難関資格試験に9割超で一発合格の経験から考える、『勉強の本質』と『勉強のペースが乱れたとき』の対処法
こんにちは。「30日チャレンジ」の運営担当で元弁理士(現在は学習塾Dear Hopeの数学・物理担当)の伊藤です。
今回は、「30日チャレンジ」のメンバーの方から頂いた表題のご質問にお答えしたいと思います。
誰しも、受験や資格試験などの勉強を続けていると、ペースが乱れてしまう日があります。
難しい単元のため、思うように進まない
仕事が長引いたり、予定外の仕事が入った
体調が優れない
人付き合い(飲み会など)に時間がとられた、など。
そんな日は、「また計画から遅れた」「今日もできなかった」と落ち込み、自己嫌悪に陥りがちです。
そこで今回は、筆者の弁理士試験の受験時代を振り返りつつ、「ペースが乱れてしまった時の対処法」をご紹介します。
弁理士試験の受験時代を振り返って
筆者が弁理士試験のの受験生だった頃、ペースが乱れを気にしたことは、実はほとんどありませんでした。それは、順調に勉強が進んでいたからというわけではありません。
できるときに、できる分だけ
当時はフルタイムで働き、残業も多く(大体21時頃、遅い日は23時頃に終業)、予定通りにいかないのが当たり前の生活でした。ですので、最初から 「計画通りにいかない前提」で考えていました。 というより、そもそも勉強計画を立てていませんでした。

さらには、以前の記事でお話したように、TACの1.5年のコースに申し込んだものの1年近く放置していたため、本格的に勉強を始めたときには予備校のカリキュラムからはるかに遅れていました。そういう意味では「ペースが乱れる」どころではない状態からのスタートでした。
さらに、大学受験での経験から、学習内容(量や難易度)によって、思ったより速く終えられる分野もあれば、想定以上に時間を要する分野もあることは分かっていました。したがって、今着手している内容や、これから取り組む分野にどのくらい時間がかかるかは、やってみないことにはわかりません。
そういうわけで、筆者としては、できるときに、できる分だけ、確実に積み重ねるしかないという考え方で学習を続けていました。
勤務日は、終業後にカフェが空いていれば立ち寄って1時間くらい勉強し、帰宅後は30分とか、できる範囲で勉強し、翌朝1時間くらい勉強しました。それ以外は、休日とすき間時間を活用しました。
なお、弁理士試験の合格体験記は、以下の記事をご覧ください。
それでも、短答試験まで残り8か月程のところから本格的に勉強を始めて、その年に9割を超える得点で弁理士試験に一発合格できたのは、以下に詳述するように、大学や大学院の受験勉強などを通して、「勉強の秘訣・本質」を体得できていたことが大きかったと思います。
勉強の本質
ここでは、高校時代に得た勉強の秘訣と、現在考えている勉強の本質を、順にご紹介します。
高校時代に得た勉強の秘訣➀:基礎の徹底による緻密な理解
高校時代に、数学に苦戦し、高2に進級する頃から本格的に勉強を開始してそれを克服した経験(記述式模試の数学で全国1位)があり、それが弁理士試験の勉強においても土台となってくれました。
その時に得た勉強の秘訣を一言でいえば「基礎の徹底による緻密な理解」です。公式を自力で導けるかを重視し、また、疑問があれば、調べたり先生に聞いたりして徹底的に詰めます。
暗記もしますが、理解を伴ってのことであり、丸暗記には頼りません。「これは一体どういうことなのか」、「他のアプローチは無いのか」を自分なりに模索・試行錯誤することを重視しました。これは負荷が大きい取り組みですが、一つの事実を他の知識と様々に結びつけることができるため、「どのような問われ方をしても答えらえれるぞ」という自信をもたらしてくれました。
こうして得た基礎知識が応用力を飛躍的に高めてくれました(ただし、学習の初期段階では、全体像を掴むのが先です。細部にこだわりすぎないことも大切です)。
高校時代に得た勉強の秘訣②:「勉強モード」を切らさない
マインド面の秘訣は、「自分にとって最も重要で優先度が高いのは勉強である」という意識(スイッチ)を途切れさせないことです。自分をそういう“カスタムモード”にセットするとイメージしてください。
このモードにあれば、すき間時間ができたときに助走なしで勉強に集中できます。さらに、「常に勉強と共にある」という感覚になるため、ペースが乱れたという焦りが生じにくくなると個人的には感じています。
勉強の本質:できないことをできるようにすること
筆者が考える「勉強」とは、「できないことをできるようにすること」あるいは「覚えていないものを覚えること」です。
一般には、机に向かって過去問を解いたり、テキストを読んだりすることが勉強であるという印象があるかもしれません。しかし、問題演習やテキスト読みはあくまでも手段であって、それらを通じて、できないことをできるようにする、覚える、という部分が本質です。
したがって、繰り返し過去問を解いたりテキストを読んだりしても、それまで自分が知らなかったことをいくつかでも覚えたり、理解を深めたりすることができていなければ、それは勉強ではなく、時間を消費する作業にしか過ぎないのです。
一方、これは勉強時間がとりにくい人にとっては朗報だと思います。机に向かう時間が少なくても、「いま自分が覚えるべき内容は何か」を自覚して、通勤時間などにそれに取り組めば、それは効果的な勉強になるからです。
勉強とはそういった脳内活動なので、「作業になっていないだろうか」とシビアに自己チェックしながら遂行することが大切です。
ペースが乱れる背景には「理想ペースの高さ」がある
さて、ここからは、別の観点からご質問にお答えしていきたいと思います。
まず、「ペースが乱れた」と感じる前提として、私たちの頭の中には「理想のペース」があるはずです。
今日は2時間はやるべき
毎日3科目は触るべき
すき間時間は全部使うべき
などです。しかし、特に社会人の勉強は、理想通りには進まないものです。
ですので、その理想を下げてみることをご提案します。理想のペースを5〜7割に下げるの です。これは妥協ではなく、心理学的に非常に効果の高いアプローチであると言われています。
心理学には「計画錯誤(planning fallacy)」という概念があるそうです。これは、未来の自分を過大評価し、理想的な進行を前提に計画を作ってしまう傾向のことです。そのため、計画が崩れたのは、「自分の意志が弱かったから」ではなく、元の計画がそもそも現実にフィットしていなかったのかもしれません。
高い理想を掲げても、達成できない日が続くとモチベーションが減退し、学習習慣が崩れてしまいがちです。逆に、成功体験を積めるラインまで理想を下げると、行動が安定し、ペースが乱れにくくなります。
もっと言えば、「30日チャレンジ」でもお伝えしているように、5分だけ机に向かうという小さな目標でも十分に機能します。5分机に向かったら、そのまま30分、1時間、あるいはそれ以上勉強してしまうこともよくあると思います。それは、人は「行動したあとにやる気が出る」という性質を持っているからです。
ペースが乱れた翌日に大切なのは「挽回」ではなく「小さく再開すること」
ペースが乱れたと感じてしまうと、「昨日できなかった分を取り戻さなければならない」と焦り、かえって再開のハードルが上がり、行動しづらくなることがよくあります。
むしろ大切なのは、ハードルを下げて再開することです。
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