幼稚園教諭の賃下げ問題|大津市で問われる制度の順番
待機児童が全国最多の大津市で、
幼稚園教員と保育士を統合する制度が導入されるという。
目的は理解できる。
人材を横断的に動かし、待機児童を減らしたい。
理屈としては筋が通っている。
だが、その過程で
幼稚園教員の給与水準を保育士側に合わせる。
実質的な「賃下げ」になるという。
統合は理にかなっている。
でも、なぜ「下げる」方向なのか。
今は物価が上がり続けている。
家計はどの家庭でも余裕があるとは言えない。
そんな中で、
子どもを支える現場の給与が下がるかもしれない......
という設計は、どう映るだろう。
「鶏が先か、卵が先か」
以前、公立幼稚園の閉園問題について書いた。
少子化だから仕方ないのか。
それとも、制度の設計が時代に合っていないのか。
あのときは、
「使いづらい仕組みのまま放置してきた結果ではないか」
という問いを投げた。
そして、今度は
「閉園」ではなく「賃下げ」。
妻は幼稚園教諭。
子どもの数は確かに減っている。
でも仕事は減っていない。
むしろ書類は増え、
やるべきことは細かくなり、
休憩もまともに取れないまま、
朝から夕方までぶっ通しで働いている。
昼食も子どもと一緒。
「休憩時間」という名の保育時間。
それでも、
子どもたちの前では笑っている。
そこに
「統合のためです」
「制度の整理です」
と説明され、給与が下がるかもしれない。
これは合理性の問題というより、
順番の問題ではないだろうかとも思う。
待機児童を減らしたい。
そのために人材を動かしたい。
それなら──
・負担の見直し
・業務の軽減
・処遇の底上げ
そこから始めるのが自然な気もする。
下げてから動かすのか。
守ってから動かすのか。
ここに、設計思想が現れる。
以前の記事で書いた。
卵を産みにくい環境を作り続けて、
「最近ニワトリが減ったな」と言う構図。
今回は少し違う。
ニワトリが足りないと言いながら、
ニワトリの餌を減らしていないか。
統合は未来の話。
でも賃下げは、今日の話。
今日の生活は、未来より先にやってくる。
制度は机の上で作られる。
だが子どもと向き合うのは、結局現場。
現場のモチベーションが揺らげば、
質も揺らぐ。
人材が流出すれば、
待機児童はますます増えてしまうだろう。
もちろん、
幼保統合そのものを否定しているわけではない。
子どもが減り、ニーズが変わる社会で、
仕組みを再設計することは必要。
未来を語りながら、
年間数十万円の減収という現実は、
理念よりも先に生活に響く。
鶏が先か、卵が先か。
制度が先か、現場が先か。
少子化は複雑な問題。
一つの制度で解決するものではない。
だが少なくとも、子どもを支える人が
「大切にされていない」と感じる社会で、
子どもを増やそうというのは、どこか順番が違う気がする。
未来は数字だけでは作れない。
そこに立つ人の気持ちまで含めて、
はじめて“制度”になるのだと思う。
制度が変わるとき
まず守るべきは数字か人か。
子どもは、机の上では育たない。
だからこそ、机の上の順番は慎重であってほしい。
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