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【禁断の質問】「過去問10年分が終わりました。次は何をすれば?」に潜む、勉強の落とし穴

こんにちは。30日チャレンジの運営担当で、元弁理士の伊藤です。
現在は、難関大専門の学習塾 Dear Hope で数学と物理を担当しています。

仕事がら、筆者は大学受験生や資格試験の受験生の方々から勉強法の相談をいただくことが多くあります。これまで、noteでもいくつかのご質問にお答えしており、それらは以下のまとめからご覧いただけます。

さて、今回は、勉強法の根幹にかかわるご質問を紹介し、新たな角度から「効果的な勉強法」についてのお話をしたいと思います。

どのようなご質問かというと…

「過去問10年分が終わったので(または、テキストを読み終わったので)、次は何をすればいいでしょうか。」

というものです。
こういった趣旨のご質問は、実は数多くいただきます。そして、この質問をいただくたび、「終わった」という言葉に、筆者は毎回、大きな違和感を覚えます

過去問が「終わった」とはどういう状態でしょうか。
筆者の認識では、すべての問題に確実に正答でき、予備校の先生の代わりに生徒に講義できるくらいまでマスターできた、ということです。もしそうであるなら、あとは試験を受けて合格すればいいだけです。

もっとも、そのような状態の人は、勉強相談などしないと思います。実際には、まだできない問題が残っているはずです。つまり、「終わっていない」のです。

この質問が生まれる背景に、今回お伝えしたいことのすべてが詰まっています。


「外側の枠組み」が基準になっていないか?

勉強相談をお受けしていると、「何時間勉強すればいいですか」「何周すればいいですか」など、「外側の枠組み」に依存した学習をしている方が多いと感じています。
ここでいう「外側の枠組み」とは、ページ数・時間・計画・回数など、「勉強の中身とは別の指標」のことです。具体的に見ていきましょう。

今日のページ数で区切る

「今日はここまでやった。明日はその続きから」というように、ページで区切って勉強を進めていくパターンです。一見、計画的に見えますが、復習が抜けやすいという問題があります。本来は、今日できなかったところを翌日見直して、復習を差し挟んでから新しい範囲に入る方が効果的です。

勉強時間を指標にする

例えば、平日に5時間も勉強できたら、達成感があると思います。
しかし、この「今日は5時間やった」という達成感は、実際に何ができるようになったかとは別の話です。時間は目安にはなりますが、成果の指標にはなりません。この点をはき違えないことが大切です。

計画通りに進めようとする

理想的な学習計画、あるいは合格者のペースで作った計画を、何が何でもこなそうとするパターンです。しかし、理解が追いついていないまま計画だけ進めても、積み上がるものは多くありません。

どれほどのペースで学習を進められるかは、現在の知識量や勉強に使える時間などに大きく依存します。学習計画については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

高速回転

何周もすることで知識が定着するという考え方ですが、理解が浅い段階でスピードだけを上げても、雑な作業になるだけです。速さは、理解が深まった結果としてついてくるものです。

このあたりの詳細は、ぜひ以下の記事をチェックしてみてください。

冒頭でご紹介した「過去問が終わったので次は何をすればいいですか」という質問が生まれる背景には、これらの「外側の枠組み」を基準にしてしまっていることがあります。


「何ができるようになったか」が大切

「外側の枠組み」をこなすことが勉強の目的ないし基準になると、二つの弊害が懸念されます。

一つは、「やった気になる」ことです。
時間をかけ、ページを進め、周回数を重ねれば、達成感が感じられると思います。しかし、何ができるようになったかが分からないならば、それは効果的な勉強ではなかったということになります。

もう一つは、「次に何をすべきかが見えなくなる」ことです。
入れ物が基準になっているから、それが「終わった」瞬間に途方に暮れてしまいます。しかし、大切なのは入れ物ではなく、その中身です。

「正しい中身=ねらい」を意識して勉強する

勉強の中身を充実させる上で筆者が大切だと考えているのは、「自分は何を知らなければならないか」という問いに対する答えです。これが無いと、何をやっても「こなす」だけになってしまいます。

例えば、問題(過去問)演習の「ねらい」は、「目の前にある問題に正解すること」ではありません

本来の「ねらい」は、特に間違えた問題や、正解したものの確信が持てなかった問題(筆者はこのような問題を「微妙な問題」と呼んでいます)において、「なぜ解けなかったのか」「どこがあやふやだったのか」を突き詰め、自信をもって正答するために必要な知識や考え方を自分のものにすることです。

その際、間違えた問題と微妙な問題に対しては、解説やテキストを確認し、「何を知っていれば解けたのか」を言語化することが大切です。これはいわば、これから掴んでいく知識の輪郭をクリアにすることです。

その後、解説を閉じて、その言語化した内容を頭に思い浮かべ(想起)、あるいは口頭で説明し(セルフレクチャー)、その知識を定着させます。

なお、想起やセルフレクチャーに関する詳細は、ぜひ以下の記事もご参照ください。

そうして覚えた知識が、自分の知識の幹に新たな枝葉として加わります。この積み重ねにより、体系的な知識が獲得され、同じ知識を他の角度から聞かれた際にも的確に正答を導けるようになるのです。

言い換えれば、問題演習とは「具体的な問題」から「抽象的な知識」を取り出す行為です。問題を解くことはその入り口に過ぎず、そこから何を学び取るかが、勉強の本体なのです。

