IoT機器によるサイバー攻撃を未然に防ぐ!NOTICEプロジェクトとは(総務省&NICT)
今回は、総務省やNICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)などが実施している、日本のインターネット空間の安全性を高める取り組みである「NOTICE」プロジェクトについて調べてみた。
🟢概要
NOTICE(ノーティス):
(National Operation Towards IoT Clean Environment)
「IoT機器のセキュリティ対策を向上させることにより、サイバー攻撃の発生や被害を未然に防ぐ」ことを目的として、日本のインターネット空間において、サイバー攻撃に悪用される可能性のあるIoT機器を特定し、その利用者へ注意を促すためのプロジェクト
プロジェクト運営組織
総務省(サイバーセキュリティ統括官室)
→ NOTICEプロジェクトを推進役国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
ナショナルサイバーオブザベーションセンター(NCO)
→ NOTICEプロジェクトの観測活動を行う為にNICT内に設置されたICT-ISAC(アイシーティ・アイザック)
→ NCOからの情報を、ISP(インターネットサービのスプロバイダ)やIoTメーカー等に情報提供する
発足日
・2019年2月20日
🟢活動

観測
NCOがインターネット上の(NOTICEに協力しているISPのネットワークに直接接続されている)IoT機器(ルーターやネットワークカメラなど。パソコンやスマホは対象外)を調査し、次のものが無いか調査※する
セキュリティ上の脆弱性がある機器
(例えば、推測されやすいID・パスワードの設定や、ファームウェアの脆弱性)マルウェアに感染しているIoT機器
※機器の内部に侵入したり、通信の秘密を侵害するものではない
また、調査に使用するIPアドレスは公開されている。
注意喚起
ISP経由で、問題のあるIoT機器の管理者・利用者に電子メールや郵便などでセキュリティ対策を要請する。
意識啓発
セキュリティに関する広報活動や、注意喚起を受けた管理者・利用者からの問い合わせ窓口(NOTICEサポートセンター)の運営
🟢根拠・経緯
2018年
・11月1日
国立研究開発法人情報通信研究機構法(NICT法)改訂
NICTの業務に「サイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器の調査等」を追加。
また、特定アクセス行為(容易に推測されるパスワードを入力する行為など)がNICTの業務として認められ、不正アクセス禁止法に抵触しないように措置されたことにより、NICTはNOTICEプロジェクトを法的に実施することが可能となった。(5年間の時限措置)
2019年
・1月31日
NICT内にナショナルサイバーオブザベーションセンター(NCO)設置
・2月20日
NOTICE 発足
2024年
・4月1日
「ファームウェアに脆弱性があるIoT機器」や「既にマルウェアに感染しているIoT機器」も観測対象に追加
また、5年間の時限設定を解除し、NOTICE事業の継続が可能となった。
🟢参加組織

日本のISPが何社あるのか正直分からないが、リンク先をパッと見た感じ、大手は大体入っているようなので、実効性は高いのではないだろうか。
ちなみに、2019年4月時点で参加ISPは24社、2022年4月時点で70社なので、順調に参加企業は増えている状況だ。
🟢成果
現在の観測状況は次のとおり


このページの情報だけだと、イマイチ効果が読み取れないので、他の資料を探したところ、少し古いが、2023年1月の資料が見つかった。

「容易に推測可能なID・管理用パスワードである機器」について、毎月新規に検知されるものも一定数あるが、全体としては(ゆっくりとは言え)右肩下がりとなっているのが分かる。
また、同じ資料では副次的効果についても記載があった。

個人的解釈
上の折れ線グラフ「観測状況の推移」を見て思うのは、増加要因は複数あり、増加率はともかく、常に増加圧力がある状況ということ。
問題に気付いて修正がなされなければ、件数は減っていかないが、そもそも「問題に気付く」のが非常に難しいというのが現状では。
そんな中で、時々大きな上昇があるとはいえ、基本傾向として微減となっているのは、NOTICEによって管理者が問題に気付き、対応がなされている結果なのではないだろうか?
NOTICEが無ければずっと右肩上がりなのでは?と考えると、(見た目は)地味かもしれないが、着実に成果を出していると考えられる。
また、副次的効果についても、NOTICEの基盤や体制を用いて効果を上げたものであり、胸を張れるものではないだろうか。
🫠感想
法的根拠があるとはいえ、インターネット上の、誰かのネットワーク機器に対してIDとパスワードによるログインを試行するというのは、かなり攻めた制度だと思う。(普通の人がやったら不正アクセスだ!)
企画段階で、無理だとかダメだとか言った人は沢山いたと思われるが、それでも、国内のインターネット環境をより安全なものにしようという強い意志でもって実現に至ったプロジェクトと思われ、地味ではあるが実際に成果を上げているのは素晴らしい。
ISP経由で管理者・所有者に注意喚起し、果てはサポートセンターにて、IDやパスワードの変更方法まで案内するという手厚いサポート体制まである。
さらに、追加で法改正して、脆弱性等の観測も始めており、進化を続けているのが凄い。
広く報道されるようなタイプの成果ではないかもしれないが、目的を果たすべく、着実に結果を出している。
ISPから注意喚起に気づかない(メールを見ない)人たちも結構いそう…。
目立たない活動だが、非常に意義のある活動で、素直に賞賛したい気持ちになる。
セキュリティ界隈、こういう凄い活動や組織があちこちにいるので、調べていて驚かされることが良くある。世の中って、色々な人の支えの上で成り立っているのだなぁ…。
もちろん、完璧な活動や組織等無いので、色々と外からは見えない課題はあるとは思うが、それでも、確実に世の中のために貢献しているのは間違いない。
中の人、本当にありがとうございます。

参考記事
