テストに出ない世界史 | ヴィクトリア朝のクリスマス
イギリスにおいて、それまで宗教的な意味合いが強かったクリスマスが「国民的お祭り」になったのが、ヴィクトリア女王がイギリスを治めていた時代、いわゆる"ヴィクトリア朝時代" でした。
今は当たり前になっているあんな物も、実はこの時代が起源だったりします。
早速見ていきましょう。
1. クリスマスツリー
英国王室に初めてクリスマスツリーが飾られたのは、18世紀末のウィンザー城でした。
当時の国王ジョージ3世の妻シャーロットが、故郷のドイツから持ち込んだそうです。
ただ、本格的にクリスマスツリーの文化が広がったのはのちの1841年のこと。
ヴィクトリア女王の夫・アルバート(彼もまたドイツ出身)が、長男エドワードの誕生を祝ってドイツのクリスマスツリーを飾ったことがきっかけでした。
そしてここからがさすがロイヤルなのですが、女王夫妻は後に子供の数だけツリーを用意したそうです。
ちなみに、子供は9人います。

1人1本は一般家庭にはマネ出来ませんが、クリスマスツリーを囲む女王一家の姿が新聞に度々掲載され、上流階級から労働者階級へと徐々にツリーの習慣が浸透しました。
ヴィクトリア女王のツリーはこちらから。
こんな風にテーブルの上に載っていたのですね。
2. クリスマスカード

当時のイギリスでは、お金持ちの家の子は寄宿学校に通っていました。
そこの生徒が美しい紙にクリスマスや新年の挨拶を書き、家に帰って両親に手渡したのがクリスマスカードの始まりだそうです。
印刷技術の発展もあり、この習慣が次第に中産階級にも広まったのでした。

贈られたクリスマスカードは、客人の目に触れる所に飾るのが流行しました。
そう言えば、イギリスのコメディドラマ・"Mr. Bean” で、友達がクマのぬいぐるみしかいないミスター・ビーンが自分に宛てて何枚もクリスマスカードを書いて投函、その自筆カードを満足気に部屋に飾りまくる…というシーンがあった気がします。
↓調べたら動画がありました!↓
該当のシーンは11:21ごろです
3. クリスマスの献立
上流、中流階級の家では、メインは七面鳥。
労働者階級の家ではガチョウが人気だったそうです。
七面鳥には、クランベリーソースやジャムをつけて頂いたとの事。

ミスター・ビーンも(またかい)クリスマス料理を作ろうとしたら七面鳥の中に腕時計が入り込んでしまい、慌てて探そうとして七面鳥をかぶってしまっていましたね。

◇
そしてイギリスの伝統的なクリスマスのデザートと言えば、クリスマスプディングがあります。
起源は中世にまで遡りますが、それを一般家庭にまで広げたのはヴィクトリア女王でした。

彼女は当時の大英帝国が植民地にしていた各国で採れる材料を使って、王室のクリスマスデザートに採用したのです。
このレシピが女性誌などで広まり、無料で配布されたりなんかもして、庶民にも普及したという訳。
《材料の一例》
オーストリア産スグリ
南アフリカ産ストーンレーズン
カナダのリンゴ
ジャマイカのラム酒
イングリッシュビール
等
-Wikipedia 「Christmas Pudding」 参考
ヴィクトリア女王のクリスマスディナー記事もありますので、併せてどうぞ
4. 日本への影響[2021. 12.19 追記]
日本史の話題を中心に、いつも楽しい記事を書いておられる千世さんからのコメントを受けて、「そういえば、日本のクリスマスはいつから今のスタイルになったのかな?」と思い調べてみると…
当記事に書いた、ヴィクトリア朝のイギリスから影響された部分があった事が分かりました!
せっかくなので、調べた事をこちらの記事に追記させて頂きます。
◇
時は1880年。日本からはるばる船に乗ってイギリスに降り立った若者がいました。
彼の名は磯野 計(いその はかる)。
後に明治屋を創業した人物です。

(明治屋ロゴ)
彼は1884年までイギリスで過ごし、帰国後明治屋を創業。
一号店は、1885年 横浜港近くの横浜・ 万代町に置かれました。
そして開店当初から、磯野がロンドンで見たという『クリスマス飾り』を行っていたそうです。
(下の図でご覧頂ける通り、彼が留学していたイギリスは、まさにヴィクトリア朝 真っ只中。明らかに影響を受けたと言えそうです)

◇
当初は横浜港付近を往来する外国人のためのデコレーションだったようですが、1900年に銀座店を出店した際 同様の飾りを行ったところ、周囲の店が次々と影響され 現在の『クリスマスイルミネーション』『クリスマス商戦』の走りとなったそうです。
また古い明治屋の広告には、クリスマスツリーのイラストも描かれています。
↓実際の広告やクリスマス飾りの様子は↓
こちらでご覧になれます
16世紀のキリスト教伝来と共にクリスマス文化も伝わっていたようなのですが、それが今のように広く国民がお祝いするようになったのがこの明治時代、という所のようです。
ヴィクトリア朝で花開いたクリスマスの習慣が、西洋の文化を積極的に取り入れようとしていた当時の日本にマッチして今日のクリスマスがあるのですね✨
ここまでお読み頂き、ありがとうございました!
参考
図説 ヴィクトリア朝の暮らし: ビートン夫人に学ぶ英国流ライフスタイル (ふくろうの本/世界の文化)
HuffPost
Royal Collection Trust
Wikipedia
GIF: Tenor.com
・ROYAL COLLECTION TRUST
《 THE CHRISTMAS TREE 》
