【受験・資格試験】勉強が進む人は、「まだ覚えられていないこと」が細かく見えている ~何を・どう進めるか~
こんにちは。30日チャレンジの運営担当で、元弁理士の伊藤です。
現在は、難関大専門の学習塾 Dear Hope で数学と物理を担当しています。
このシリーズでは、これまで勉強法をいろいろな角度からご紹介してきました。
今回は、筆者の勉強感覚をお伝えしてみたいと思います。具体的には、勉強を進める上で筆者が特に大切だと考えている、「いま覚えるべきこと」と「あとで詰めるべきこと」を区分けする感覚についてです。さらに、「あとで詰める」と決めたものを、実際にどのように詰めていくのかについても、具体的にご紹介します。
以前、筆者は、勉強時間やページ数など、外側の枠組みを基準にした勉強法に対し、異を唱えました。
その上で、次のようにまとめました。
勉強のやり方は、人によって異なるだけでなく、同じ人でも「どの段階にいるか」によって異なります。したがって、勉強のやり方を「今の自分」に適したものにしていくためには、自分自身を観察し、「いま何が必要か」という問いに答えながら学習を進めていくことが大切です。
結論はこの通りですが、ではそれを具体的にどう進めていったらよいのか、という話になります。
また、今回の記事を執筆するにあたり、Dear Hope 塾長(伊藤智子)と意見交換をしましたが、塾長も同様の考えをもち、自身の勉強で実行していました。したがって、これからお伝えする内容は、「勉強をどうコントロールしているか」の私たちの脳内の一幕です。
全部をその場で覚えることはできない
弁理士試験や社労士試験などの難関資格の勉強では、「覚えなければならない知識の量が多すぎる」ということが、多くの方の頭を悩ませているのではないでしょうか。
趣旨、手続フロー、時期、期間、金額、割合など、最終的には正確に暗記しなければなりませんが、私を含むほとんどの人は、すべてを一気に覚えることはできません。
したがって、続々と現れる「覚えるべき知識」を
いま、この場で覚える知識
大枠だけ掴んでおいて、あとで覚える知識
に区分けし、バランスをとりながら学習を進めていくことになります。
その場で覚えるか、後回しにするかの判断基準
その際、優先度が高いものから覚えていくのは大前提ですが、筆者は、機械的な基準は設けておらず、基本的にはその時々の印象で、今やるのか、それとも後でやるのかを決めています。
つまり、「これは覚えられそうだな」と感じたら、時間をとって、深く納得し、想起を繰り返し、その場で覚えてしまいます。しかし、覚えるべき内容が多すぎたり、なじみが無さすぎたり、あるいは疲れていたりするときは、深追いせず、「あとで覚えよう」と、いったん流します。
「ちょっと大変そうだな」と抵抗感を感じながら無理に覚えようとしても、抵抗感を感じている時点で効率が悪いですし、ますます疲れてしまいます。
流すとしても、何かひとつは覚える!
ただし、「流す」といっても、何も覚えずに次に進むのではなく、せめて要件の数だけ、あるいは、たくさんある知識のうち、一つだけでも覚えて次に進みます。そのページの印象でも構いません。何か一つでも引っかかりを残しておけば、後で残りを覚えるためのきっかけとして役立ちます。
流したものは「あれやらなきゃリスト」に積み上がる
ここからが、勉強の進め方の本題です。
その場で深く覚えなかった知識に対しては、「あれは流したから、いつかちゃんと覚えなきゃな」という感覚が残ります。このような、「暗記の闘い」を後回しにした知識のリストを、ここでは「あれやらなきゃリスト」と呼ぶことにします。
勉強を進めるうちに、この「あれやらなきゃリスト」が少しずつ積み上がっていきます。実は、勉強でいちばん大切なのは、このリストです。
勉強においては、「何を知っているか」ではなく、「どこから先が分かっていないか」という知識の境界線を認識することがとても大切です。
つまり、計画表に書き出された「今日は労基法を進める」「明日は社会保険を進める」という外形的な計画ではなく、「あれを詰めなきゃ」と感じているリストのほうが、勉強の本丸です。
学習計画に対する考え方
筆者の場合は、ですが、学習計画(いつまでに何をやるかというロードマップ)を紙に書いて管理することはしていませんでした。
その理由は3つあります。
一つ目の理由は、予備校(TAC)を利用していたので、そのカリキュラムがあったことです。全体のペース管理は、予備校に任せていました。
二つ目の理由は、計画によって期間を区切ってしまうと、「その期日までに終わらせなければ」という焦りが生じてしまうからです。焦りは、集中の大敵です。また、たとえ期日までにがんばって「形式的に終わらせた」としても、それは本当の意味では、「何も終わっていない」のです。本当の意味で一区切りつくのは、「あれやらなきゃ」と感じていた項目について、自分なりに説明でき、問題でも使える、という手応えが持てたときです。
ただし、勉強が進んでくると、およそいつまでに、どのあたりまで到達できそうかが見えてくるものです。こういった、「感覚的なスケジュール管理」は、無意識に行っていました。
三つ目の理由は、この「あれやらなきゃリスト」が自主的な学習の計画代わりになっていたからです。勉強とは、「何をやったか」ではありません。「あれやらなきゃリスト=覚えられていない知識」をどれだけ減らせたか、また、リストをより解像度の高いものに更新できたか、です。
勉強が進むに伴って、やるべき内容は変化します。したがって、計画を立てる場合も、学習の進展とともに更新が必要となります。
計画が不要という意味ではない
ただし、特に本番まで残り3カ月を切ったあたりからは、試験日までの残り時間を常に意識していて、頭の中で時間配分を調整していました。「この分野にはあと2週間くらいかけられそうだ」「ここは深入りせず、優先度を下げよう」というような判断は、日々行っていました。それを紙に書いて管理していなかった、ということです。
この感覚は、勉強にある程度慣れていたからこそ働くものでもあります。勉強に慣れていない場合は、以下の記事をご参考いただき、大まかな計画を立ててみて、まずはそれに乗ってみてください。全体スケジュールがある方が最初は進めやすいと思います。
そのうえで、勉強が進み、体系的な理解が進んでくると、まだ腑に落ちていないなという引っ掛かりを感じる項目(=あれやらなきゃリスト)が積みあがってきます。そうなった段階から、少しずつ、リストを意識する勉強に軸足を移していくとスムーズだと思います。
「あれやらなきゃリスト」の運用法
続いて、「あれやらなきゃリスト」を具体的にご紹介したいと思います。まず、便宜的な「あれやらなきゃリスト」とその運用法をご紹介し、その後、このリストの「正体」を明かします。
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