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銀河フェニックス物語<出会い編>  第三十一話 (1)  恋の嫉妬と仕事の妬み

第一話のスタート版
第一話から連載をまとめたマガジン 
第三十話「修理のお礼は料理です」

 フェニックス号に乗ったティリーは、気分が落ち着かなかった。

「わぁい、両手に花だぜ」

n2@正面2@笑いカラー

 レイターは、わたしと後輩のサブリナの顔を交互に見て笑った。

 わたしたちは、ヨマ星系の大手洗剤メーカー「コッペリ社」へ向かっている。
 たまたま同じ時間に、別々にアポイントが入った。

 サブリナが明るい声で挨拶する
「レイターさん、厄病神が出てこない様に、よろしくお願いしま〜す」
 今回、彼女は新型船七隻の契約を締結する。大きな仕事だ。厄病神の船には乗りたくなかっただろうな。

 サブリナがわたしに話しかけた。
「ティリー先輩、わたし、仕事でフェニックス号に乗るの初めてなんです。いろいろ教えてくださいね」

n250サブリナウインク@逆カラー

「ホストコンピューターのマザーに聞けば何でもわかるわ」
 ぶっきらぼうに答えてしまった。

「俺が、手取り足取り教えちゃうよ」
 おちゃらけながらレイターが言った。
「荷物、整理してくる」
 わたしは自分の船室へと向かった。

 気持ちを落ち着けよう。

 今回、後輩のサブリナは船の多数購入契約。
 一方、わたしは、フレッド先輩に頼まれて、資料を受け取ってくるという雑用仕事。

 サブリナは要領がいい。

 元々、コッペリ社へはわたしたち営業企画課が、フレッド先輩を中心に新型船購入の話を持ち込んでいた。
 ところが、先方の担当者が誤って隣の法人営業課に問い合わせをし、たまたま窓口となったサブリナが、トントンと話を進めてまとめてしまった。

 わたしたち営業企画課は面白くない。陰では契約を横取りしたサブリナの悪口が飛びかっていた。サブリナは営業成績がいい。

 はあぁ、ため息をつく。

やや斜めため息

 サブリナはすぐ下の後輩。

 わたしは彼女のメンターに選ばれ、入社当時、社内のことを教えた。明るくて、よく気が付くサブリナ。わたしは彼女が好きだった。


 サブリナが初めて契約を取った時は本当にうれしくて、祝勝会を開き、彼女に夕食をおごった。
「ティリー先輩、ありがとうございます。先輩の様になれるようにわたし、頑張ります」と言われて喜び、そんなサブリナをかわいく思った。


 けれど・・・。

 サブリナが隣の課で月間賞を取ったあたりから、素直に喜べなくなった。
 サブリナは変わらない。
「ティリー先輩のおかげです」と明るく話しかけてくる。


 学生時代の出来事が頭に浮かんだ。思い出したくない記憶。

 化学が苦手だと言うクラスメートに、わたしはテスト前、一生懸命教えた。
 テストが終わってみたら彼女の化学の成績は、わたしより良かった。
 たったそれだけの小さな話。

 「ティリー、ありがとう」と礼を言う彼女に「今度はわたしに教えてね」と明るく笑顔で応えた。
 けど、心の中は違った。
 悔しさと恥ずかしさと苛立ちが入り乱れ、彼女がわたしをあざ笑っているように感じた。教室で彼女の顔を見るだけで気持ちが塞いだ。

 そんな自分が嫌だった。彼女は何も悪くない。力が足りなかったのは自分だ。頭ではわかっている。
 なのに、彼女が恨めしいという気持ちを振り払えない。
 あのどす黒い感情。

 誰にも知られたくない自分。しばらく忘れていたのに。  (2)へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」