銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十一話(2) 恋の嫉妬と仕事の妬み
・第一話のスタート版
・第三十話(1)
・第三十話 まとめ読み版①
わたしは営業企画課で、サブリナは隣の法人営業課。
部署が違っていてよかった。
「契約取れちゃったんです」と笑顔で報告するサブリナ。同じ課だったら「おめでとう」と言う余裕がなかっただろう。
今では社内事情もわたしより詳しい。プライベートでは研究所に勤めるジョン先輩という彼氏もいる。

どこで差がついてしまったのだろう。
*
今回、コッペリ社へ厄病神の船で行くことが決まって、隣の席のベルに言われた。

「良かったじゃん。契約だったら厄病神の船じゃがっかりだけど、どうせ頼まれ仕事でしょ」と。
フェニックス号で仕事に出かけると、失敗するというジンクスがある。
これまでにわたしも大規模デモに巻き込まれたり、環境テロに襲われたり、散々な目に遭ってきた。
ベルの言葉を聞いてわたしは、恐ろしいことが頭に浮かんだ。厄病神の船で出かけて、サブリナの契約が失敗すればいいのに、と。
頭を思いっきり左右に降る。
そういう事を考えていると、自分が失敗するのよ。とにかく、わたしは自分の仕事をしっかりやり遂げなくては。
と、気合を入れてさらに落ち込む。
そんな大層な仕事ではないのだ。
わたしの仕事は、コッペリ社の事業計画資料を受け取ってくる、というもの。
「大事な資料だから。よろしく頼むよ」

と、フレッド先輩は言ったけれど、はっきり言って誰でもできる。
頭が重い。眉間の奥がツンとする。骨に皮膚が張り付いてしまった様な嫌な感じ。
頭痛、いや、これはストレスだ。
*
「食事できたぜ」
インターフォンからレイターの声が聞こえた。二人と顔を合わせたくないな。
ふぅ〜。きょう何度目かわからないため息をつきながら、わたしはゆっくりと腰を上げた。
「すごいですね。フェニックス号のキッチンは」
エプロンをつけたサブリナが興奮している。
「わたし、料理が好きなんです。炎が出るコンロ、憧れです」
フェニックス号には電磁調理器の他に、業務用のガスコンロがある。サブリナは素直に話しているだけ。
わかっている、悪意はない。なのに、料理が下手なわたしへの当て付けに聞こえる。
「料理好きの彼女を持って、食いしん坊のジョン・プーは大喜びだろ」

「わたしの手料理、なんでも、喜んで食べてくれるんですよぉ」
明るくのろけ話を聞かされる。
「今日の生姜焼きは、サブリナさんのお手製だぜ」
レイターがダイニングテーブルへお皿を運んできた。
ジンジャーの香りが漂う。
三人で食卓を囲み、サブリナの作った熱々の生姜焼きを口にする。
しっかりとした味付け。レイターの調理とは少し違う。
「おいしい」
思わず声が出た。

「ティリー先輩、ありがとうございます。やっぱり、火で炒めるのは違いますね。それに、包丁もそろっていて、レストランの厨房みたいです」
「俺、調理師免許持ってるから」
レイターが自慢げにサブリナに伝える。
「プロだったんですか。納得です」
「サブリナさんは、あすの晩はジョン・プーと祝勝会かい?」
「はい、ソラ系のお店を予約してます」
サブリナがにっこりと笑う。
大型の契約を取って、彼氏と祝勝会のディナー。羨ましい限りだ。 (3)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」