【連載小説⑥‐1】 春に成る/ドリップ珈琲(緑の珈琲)
< 前回までのあらすじ >
親友の柚奈やマスターと話し、自分の気持ちではなく、周りを気にして結婚を考えていたと分かった遥は、自分の気持ちを大切に一歩進む。
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※最後に読んで下さっている方、♡くださる方へのメッセージがあります。
第二章 テイクアウト
ドリップ珈琲(緑の珈琲)(1)
暗かった空が明るくなってきて、傘を差す人がまばらな中、私には傘を差す力がなかった。歩きながら、ぼんやり『ベル』へ行きたい、マスターに会いたい、マスターの珈琲が飲みたいと考えていた。最近は、仕事が繁忙期で『ベル』へ行けずパワー不足だった。
「ママ! 見て! 虹!」
突然耳に届いた高い声に引っ張られるように、声の方へ顔を向ける。小さなビルを挟んで、大きなビルからビルへと繋がるように架かる大きな虹を見ると、なんだかもう少ししたら『ベル』へ行けるような気がして、気持ちが和らいだ。
「本当、綺麗だね! きっと、もうすぐ雨が止むね」
買い物袋を持った、同じ年頃くらいのママが笑顔で答える。
「もうすぐ雨が止むなら、ここに行こうよ」
保育園の黄色い鞄の紐を握りながら、男の子が近くのチェーン店を指差した。
「えー、さっきお家帰ってから、ジュース飲もうって買ったでしょ。今日は帰るよ」
「えー! もう疲れたぁ」
そんなやり取りを見て少し微笑みながら、家でマスターの珈琲が飲めたらなと、もう一度、空を見上げてから歩き出す。フッと今朝飲んだドリップ珈琲を思い出して、目が覚めたような感覚になった。
『ベル』のドリップ珈琲って作れないかな?
小さなカフェでも、お土産用に販売してるお店もあるよね。お見合いの一件以降、朝のインスタント珈琲を飲む時、父は難しい顔をして、母はぼんやりと寝起きの顔のまま飲んでいる。私の幸せが両親の幸せとマスターは言ってくれたけれど、幸せだということを、今はまだはっきりと伝えられない。
だけど『ベル』の珈琲を飲んだら、少し伝わるような気がした。少なくても、あんな顔で珈琲を飲まなくても良くなる。『ベル』のドリップ珈琲があったら、家族や友達にも、マスターの珈琲を飲んでもらえるし、知ってもらえる。今度、マスターに話してみよう。そう思ったら居ても立っても居られずに駆け出していた。
***
片付けを一段落させて、ノートに向き合う。
今日の出来事を頭の中で整理しながら、ふと、最近来てない常連客のことを思う。
体調を崩していないだろうか、何かあったのではないといいが……なんだか、自分の娘のように感じていることに口元が緩んだ。
あの子と話すように、気軽に話せたら……。
そんな夢物語さえ上手く描けずに、ノートに視線を戻す。
いつものように『連絡』だけを書き始める。
※「ドリップ珈琲(緑の珈琲)」が途中である為、絵は次回掲載します。
※「ドリップ珈琲(緑の珈琲)」は絵が2枚あります。
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※見出し画像は、nanairo様の画像です。素敵な画像を使わせていただき、ありがとうございました。
☆読んで下さっている方、♡くださる方へ
いつもありがとうございます!
以前の『【絵】感謝』の記事でnoteから、うれしいお知らせが届きました。ありがとうございます!感謝の気持ちをどう伝えようか、色々と検討していますが、少しバタバタしている為、記事にできるのは年明けくらいを予定しています。また、noteだけでなくXで♡を下さっている方にも一緒にお伝えできたらと思っています。
小説も少しずつ進んできましたが、3人のメインキャラがいるのに、まだ主人公しか出てきていません。年内にはギリギリ出てくる予定ですので、お付き合いいただけたら幸いです。
読んで下さっている方々には、本当に感謝しかありません。とてもマイペースな私ですが、これからも見守っていただけたら幸いです。
