24時間監視!ストーカー姉御の「夜間巡回シフト」🚔
犬は、一日の大半を寝て過ごす。
ネットで調べてもそう書いてあるし、動物番組でも「成犬は12〜15時間ほど眠ります」とよく言っている。うちのココもそうだった。丸くなって寝て、起きてはご飯を食べ、また寝る。犬というのは、そういうものなのだろう。
ところが、うちにはその常識を完全に無視している犬がいる。元保護犬で分離不安症持ちのリンは、家族の外出を極端に嫌がる。しかし、それ以上に困るのが家の中である。
家の中にいる時のリンは、もはや犬ではない。
警備会社である。
しかも、人員一名による24時間体制の超ブラック企業である。
🚪 【任務その1】トイレ警護
パパが立ち上がる。
すると、寝ていたはずのリンの耳がピクッと動く。「……どこへ行くつもりだ」そんな声が聞こえた。
気づけばトイレの前に座っている。鳴きもしない。ただ静かに待っている。しかし、その静けさが逆に怖い。「え、何?」と思わず聞きたくなるほどの圧力である。
たまに勢い余ってトイレの中まで入ってくることもあるのだが、その時だけは毎回「やっぱ違ったかも」という顔で出ていく。だったら最初から入ってくるなと思うが、警備員にもミスはある。
🛁 【任務その2】お風呂は苦手💦それならママを監視
お風呂は苦手なリン。
パパが入ってる間はリビングにいるママを監視、ママが入ってる間は自室にいるパパを監視している。
お風呂からあがると、「見えるギリギリの距離」で見張るのが彼女なりのルールだ。
プロの警備員でもこの距離感は、なかなか出せない。
一方そのころ、ココとフクは、足についた水滴をペロペロし、たまに足拭きマットをトイレ代わりにシャーっと漏らすのである。
🪑 【任務その3】家族の位置確認レーダーON📡
さらにリンは、人間の位置関係を把握する能力が異常に高い。
パパが自室にいて、ママがリビングにいるとする。するとリンは、その二人を見渡せる絶妙な中間地点に陣取る。一メートルずれるとママが見えない。二メートルずれるとパパが見えない。
その境界線のような場所を、なぜか毎回正確に見つけるのである。
GPSでも搭載しているのかと思う。
🌙 【任務その4】夜間巡回パトロール
最も恐ろしいのは夜だった。
普通の犬なら、飼い主と一緒に寝て朝まで起きないが、リンは違う。夜になると巡回が始まるのだ。
パパが寝返りを打つと、タタタタッとパパの部屋へ走る。しばらくしてママが動くと、今度はタタタタッとママの部屋へ走る。頭の中では「異常なし!異常なし!」と報告しているのだろう。
しかし、ココが夜中に寝床移動しようものなら大変である。
「ワン!」
一喝である。警備主任の権限が強すぎる。
思い返してみると、リンが熟睡している姿を見た記憶がない。パパが動けば確認し、ママが動けば確認し、夜中も巡回している。
ずっと見ているのである。ここまでくると、もはや愛情なのか、仕事なのか分からない。
ずっと見つめられるということは、パパは相当イケメンなのではないか。そう思った瞬間、リンはパパを見ずに、後ろを歩いていたママの方へ走っていった。
どうやら巡回対象だっただけらしい。
↩️ 前話はこちら:第二話|お留守番を克服!?📺
➡️ 次話はこちら:第四話|分離不安が伝染!?🪇
