銀河フェニックス物語<出会い編> 第一話 永世中立星の叛乱 (20)
第一話のスタート版
永世中立星の叛乱 (19)
雑魚の相手はやめて、ボスとのタイマンに持ち込むか。
ウウウウ・・・。
近くでパトカーのサイレンが聞こえた。
奴らの動きがピタっと止まる。
「散れ」
ボスの号令と共に、男たちは蜘蛛の子を散らすように消えた。
ボスの姿もない。
あいつら警察に追われているのか?
まあいいや。
丸腰は落ち着かねぇ。俺も船に戻ろう。
さっきティリーさんの服に張り付けた送信機の位置情報を確認する。
ちゃんと上り線に乗ったな。エアポート行きだ。よかった。
と、その時。
気配を感じた俺は、横っ飛びに飛んだ。

バシュッ
レーザー弾か。
間一髪、生い茂った草むらへ逃げ込む。
バシュッ
二発目が正確に襲ってきた。
草が焼け、煙りが立ち上る。
これはさっきの奴らじゃねぇ。
心当たりはある。
アリオロン軍の工作員、ライロットだ。
ちっ、暗殺協定の発動かよ。
あいつ知ってやがるな、俺が銃を持ってねぇことを。
よく知った低い声が聞こえた。
「丸腰とは君にしては珍しいな、レイターフェニックス」

草の隙間からライロットの野郎の姿が見えた。
「僕はレイターの双子の弟なんです。善良な一般市民に銃を向けないでください」
「善良な一般市民は人を撃ち殺したりはしないものだ」
昼間の狙撃犯もこいつらか。
腹が立ってきた。
一言言わねぇと気がすまねぇ。
「あの攻撃はなんだよ。民間人を巻き込んだじゃねぇか」
「彼は『暗殺協定』を理解していなかったようだ」
「あんたの部下だろ」
「教育不足を詫びるよ。しかし、君がわざと撃たせたから民間人を巻き込んだんじゃないのかね」
「あいつが撃ってから撃たなきゃ正当防衛になんねぇだろが。あんた以外はよ」
「チャダムはおいしかったかね?」
安易にアリオロンの店に入っちまったな。八ノ丸が行動圏とみてライロットの部下は俺を狙ったのか。
ライロットの奴、隙がねぇ。
話しながら逃げるタイミングをはかる。
「チャダム、久しぶりに食ったらうまかったよ。で、何であんたこんな辺鄙な公園で遊んでんだい?」
こっそりとネクタイを緩める。
「君を張っていたからさ」
嘘だ。
バシュッ
三発目をかろうじて避ける。
危ねぇ。やべぇな。
次、奴が撃った時が勝負だ。あいつも同じこと考えてる。
「君こそなぜここにいる?」
「聞きたきゃ金払え」
バシュッ
奴のレーザー弾が発射された。
同時に俺は草むらから飛び上がる。
手にしたネクタイを鞭にして、思いっきりライロットの目をはたく。
「うっ」
ライロットがよろめいた。
その隙に俺は走り去った。
* *
フェニックス号でティリーはレイターを待っていた。
遅い。「すぐ、追いかける」って言ったわよね。あれから二時間以上が経った。
外はもう真っ暗だ。
「俺のティリーさんに手を出すんじゃねぇ」と言って男たちを蹴り倒したレイターが頭に浮かぶ。
わたしにも彼氏を選ぶ権利があるわ。俺のティリーさんなんて呼ばないでほしい。
鍛えられた動き。まるでアクション映画のようだった。
レイターはプロのボディガードなのだ。強いはずだ。
でも、相手の男の人たちは銃を持っていた。
レイターは銃を置いていった・・・。
昼間の出来事が思い出される。
路上の血だまりとレイターの姿が重なる。
首を振ってそのイメージを打ち消す。
その時だった。
入り口のドアが開く音がした。 (21)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」