キャリアクラッシュからの再生。noteが私を変えた
涙が止まらない。頭が痛い。ご飯が食べられない。
心療内科からの帰り道、「適応障害」と書かれた診断書を見て、私は絶望していた。
その絶望から救ってくれたのは、「初めて、自分で生み出したお金」だった。
28歳の時、私は人生で初めての「転職」をした。20代後半という、転職市場において最も価値が高い年代。同時期に同期が次々と一流企業に転職し、年収を100万円以上上げていた。
正直に言って、転職した同期が、羨ましかった。現職から脱出して、私も「転職組」の一員になって、ドヤりたかった。みんなから「そんな有名な企業に勤めているなんて、すごいね~」と言われたかった。他人からの賞賛で、自分の存在価値を肯定したかった。たまの飲み会で同期に会って、「本当にあんなクソ企業から転職してよかった」「○○ちゃんも転職したほうがいいよ」などと、上から目線でアドバイスする側の人間になりたかった。
でも、なれなかった。望み通り有名企業に内定を頂き転職した私は、たった2カ月で、「適応障害」で休職した。
イケイケの社風になじめなかった。優秀すぎる人に囲まれて、ついていけなかった。フルリモートが自分には合わなかった。メンタルを病んだ理由は、いくらでもある。何をしてても涙が出てくるし、頭がずきずきするし、ご飯を食べても味がしない。今振り返っても、30年間の人生の中で、一番最悪な時期だった。おそらく、転職において一番の「失敗例」だと思う。
休職期間満了までに復職できなかったので、また転職するはめになった。今度は、知名度や年収にこだわらず、「働き続けられる企業」でなくてはならない。でないと次もダメだったら、本当にキャリアが死んでしまう。そして、縁あってとある中堅企業に転職した。こんなボロボロの私を採用してくれたのは感謝してもしきれないが、知名度もないし、待遇も下がってしまった。全てにおいて、1社目よりランクが下がった。
「どうしてこんなことに」
「こんなはずじゃなかったのに」
心が、悲鳴を上げていた。
自己嫌悪に押しつぶされそうだった。
どうして、1社目の同期たちは、年収を100万円以上上げて、一流企業でいきいきと働いているのに、私は精神を病んで、待遇も下がってしまったのか。私だって、彼ら以上に努力してきたはずなのに。この差は何なのか。原因は何なのか。やはり私が、生まれながらにして、無能だからなのだろうか。今回の転職失敗で、それが証明されてしまったのだろうか。
ぐるぐる。ぐるぐる。永遠に自分を責め続ける。どうしたら楽になるの。どうしたら自分を取り戻せるの。誰か、教えて。
何気なくXを開くと、何やらとてもバズっているアカウントがあった。名前は「瀬戸内note研究所」(@seto_note_labo)。何やらnoteで莫大な収益を上げているらしい。頭の中がうるさくて、その内容をnoteに書いているらしい。
note、書いてみるか。
もともと文章を書くのは好きな方だった。そして、私も、頭の中がうるさいタイプだ。常に考え事をしている。考えたくなくても考えている。現に、今「私はなぜ転職に大失敗したのか」という答えのない問いをぐるぐると考えている。私はnoteを書き始めた。
書いているうちに、なんだか頭がすっきりしてきた。「思考が整理された」という表現が一番近い。自分が何に悩んでて、どんな解決策が考えうるのかを書くことで整理している感覚。自分のもやもやを昇華できている気がする。心が、ちょっと楽になってきた。
無料noteを2本書いたところで、有料noteを書くことにした。「noteで稼ぎたいなら、とにかく有料noteを躊躇せずに出してみよう」と様々なnoteの先駆者が言っていたので、出すことにした。私の場合は「思考の整理」がおもな目的で、そこまでお金を頂くことには興味がなかったのだけど、ちょっと挑戦してみようかな。きっかけは、そんな軽い気持ちだった。
題名は「有名企業に転職→適応障害→無職。大失敗した私から、あなたに伝えたい12の教訓」。私みたいな失敗者を少しでも減らすために、熱をこめて書いた。転職で失敗すると、本当に人生詰むからね。
投稿してから、本当に購入してくださる方々がいるのか、ドキドキしていた。購入してくださったとしても、文句とか言われたらどうしよう。従来の心配性がここでも発揮する。次の日の朝を迎え、いつも通り出社した。
その日の午前中に、1部購入して頂けた。スマホの画面に『購入』の通知が表示された瞬間、全身が震えた。会社で叫びそうになった。思わずガッツポーズをした。何度も見直して、信じられない気持ちでいっぱいになった。そこから5日間、毎日購入の通知が届いた。購入者からスキや高評価も頂けた。
初めて、会社からの給料以外でもらえたお金。全て、自分で設計した文章や宣伝ルートで、お金がもらえた。私って、こんな力があったんだ。文章を書くことで、自分を救いながら、他人も救って、お金までいただく。こんな奇跡みたいなお金の稼ぎ方、本当にあったんだ。会社で理不尽に耐えながら、その我慢代としてお金を頂く以外に、こんな方法があったんだ。
嬉しいなんてものではない。「生きがい」が見つかったような気分だった。自分の辛い気持ちを昇華して、辛かった経験から他人の人生を救って、お金も頂く。わたしがやりたかったことは、これなんだ。会社の肩書きや年収ではなく、自分の力で生み出したお金が、何よりもうれしかった。自分で収益を得ることで、会社では得られなかった自己肯定感を、取り戻せたような気がした。
なんだか、noteに救われたな。
転職に失敗してから、ずっと暗いトンネルの中にいた。何をしてもうまくいかないし、もうリカバリー不可能だと思っていた。
ずっとこのもやもやを抱えながら、ぱっとしない人生を送っていくんだろうな。そう思っていた。
でも、違った。私にはnoteがある。書くことでもやもやを昇華し、自分の経験から他人を救い、お金もいただけるプラットフォームがある。なんていい時代に生まれたんだろう。少し前まではこんなプラットフォームはなかった。
初めてnoteでもらえたお金は、私の人生を変え、生きがいにつながった。
これからも書き続けることで、自分の力で未来を切り拓いていきたい。初めてのお金が教えてくれた、生きがいを胸に。
追伸:初めてnoteで稼いだお金は夫のビール代に使いました。
適応障害になってしまった時から、ずっとそばで支えてくれた夫。いつもありがとう。
この記事は以下コンテストへの応募作品です!
#はじめてのお金
