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弁理士試験を振り返って ~スロースターターからの短期合格~

こんにちは。最近、弁理士試験の合格体験記がよく読まれています。(お読みいただき感謝です!)

そこで今回は、合格体験記では書ききれなかった学習のコツや継続の秘訣について、詳しくお話ししたいと思います。


(2025.11.9追記)
弁理士試験の合格体験を踏まえ、学習法に関する記事を公開しています。有料記事になりますが、どちらも5,000字オーバーの充実した内容で、弁理士試験をはじめとするさまざまな試験に応用が可能な学習法をご紹介しています。ぜひこちらもお読みください。


頓挫からの再スタート

合格体験記に記載した通り、TACの1.5年コースでDVD通信の講座に申し込んだものの、最初はDVDを数枚視聴しただけでモチベーションが尽き、9ヶ月くらい放置してしまいました。

講義を聞いているとわからない箇所が出てくるのですが、それが解消できないのがやる気を失った原因の一つでした。つまり、DVD通信は自分には合っていなかったようです。

しかし、このままではだめだ(もったいない!)と思い、翌年9月に勉強を再開しました。

幸い、通信コースでもスクーリングが可能でしたので、今度は渋谷の教室に通い、ライブで授業を受けてみることにしました。私にとっては、それがハマりました。

面白さの発見と学習の好循環

そのようにして、低めの温度からではありましたが勉強を再開しました。やはりライブの授業の方が、内容が入ってくる感じがあり、自分には合っていると思いました。

少しずつ内容を理解できるようになってくると、「これって面白いな」と思えるようになりました。もし思えなかったら、たぶん弁理士の勉強はやめていたと思います。

興味が深まるからさらに勉強する。勉強するからさらに理解が深まる。理解が深まるからもっと興味が深くなり楽しくなる。この好循環に入れたのは、先生に直接質問をすることを通じて(私は質問魔でした)、モチベーションを保てたからです。

あるエピソード

面白さの発見については、印象的なエピソードがあります。「ドラゴン桜」という大学受験をテーマにしたマンガの英語の先生のモデルになった竹岡先生が、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で次のようなことをおっしゃっていました。

ぐれてパチンコ屋に入り浸っていたころ、隣のおじさんが競馬の話をしていました。どの馬がどういう走りをするとか、成績がどうとか、それはそれは楽しそうに、詳しく話しているのを聞いて、「それだけのことを覚えられるなら、東大に行ける」と思いました。

つまり、興味を持つことで、どんどん覚えられるようになるということです。

そうやって知識が増えていくと、自分の内的世界に次第に知的財産の体系が構築され、世界のとらえ方に変化が現れます。新しい世界が(すなわち新しい自分が)次第に現れてくることで、「嬉しい、楽しい」という感覚が芽生えてきます。勉強そのものが楽しいというより、新しい自分が発露してくること、内的世界の充実感が増して成長を感じられることが楽しいのです。

こうなると、勉強することが楽しくて仕方なくなります。隙あらば勉強しようと工夫を重ね、最終的には、机に向かっていない時間も含めて、短答直前期は、平日でも毎日4~5時間は勉強していました。

学習の優先順位

試験勉強では、何を優先すべきかが重要です。こういう話があります。

大きめの石と、小石と砂が、瓶の中に擦切り一杯詰められています。それをいったん全部外に空け、再び瓶の中に詰めることを考えます。そのとき、最初に大きめの石をすべて入れ、次に小石を入れ、最後にすき間に砂を入れるという順番でないと、すべてを瓶の中に詰めることはできません。

これは、勉強にも通ずるところがあります。

最初は大きめの石を理解し、覚えます。これは特許法の基本概念、発明とは何か、特許要件とは何かといった根幹となる考え方です。

次に、主要な条文を丁寧に理解し覚えていきます。これが小石にあたります。ここまできちんと勉強すれば、短答試験の合格ライン前後の実力が身につくはずです。

そして最後に、細かい規定や読み替え規定、条約の詳細な規則などを詰めていく。これがの部分です。

少しずつ負荷を増やしながら継続

私の勉強スタイルは「少しずつ負荷を増やしながら継続する」というものでした。「やらなきゃ」という焦りや苦しみはありませんでしたし、無理もしませんでした。

通学を開始したころは、講義のほかには毎日1時間程度の自習(復習や問題演習、DVDの視聴)でしたが、やっているうちに、「まずこれを覚えてみよう」、「過去問で理解度をチェックしよう」、「次は趣旨をマスターしよう」などと、やるべきことがどんどん出てきますので、それを一つずつ積み上げていきました。

いっぺんにたくさんやろうとするのではなく、あくまでも一つずつ、丁寧に取り組むことが大切です。もし時間の確保が難しい場合は、優先度の高いものから着手します。

分野別の学習方法・短答試験対策

「こうやる」という固定化された方法は決めていませんでした。覚えようとする内容の性質に応じてやり方を変えていました。

  • 対象範囲が膨大な分野(PCTなど):過去問で繰り返し問われている内容を優先的に覚える

  • まんべんなく出題されるもの(パリ条約など):音読したものを録音して耳から網羅的に覚える

  • 手続きフローが重要な分野(審査・審判の手続きなど):記憶を頼りに白紙に書き起こす

論文試験対策

論文試験では、事例問題を通じて、法律の「使い方」が試されます。出願者サイドに立った場合の防御の手立てや救済措置、審判請求者サイドに立った場合の攻撃(権利の無効化など)の手段をしっかり検討し、どの段階の手続きにおいてどのような手段があり得るかを漏れなく、正確に理解することが大切です。

