出張サービスを申し込んだんですよね?]

と言うと、山田は

[いえ、奥さまは知りません 私は自分の意思で来ています]

と、言った

自分の意思で来ています⁈ 何を言っているのか理解できなかった彼に、山田はたたみかけるように

[私はご主人様に会いにきました 先日、ご主人様は弊社のシビックを大変、気にいっていた様子だったのにご購入いただけなかった…ぜひもう一度考えてもらいたくてまいりました]


確かに、彼はシビックを気にいっていた  
昔からスポーツカーに憧れはあった

しかし…シビックは5人乗りの車だ

彼らの家は 彼、妻、子供2人 の4人家族だが、来年免許を返納しようとしている義両親を入れたら6人乗れる車でないとダメなのだ

敷地に家を建てさせてもらっておいて、5人乗りの車を買ったら義両親に何をいわれるかわかったもんじゃない

その旨を伝えたはずなのに…と、いうか、アポイントも取らずにカボチャの被りモノをかぶってダイレクト訪問をしてくる段階でかなりヤバいヤツだ

そんなことを思っていた彼に山田は

[おねがいします、本当におねがいします、今週中にシビックを一台売らないと、私クビになるんです]

そんな身勝手な言い分を聞いているうちにハラが立ってきた彼は

[そんなのは私の知ったことではない もういいから帰れ‼]

と強めの口調でいった すると山田はカボチャの被りモノを再び被り、ポケットからナイフを取り出した

そして彼に 大声で

トリック オア シビック ‼


と叫んだ

思わず

ノー

と英語で返事をした彼の首に山田はナイフを突き付けて

[表に出ろ]

と言った

表には先日見せてもらったシビックがあった 

山田は首にナイフを突きつけながら、彼をシビックのすぐ前までつれていき

[どうなんだ、このフォルムは‼好きな形じゃないのか⁈]

と言った 彼は

[最高です]

と言った 山田は

[では、お買い上げいただけますか?]

といったが、彼は

[6人家族なんで]

と言った すると山田は

[シビッ――――――――――ク]


と絶叫した   

しばらく叫んだあと、山田は彼に


[いいから試乗しろ‼]


と言ってシビックに無理やり乗せた

首にナイフを突き付けられたまましばらく試乗していると山田が

[どうなんだ、乗り心地は⁈]


と聞いてきたので、彼は

[最高です]

と答えた すると山田は

[では、お買い上げいただけますか?]

と、首にナイフを突きつけながら言ってきたので 

彼が

[いや、でも、6人家族なんで]

というと、山田は

[シビッーーーーーーーーーーーーーーク]


と、さらに絶叫した

車内での近距離の絶叫にビックリした彼はハンドル操作を誤って、山田といっしょに死んだ

翌年、家族が減った高橋家は5人乗りのシビックを買った 

家族が減って悲しかったが乗り心地は最高だった



自分のイベントですが

#岩男を笑わせろ杯  にも参加してます



 






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