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冬に暖かい便座はやばすぎる🚽|トイレで感じた小さな幸せ💝

トイレを長時間占領する人が苦手である。もはや軽い敵対関係だ。私は腹の中で非常ベルが鳴り響き、避難訓練どころかすでに災害対策本部が立ち上がっている。それなのに、目の前の扉はぴくりとも動かない。五分、十分。沈黙。中で何かの修行でも始まったのかと思う。私はこれまで、何度となくトイレの扉の前で人間の尊厳について考えさせられてきた。

だからこそ、私は早い。外のトイレでは、パンツを下ろした瞬間から撤退戦が始まる。用を足し、身なりを整え、手を洗い、風のように去る。長くても三分。背後に次の兵士が控えているかもしれないと思えば、便座の上で余韻に浸るなど許されない。トイレとは個室ではない。限られた資源であり、社会インフラであり、譲り合いの最前線である。そう信じていた。冬が来るまでは。

冬の暖房便座は危険である。あれは便座の形をした罠だ。座った瞬間、太ももの裏からじんわりと温もりが立ち上がってくる。冷え切った体に、こたつの親戚みたいな熱が染み込んでくる。ただ用を足しに来ただけなのに、気づけば魂まで預けそうになっている。さっきまで「長居するな」と言っていた男が「もう少しだけならええやろ」と座布団を敷き始める。

用は済んでいる。体の用は終わった。しかし、心の用がまだ残っている。これが厄介だ。立ち上がれば寒い。座っていれば温かい。扉の外に誰もいない家のトイレなら、なおさらである。いっそ小さなテーブルを置き、足元にヒーターを構え、文庫本とスマホの充電器を持ち込めば、そこはもう秘密基地である。家の中で最も狭いはずの空間が、冬は王宮の玉座へ変わる。

外では三分の掟を守る。社会人として、いや、人としてそこは譲れない。だが家のトイレは話が違う。誰にも迷惑をかけていないなら、暖房便座の上で一息つくくらい許されてもいいはずだ。

扉の外にいるときだけ正義の顔をする。便座が温かいと、だいたいの信念は三分で溶ける。

➡️ 次回予告:ラベルの価値📛
⬅️ 前話はこちら:にこるんの誘惑🐮
↩️ シリーズ序章:これはウェルビーイングな時間

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