犬猫譲渡会とは|“保護犬 2週間トライアル”の葛藤
譲渡会で白い犬を見た瞬間、「この子を連れて帰りたい」と思った。冷静に考えているつもりでも、心の中ではすでに首輪の色まで選んでいるのである。
保護犬の譲渡というものは、もっと厳かな儀式だと思っていた。
面談があり、審査があり、「あなたに命を預ける覚悟はありますか」みたいな重たい質問をされるのだろうと勝手に想像していた。ところが、会場に戻って「やっぱりこの子が気になります」と伝えると、スタッフさんは「2週間トライアルどうですか?」と言い、そのままリンを手渡してくれた。
あっさりしすぎである。こちらはまだ心の準備どころか、車の中に犬を乗せる段取りすらできていない。だが、白い犬はもう腕の中にいる。
2週間試して、合わなければ返す。理屈としては正しい。先住犬との相性を見るためにも必要な仕組みである。だが、2週間も一緒に暮らして「はい、返します」などと言える人間がいるのだろうか。私は無理である。初日にもう名前を呼んでいる時点で負けている。
リンの過去も聞いた。捨てられたあと、海辺を彷徨っていたらしい。その時、妊娠中で、体重はたったの2kg。パルボにも感染していたという。保護され、治療と避妊手術を終え、ようやく元気になったものの、分離不安がひどく、なかなか引き取り手が見つからなかったそうだ。
その話を聞いた時、胸の奥がぎゅっとなった。けれど同時に分かった気もした。譲渡があっさりしていたのではない。リンの抱えているものが重すぎて、手を伸ばせる人がいなかったのだ。
家に連れて帰ると、ココとフクは新入りの匂いを嗅ぎに来た。
リンは動じない。「どうぞ勝手に確認してください」という顔である。なかなか大物だ。ただ、しつこいと怒る。その空気を察したのか、先住犬たちはすぐに距離感を学んだ。犬社会の空気読みは、人間よりよほど早い。
2週間後、保護施設の方が家に来た。「どうしますか?」と聞かれたが、答えは決まっていた。返せるわけがない。あの日、会場で手渡されたのは、白い犬ではなく、我が家の新しい日常だったのだ。
分離不安も覚悟のうえだった。大丈夫だと思っていた。今思えば、その「大丈夫」はだいぶ見積もりが甘かったのだが、人生の大事な出会いというものは、だいたい見積もりが甘いまま始まるのである。
🐩 リンのアンサー:トライアルちゃう😏
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🐾 リンの自己紹介:ストーカー気質なツンデレ女王🐩
