980円で買った幸せな睡眠💤|冬は電気敷き毛布が手放せない🛏️
正月セールで、九百八十円の電気毛布を買った。値段を見れば、もはや家電というより駄菓子屋のくじである。これで本当に暖かくなるのかと半信半疑で布団に敷き、スイッチを入れた瞬間、私は悟った。これは毛布ではない。布団の下に潜む、ぬくもりの魔王である。
沖縄で二十年以上暮らしていたことで、内地の冬を完全になめていた。東京の寒さは、玄関を開けると「久しぶりやな」と肩を組んでくるタイプではない。背後から無言で首筋に手を入れてくる。
そんな陰湿な寒さに対抗するため、我が家ではこれまで犬たちが湯たんぽ部隊として活躍していた。ココは股の間、リンは足元。それぞれ担当エリアを守る優秀な兵士である。
ところが、電気毛布の登場で戦況は一変した。布団に入った瞬間、じんわりと下から熱が上がってくる。まるで自分だけ地熱発電の上に寝ているようである。ココもいつものように股の間へ入ってきたが、数分後には「ハーハー」と舌を出して脱出した。ココにとっては、パパの股がサウナ施設に改装されたようなものだったのだろう。私はというと、ぬくもりの魔王に魂を売り渡し、五分もせず眠りに落ちた。
翌朝、布団から出るのがつらかった。外の世界は冷たい。布団の中が王国で、電気毛布は玉座である。できることなら、このまま一生ここで暮らしたい。仕事も食事も確定申告も、全部この布団の中に持ち込めばよい。人類はもっと早く、布団内完結型社会を目指すべきだったのではないか。
しかし、楽園には必ず蛇がいる。数日後、体がやたらとかゆくなった。どうやら、ぬくもりの魔王は私から水分を年貢として徴収していたらしい。九百八十円で極楽を買ったつもりが、肌の潤いを差し出す契約書にサインしていた。
それでも今夜、私はまたスイッチを入れるだろう。乾燥するのは困る。かゆいのも嫌である。だが、あの五分で眠りに落ちる快楽を知ってしまった人間は、もう普通の布団には戻れない。九百八十円の魔王は、今夜も布団の底で静かに待っている。

🐶 ココのアンサー:ウェルビーイングを返せ💢
➡️ 次話はこちら:にこるんとの昼食🍔
⬅️ 前話はこちら:有村架純との時間😍
↩️ シリーズ序章:これはウェルビーイングな時間?
