#64 オーストラリア寮生活㉑|寮生にとってのハウスシステム:ハリーポッターほど派手じゃない
長男が通うオーストラリアの私立校には、「ハウスシステム」と呼ばれる仕組みがあります。ハリー・ポッターの寮対抗戦を思い浮かべてもらうと近いかもしれません。ただ、実際の学校はもう少し現実的な役割を果たしている印象です。
この記事では長男の学校の例をもとに、オーストラリアの私立校のハウスシステムがどんなものか、実際にハウスで何をしているのかをご紹介します。
ハウスシステムとは?

ハウスシステムとは、学年をまたいで生徒をいくつかの小さな“家(ハウス)”に分けて所属させる仕組みのことで、
つまり「縦割りで生徒を分けるグループ」のようなものです。
各ハウスには担当の先生(Head of Houseのほか、複数の先生)がつき、
朝は学年ごとの朝礼の代わりに、ハウスごとに集まって連絡事項などを聞くようになっています。
ハウスごとにエンブレムやテーマカラーがあり(それらにも意味がきちんとあります)、ハウス用のTシャツやネクタイなんていうものも存在します。
長男の学校では、ハウスは全部で10個。
それぞれ昔の校長先生や聖職者など、学校や母体組織にゆかりのある人の名がそのままハウス名になっています。
このハウスシステムは、学校の中で生徒のアイデンティティや帰属意識を高める、重要な位置づけになっています。Year7で最初に行われたキャンプも、最初からハウスごとにグループ分けがなされ、ハウスの重要性と意義がしっかり説明されていました。
ハウスはどうやって決まる?
どのハウスに所属するかは、入学時に学校側が決めます。ただし、いくつか絆を重視したルールがあります。
親がその学校の卒業生の場合
→ 原則として、親と同じハウスに入る兄弟がいる場合
→ 兄弟は同じハウスに所属する
このあたりは、親子・きょうだいのつながりを大事にする仕組みです。
寮とハウスの関係
イギリスの全寮制校などでは、「寮=ハウス」という形で、住んでいる寮ごとにハウスが分かれている学校もあります。ハリーポッターでは、寮対抗でいろんなイベントがありましたよね。
一方で、長男の学校では寮はひとつだけ。
そのため、ボーディング生(寮生)は全員同じハウスに所属します。寮にもハウスと同じ名称が付けられていて、子どもたちはその名前をよく口にしますし、とても愛着がわいているようです。
ハウスに分けられて何をするのか

では、ハウスごとに何をするのか。
ざっくりいうと、長男の学校では主な行事は次の2つです。
教会でのお祈り(礼拝)
スポーツや文化イベントの競争(ハウス対抗イベント)
1. 礼拝(Service)
それぞれのハウスには、年間で数回、日曜日の礼拝(Service)が割り当てられています。
その日は「◯◯ハウスのServiceの日」という形で決められていて、そのハウスの生徒と家族は、指定された日に教会に来るよう学校から案内されます。
寮生は、そもそも毎週日曜日がServiceの日なので、キャンパス内の教会に毎週通います。
2. ハウス対抗スポーツ大会・文化イベント
そして大盛り上がりするのが、ハウス対抗のスポーツ大会です。
クロスカントリー
陸上大会
スイミングカーニバル
など、各学期に1つはハウス対抗のイベントがあり、ハウスの威信をかけて戦います。上級生になると、自分の体にハウスの名称を大きくペイントして応援する生徒もいて、まさに「ハウスプライド全開」という雰囲気です。
まだYear7・8くらいだと、そこまでのテンションにはなかなか振り切れず、恥じらいが先に立っていますが…
こうしたイベントでの成績に応じてハウスポイントが加算され、1年間の合計ポイントがいちばん高かったハウスが、その年の総合優勝となります。
長男の通う寮生ハウスは、四六時中一緒に生活していることもあり、結束がとても強く、優勝回数もかなり多いんですよ。
ちなみに、良いことをしたらハウスポイントをもらって、そのポイントもハウスに加算されるという学校もあるようです。
長男の学校では、そういった表彰は個人に行われ、ハウス対抗にはなっていません。
ハウスキャプテンというリーダー

各ハウスには、Year12(最終学年)の生徒から選ばれるハウスキャプテンと副キャプテンがいます。これは立候補者の中から、ハウス全メンバーの投票で決まります。
特に寮生の場合は、上級生とも距離が近いので、
「あの人はよく下級生の面倒を見てくれる」
「あの人なら頼りになる」
といった日々の様子が、そのまま投票結果に反映されます。
良い面も悪い面もお互いによく見えているので、どのハウスの選挙よりもある意味いちばん正当な投票かもしれません。
ハウスキャプテンの特典とプレッシャー
Year12になると、寮では全員に個室が与えられますが、ハウスキャプテンの部屋はさらに特別で、
来客用のソファセット
ちょっと良い冷蔵庫
などが備え付けられていて、かなり豪華だそうです。
長男も見に行ったらしく、いま自分が4人部屋や6人部屋で暮らしていることを思うと、その待遇の違いにびっくりしつつ、「ハウスキャプテンを目指す!」と張り切っていました。
一方で、「代表」であるがゆえのプレッシャーもあります。
ハウスキャプテンが問題を起こした場合には、あっさり降格になるそうで、その場合は副キャプテンが新しいハウスキャプテンとなり、部屋も入れ替わります。実際にそういったことがあったと聞き、親御さんの気持ちを想像すると、他人事ながら胸が痛みます。
下級生リーダーもいる
またYear9(中3)では、下級生のハウスキャプテン(リーダー)も、同じく投票で決まります。ここでも寮生は「普段からどういう子か」をみんな知っているので、投票結果はけっこうシビアなんだそうです。
まとめ:ハウスは「もうひとつの家」
オーストラリアの私立校におけるハウス制度は、
寮がひとつしかない長男の学校の場合、映画のような“寮ごとに完全に分かれた世界”というほどのハリーポッター感はありません。
それでも、
ハウスカラーのTシャツやネクタイ
ハウス対抗のスポーツ大会
ハウスごとの礼拝やセレモニー
ハウスキャプテンという憧れの存在
といった仕掛けを通して、「自分はこのハウスの一員だ」という誇りやアイデンティティが少しずつ育つように設計されています。
長男のイベント時のテンションの高さを見ると、彼にとっても「学年」とは別軸のもうひとつの家として、ハウスは寮生活と学校生活をつなぐ大事な居場所になっているようです。
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