いつもじゃない図書館に行って、帰ってきて、考えたこと。2020.3.28.
図書館から「ご予約していた資料が用意できました」というメールが来て、そろそろ行かないと、何ヶ月か待って、予約して取り寄せた本が、また元に戻ってしまう。明日まで大丈夫なのだけど、雪の天気予報まで出ているので、焦って、今日行くことにした。
いつもじゃない図書館へ行くのは3回目になる。
この前は、3月16日に行った。今日は、3月28日。
前もって、予約をしないと本を借りられない状況は続いている。
「ビートたけしが、かかったんだって?」
外出先で、こんな言葉をかなり年配の男性が発したのを聞いたのは、3日前だった。
「え、志村けんじゃないの」
中年女性が答えをかえす。
「あ、そうだっけ。……オリンピック延期になると思わなかったよ」
同じ日に、小池百合子都知事の、週末の外出自粛の要請があった。
家のそばには河川敷があって、この時期になると、さくら並木が、桜の花でいっぱいになり、土手には、浜大根も咲いて、上下が花に囲まれる。
週末の外出自粛要請というものが出ていたが、家を出て、川のほうをみたら、桜がほぼ満開になっているようだったし、人はけっこう歩いていた。
今は、気温も高めだけど、そのうち雨がふり、夜は急に冷えてきて、気温は2度になるかもしれないと妻に聞いた。
10分と少しで図書館に着いた。
敷地内にある桜の木に、下から見上げるようにカメラを構えて、写真を撮っている女性がいる。
図書館から、若い女性が早足で出てくる。
入り口に、まだ、立て看板がある図書館に入ったら、中年と思われる男性が1人、同じくらいの年代の女性が2人。それぞれ別に来ていたみたいだった。さらに、小学生くらいの男の子と女の子がいて、兄妹のようで、一緒に本を返却していた。
受付カウンターの中には、女性のスタッフが3人いるから、前回の時より1人増えていたが、それは週末のせいかもしれない。
私が返却をして、予約していた本を借りる手続きをしている時に、若い男性が赤ちゃんを抱いてあらわれた。あとから女性も続いてきたから、ご夫婦かもしれない。
開架書棚も、階段も、新聞雑誌コーナーなども閉鎖されていて、薄暗くて、「立ち入り禁止」の文字があちこちにある。
館内といっても、今、利用できるのは、受付カウンターの周辺だけなので、5人くらいで、けっこう人口密度が高く、ちょっと狭く感じる。
「立ち入り禁止」の向こうへ行く人が2人いたが、それはトイレに行くためだった。
「今の状況が、31日までだった予定が、当面になっていますけど、もしかしたら、次に返す2週間後も、こんな感じですかね」。
本とCDを借りる時に、聞いてみた。
マスクをして、こちらを真っ直ぐに見て、丁寧に答えてくれた。
『そうですね、わかりませんが、そんな風になるかもしれません。…詳しい情報は、ホームページをご覧になっていただけたら…。もし、分からないことがあれば、電話していただけると、お答えできると思います』
先のことが分からないのは一緒なのに、すごくきちんと答えてもらい、なんだか恐縮してしまった。
「…そうですか、わかりました。ありがとうございました」
入り口近辺には、プラスチックの円柱型の容器に入っている除菌のウェットティッシュがテープで止めてある。帰り際に、一枚、引き出して、手をふいた。そのティッシュを持ち帰ろうと思って、ちゅうちょして、ちょっと戻って、図書館の中のゴミ箱に捨てた。先に捨ててあった何枚かのティッシュが見えた。
図書館を出たら、風が冷たくなっていた。
これから、本当に気温が下がりそうだった。
帰りに、スーパーに寄って、買い物をした。
レジ袋をあけるために、指先を濡らす小さい機械に指をあてて、これは不特定多数の人が使っているんだ、と思ったら、1回使ったら、使えなくなった。帰る時に入り口付近の細いテーブルに、4個の消毒用アルコール容器が並んでいて、押したら、ちゃんと出た。他の3台が出るかどうかは、試さなかった。
家の近くに戻ってきたら、向こうから、まだ4歳とか、5歳くらいの男女の子供が走ってくる。笑っている。そのうしろに、若い男性がいて、女性もいる。『とまってー』といった声が聞こえてくる。こちらには、交差点があるから、男性の走りも、ちょっと本気になる。すれ違って、後ろを向いたら、横断歩道のところで、子供達はちゃんと止まっていたけど、まだ、笑っているようだった。ここにいる人たちは、誰もマスクをしていなかった。
今日は、誰がマスクをしているとか、あまり気にはならなかった。
図書館は、当初は、3月の中旬で通常に戻るはずだったのが、次は3月31日にまでになり、今は「当面」という言葉に変わり、いつまで、この薄暗い図書館のままなのか、分からない状態になっている。
この1、2週間がヤマみたいな言葉を聞いたのが、2月の下旬で、あれから1ヶ月たっているのに、いつまで、この状態が続くのか、分からないままだったりもする。
いつまで続くのか分からない不安に、人間はとても弱いはずだった。
決して同じ状況とはいえないが、第2次世界大戦の時に、ユダヤ人というだけで、強制収容所で生き抜くことになった心理学者のフランクルが、こんな言葉を残している。
誰もがいつ終るかを知らなかったからです。それが、ひょっとすると、強制収容所のなかで一番気分がふさぐ事実の一つでさえあったかもしれないというのが、仲間たちの一致した証言です
いつまで続くか分からない不安に対して、どうしたらいいか。
私自身は、家族を介護していて、そんな状態にいた時に、この本には励まされた記憶もある。もちろん、人によって好みや相性もあるから万人に向いていないかもしれないが、本当に辛い時に、その状況でどうやって生きていくか、といったことについて、考え抜いた人であるのは間違いないと思う。
今の状況は思ったより、長くなるように思う。
2年くらいかかるのではないか、という声も聞いた気がするので、個人的には、そのくらいで考えようと思っている。
また、いつまで続くか分からない時間の中で生きていく、というのは、あの介護の日々が再開するようで、けっこう辛い部分もある。でも、今度は、人類の多数が同じような思いにいるはずだから、孤立感はそんなにないはずで、だから、少しは気が楽かもしれない、と思ったりもする。
(他にもいろいろと書いています↓。クリックして、読んでもらえたら、うれしいです)。
#図書館 #いつもじゃない日常 #日記 #推薦図書 #フランクル
いいなと思ったら応援しよう!
記事を読んでいただき、ありがとうございました。もし、面白かったり、役に立ったのであれば、サポートをお願いできたら、有り難く思います。より良い文章を書こうとする試みを、続けるための力になります。