想起、セルフレクチャーによるチェック

上述した想起やセルフレクチャーでは、通常、知識を「言語化」して取り出します。

もし、やったはずなのにスッと出てこないところ、説明しようとしても言葉が出てこないところがあれば、その部分は、知識の輪郭がぼんやりしていて、言語として掴みかねているということです。そのような知識は、試験会場でうまく取り出すことができません。つまり、そのような部分こそ、今の自分が知らなければならないことです。

なお、「やったはずなのにスッと出てこない」原因の一つには、インプットの際に内容を理解できていないことが原因である場合もあります。この場合は、言語運用能力を高めることで改善される場合がありますので、以下の記事でご紹介しているトレーニングをぜひ取り入れてみてください。


「どう詰めるか」も人それぞれ

「知らなければならないこと」が分かったら、次はそれを詰めていきます。

繰り返しになりますが、問題演習では、「問題を解くこと」自体は目的ではありません。解いた後、できなかった部分をできるようにすること、それが目的であり、勉強の本質です。この一点にどこまでこだわれるかです。

「できなかった部分をできるようにする」ためのアプローチは、人によって異なります。

たとえば、机に向かっているときは、問題演習とテキスト読みをどう組み合わせたらよいか。また、机に向かっていないときは、耳学習が良いのか、それとも、想起に充てるのが効果的なのか。

「現在の自分にはどのようなやり方が合っているのか、必要なのか」を考え、試し、振り返り、日々の学習にフィードバックします。この繰り返しが、自分に合った勉強法を形づくっていきます。また、自分の実力が変わると、効果的なやり方も変化することにも気づくようになるでしょう。

この作業は、勉強そのものと同様に頭を使います。
しかし、ここが欠けている限り、「できるようになった感」が生まれにくく、その結果、「合格できる」というイメージが持てないまま、勉強を続けることになってしまいます。

なお、この点に関しては、筆者の過去の記事(例えば以下)もぜひ参考にしてみてください。

筆者自身の経験から

筆者自身の弁理士試験に向けた学習を少し振り返ってみたいと思います。
筆者は、短答試験(一次試験)の約8か月前から本格的な勉強を開始し、9割超の得点で合格、その後の論文試験(二次試験)、口述試験(三次試験)もパスし、一発合格することができました。
しかし、記憶力が特別に優れているわけではありません(むしろ忘れっぽいです)。

勉強初期は、「わけが分からない」状況に耐える

勉強を始めたころを振り返ってみると、分からないことだらけでした。これは当たり前で、最初のうちは「わけが分からない状況に耐えながら、少しずつ重要なところを覚え、全体像を掴んでいく」という段階が誰にでもあります。そのことは承知していましたので、「いずれ全体像が見えてくるだろう」ということを信じて勉強を続けていきました。

これについては以下の記事もご参考ください。

全体像が掴めたら、やるべき勉強に集中する

全範囲をひととおり学習し終えたころには、ある程度、試験で問われる知識の全体像が見えてきてきました。しかし、まだ過去問を解けるほどの力は身についていませんでした。「こういう制度があったな、でもはっきりとイメージが浮かんでこないし、言葉で説明することもできないな」という程度の状態です。

これは裏を返せば、「自分は何を知らなければならないか」が分かってきているということです。つまり、この段階では、「ぼんやりした制度のイメージ」が「はっきりしたイメージ」になるようにテキストや解説を読んで理解、記憶していくことに取り組むことが必要になります。

このように、「何をやったら自分ができるようになるか」を自分に問いながら、必要と思われる勉強に日々淡々と取り組んでいきました。筆者が短期で合格できたのは、このようにやるべきことだけをやった結果として、遠回りをしなかったということだと思っています。


まとめ

勉強のやり方は、人によって異なるだけでなく、同じ人でも「どの段階にいるか」によって異なります。したがって、勉強のやり方を「今の自分」に適したものにしていくためには、自分自身を観察し、「いま何が必要か」という問いに答えながら学習を進めていくことが大切です。

例えば、やったはずなのにスッと出てこないところや、なんとなくわかるけど、なんとなくしかわからないところなどが、「今の自分が知らなければならないこと」です。

今回ご紹介した勉強への取り組み方が身につけば、合格への距離がぐっと短縮されるはずです。

皆さまの成功を心より応援しています!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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「30日チャレンジ」では、北海道から九州まで、全国から、小さな習慣から人生を変えていきたいという志を持った方々が集まっています。
難関資格に挑戦する方や新しいスキルを身につけたい方など、さまざまな目標を持った参加者が互いに刺激し合い、それぞれの目標に向けて努力しています。

筆者は、このコミュニティーで学習法などのアドバイスを行っています。「30日チャレンジ」の詳細は、公式サイトをご覧ください。

【著者プロフィール】
30日チャレンジの運営担当 伊藤
高校時代、大手予備校が主催する記述式模試の数学で200点満点を獲得し、全国第1位。大学入試では数学を全問完答にて東北大学に現役合格。その後、東北大学大学院に首席で合格。数学は満点。

大学1年次より大手予備校の仙台校にて東大数学・理系数学等の講師を6年間務め、その後勤務した学習塾でも東大・難関大向けの数学を中心に講義を担当するほか、全国配信の高校数学のDVD収録講義も担当しました。

社会人になってからは、約8か月の勉強期間を経て、弁理士試験に9割超の得点で一発合格。その経験をもとに、大学受験生のみならず資格試験を目指す社会人にも、効果的な勉強法をお伝えしています。

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