したがって、「こういうケースではこういう対応をする」という類型を答練を通じて脳内に体系化することと、論述のキーワードをしっかり暗記することが主な学習となります。そして、試験は紙に記述する形式なので、頻出の表現(判例の表現や、お決まりの規範の説明、判断基準など)をスピーディーに再現できるように繰り返し紙に書き、体系化と暗記を行いました。

口述試験対策

口述試験は、問いに対してその場で口頭説明する形式の試験です。ここでは、条文や法改正の趣旨を暗記し、それをすぐに口述する訓練が中心です。冒頭の「合格体験記」にも書きましたが、細かい趣旨が聞かれることに衝撃を受け、ひたすら「青本(逐条解説)」と「改正本」を読み込み暗記し、そして「過去問(これはLECの市販本)」を解き進めました。

TACで口述対策の講座も受講していて、そこでも口頭で説明する訓練を積みました。先生からの問いに対し、分かったら挙手するというスタイルで進行していたので、「全問手を挙げるぞ」という意気込みで準備していました。このあたりは、ゲーム感覚で楽しく取り組んでいました。

学習法としては、過去問や模試で出題された問題すべてを対象に、「これはこう」とすぐに説明する練習を、主に脳内だったり、環境が許せば実際に声に出して、行っていました(大きな石小石の部分)。過去問のめどが立ったら、青本と改正本の細かい部分(の部分)も口頭で再現できるように練習しました。重要論点を暗記する際は、覚えようとする記載を「覚えるぞ」と念を込めて読み込み、テキストを閉じて覚えた内容を口述(あるいは脳内で再現)します。
このようにに、口述試験の対策はつねに頭の中で想起し、ぶつぶつ説明していた感じです。

以上のように、試験形式、分野の性質や問題のでき具合、想起のでき具合を踏まえて、「どのように勉強する(=覚える)のが良いか?」と自問しながら、柔軟に取り組んでいきました。

手応えを感じた転換点

弁理士試験の勉強を本格的に開始してから、基本的には予備校の定めるカリキュラムにしたがって、上述したような基礎固め(大きめの石と、小石のレベル)を行っていました。

そのような学習を続けていって、「短答試験は合格するだろうな」と感じられるようになったのは、勉強開始から約6ヶ月後の3月でした。1回目の短答模試で合格ラインを超え、手ごたえを感じました。このあたりで、過去問10年分を3〜4周くらい回していました。

また、短答対策(条文の理解)が固まりつつあったおかげもあり、この時期は二次試験(論文試験)対策の答練や模試でも安定して合格ラインを確保できるようになっていました。

最後の2か月(3月中旬以降)は、より細かい知識を詰めていったり、条文の趣旨や条約の細かい規則、読み替え規定など細部をしっかり覚えるように意識しました。つまり、最後の「砂」の部分に着手しました。結局、過去問は、短答試験までに6~7周して完成させました。

勉強の本質は理解と暗記

先に述べたように、勉強というのは新しい自分、新しい世界との出会いではありますが、具体的な行為は、理解して暗記する、さらには簡潔に説明できるように脳内で体系化して記憶するということになります。

勉強とは、ほぼ暗記であり、そのための反復(復習)です。「理解」というのも、8割は暗記です。暗記から逃げてはいけません。ただし、先のパチンコ屋のおじさんの例にあるように、楽しい、おもしろいという感情が伴えば、覚えることは決してつらいことではありません。

結局、ありきたりではありますが、

興味関心を育てる。そして、優先度の高いものから一つずつ丁寧に理解し、問題演習で定着させる。

これが私の学習法です。特別なテクニックや裏技はありません。

学習プロセスは、螺旋階段を登るようなものでした。過去問と条文・テキストを行ったり来たりして、少しずつ精度を高めていく。同じところを何度も通るけれど、毎回少しずつレベルが上がっている。そんな感覚です。

また、自分が納得できたかどうかという感覚を大切にしていました。講義を受けたり、何かを学習した際には、「いま何を学習したのか」を脳内で自問し、それに即答できるかを脳内で確認しながら勉強を進めていました。

例えば、重要な論点を学習したら「つまりこれはこういう規定だ」とコンパクトに表現できるか、手続きのフローを白紙に再現できるか、既定の趣旨を説明できるか、といったことをチェックします。答えられない場合は、テキストを確認しました。

まとめ

振り返ってみると、自分に合った学習法のもと、最初から頑張りすぎないこと、興味を大切にして勉強に取り組むこと、そして学習の優先順位を間違えないこと、の3点が勉強をするうえで大切だと感じます。

もし今、資格試験の勉強をしている方や、これから始めようと考えている方がいらっしゃれば、ぜひ「興味を深めながら、基本を大切に」というスタンスで取り組んでみてください。その積み重ねが合格を引き寄せるはずです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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