『傘を開いたら』
コンビニの軒下で彼女は空を見上げている。
下校途中、僕らは駅へ走るのを諦めた。突然の土砂降り。額に張りついた前髪を指先で触りながら、彼女は電車の時間を気にしている。
渡るはずだった信号が、薄い灰色の雨の向こうでまた青になった。
小降りになって彼女が小さな傘を開いたら、この時間は終わってしまう。
「早く雨止まないかなぁ」と言う彼女に、「そうだね」と答えながら、僕はずっとこの雨が続けばいいのにと思っていた。
(了)
※下記、喜木凛様の企画に参加させて頂きました。
#みんなのことば帖2
#傘を開いたら
